「新・幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、近年注目を集めている「オキシトシン」。オキシトシンが分泌されることで、ストレスや恐怖心、不安が軽減されて、心地よい幸福感を得られるといわれています。それでは、オキシトシンの分泌量を増やすにはどうすればいいのでしょうか?食べ物で増やすことができるのでしょうか?今回はオキシトシンを増やす食べ物はあるのか、それ以外に増やす方法はあるのかについてご説明します。
オキシトシンとは?妊娠・出産、授乳に関係あるの?
オキシトシンは、脳の視床下部で作られ、下垂体から分泌されるホルモンの一種で、出産や母乳の分泌に深い関係があります。
オキシトシンには筋肉を収縮させる作用があり、分娩時に陣痛を促したり、産後の子宮復古や母乳の分泌を促したりしてくれます。ほかにも、血糖値を下げたり、血圧の上昇を抑えたりする効果もあるなど、体に良い影響をもたらすといわれています。
また、「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」などと呼ばれる通り、産後にオキシトシンの分泌量が増えると母親は赤ちゃんをより愛おしく感じるようになり、母性愛が強まるといわれています。愛情が深まるだけではなく、恐怖心や不安が減少し、ストレスも軽減させ、心を落ち着かせてくれる作用もあります(※1)。
オキシトシンは多い方がいいの?
オキシトシンは心身両面に良い影響をもたらすので、基本的には分泌量が多ければ多いほど好ましい、といえます。
人と人が信頼関係を築いていく過程でオキシトシンが作用している可能性が高いといわれており、家族や友人とより良い関係を築いていくにはオキシトシンが不可欠だといえます。最近の研究では、「自閉症の人は、血液中のオキシトシン濃度がわずかに少ない」という報告もあります(※2)。
ちなみに、産後にオキシトシンの分泌量が増えると、「赤ちゃん以外の人には攻撃的になる」作用があることもわかってきています(※3)。母性愛が強くなることで、赤ちゃん以外をすべて「敵」とみなしてしまうからです。
育児に協力的ではないパパに対しても、オキシトシンの攻撃性が発揮されてしまうことも。オキシトシンを、親子・夫婦間の愛情を深める方向に働かせるためにも、パパが育児参加することは重要だといえます。
オキシトシンを増やす食べ物はある?
食べ物を通して、体に良い影響をもたらすオキシトシンを増やせれば、簡単でうれしいですよね。しかし、「これを食べればオキシトシンが増える」という医学的根拠は、今のところ得られていません。
最近の研究では、「何を食べるか」よりも、「誰とどんな風に食べるか」が、オキシトシンの分泌に影響する、ということがわかってきています。
たとえば、野生のチンパンジーを対象にした研究では、仲間同士で食べ物を分け合って食べたあとは、尿中のオキシトシン濃度が高まった、という結果が報告されました(※4)。
オキシトシンを増やす方法は?
それでは、食べ物以外でオキシトシンを増やす方法はあるのでしょうか?日常生活の中でもできる方法は、信頼関係を深めたい相手とスキンシップをすることです。親子で手をつないだり、ハグをしたり、マッサージをしたり、肌と肌が触れ合うことでオキシトシンの分泌量は増加します(※1)。
カップルや夫婦なら、キスや性行為によってもオキシトシンの分泌量が増えることもわかっています。直接的な触れ合いだけでなく、友人との会話などフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションによっても、オキシトシンの分泌が促進されます。
また、ママであれば、赤ちゃんが乳首を吸ったり、赤ちゃんの泣き声を聞いたり、肌に触れたりすることでもオキシトシンが分泌され、母乳がよく出るようになります(※5)。
オキシトシンを増やすためにスキンシップをとろう
オキシトシンは、普段から子供や家族、友人たちとスキンシップを取るようにすることで、分泌が促されます。
触れ合うことで自然とオキシトシンが分泌されて、オキシトシンが増えれば気持ちが落ち着いて愛情が深まり、さらにスキンシップをとるようになる…という好循環が生まれたら理想的ですね。
今日からさっそくスキンシップやコミュニケーションの時間を増やしてみてはいかがでしょうか。