妊娠中は、食べ物に気をつかうようになりますよね。生肉や刺身といった生ものは注意が必要だといわれていますが、燻製食品であるスモークサーモンは、食べても大丈夫なのでしょうか?今回は、妊娠中にスモークサーモンを食べてもいいのか、食べるときの注意点をご説明します。
妊婦はスモークサーモンを食べてもいいの?
結論からいうと、妊娠中にスモークサーモンをそのまま食べるのはリスクがあります。
スモークサーモンは、塩漬けした鮭を燻製にしたもの。その多くは低温で燻製しただけなので、リステリア菌が生息している可能性があります。
リステリア菌とは、動物の腸管内や土壌・河川といった自然環境に生息する食中毒菌です。欧米では、「ナチュラルチーズなどの乳製品、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品、コールスローなどのサラダなど」でリステリアによる食中毒が発生しています(※1)。
妊婦がリステリア菌に感染してしまうと、最悪の場合、流産や早産、胎児死亡の原因となるため、注意が必要です(※2)。
厚生労働省も、リステリア菌に感染する恐れのある食べ物としてスモークサーモンを「気をつけた方がよい食品」に指定しているため、妊娠中は食べるのを控えるようにしましょう(※1)。
ただし、リステリア菌はしっかり加熱すれば死滅させることができます。そのため、妊娠中にどうしてもスモークサーモンを食べたいというときは、新鮮なものを選んで、しっかり火を通せば問題はありません。
妊婦はスモークサーモンをどのくらい食べてもいい?注意点は?
前述の通り、妊娠中はスモークサーモンをそのまま食べるのは避けなくてはいけませんが、しっかり火を通した場合、どのくらいの量なら食べてもいいのでしょうか?
米食品医薬品局は、妊婦は水銀含有量の少ないサーモンなどの魚を1週間に340gまで食べても問題ないと発表しています(※3)。標準的なサイズにスライスしたスモークサーモンは1枚あたり約10gなので、1週間に34枚まで食べていいことになります。
しかし1週間で340gというのは、あくまでアメリカ人の体格をベースにした数値。日本人女性はこれより少なめの数字を心がけた方がいいでしょう。
スモークサーモンの摂取量で、もう一つ注意したいのが塩分です。
スモークサーモンは、スライス1枚(約10g)あたり約0.4gの塩分を含んでいます(※4)。妊娠中は、1日あたりの食塩摂取量を7.0g未満に抑えるべきとされています(※5)。他の食べ物からも塩分を摂ることを考えると、1日5枚ほどに留めたほうがいいでしょう。
まとめると、妊娠中にスモークサーモンを食べるときは、しっかりと加熱し、1日5枚程度までにしておきましょう。
妊娠中におすすめのスモークサーモンの食べ方は?
妊娠中にスモークサーモンを食べるときは火を通したほうがいいといわれても、どうやって食べたらいいのかイメージが湧きにくいですよね。そんなときは、スクランブルエッグやチャーハンといった炒め物にスモークサーモンを使ってみてください。
スモークサーモンには塩味がついているので、ほかの材料と一緒に炒めればいいアクセントになり、調味料が少なくて済みます。
チャーハンなどのアジア系炒め料理は、スモークサーモンを加えることで西洋風になるので、今まで体験したことのない新しい美味しさと出会えるかもしれませんよ。
妊娠中のスモークサーモンは火を通して
スモークサーモンの原料となる鮭には、良質なたんぱく質やDHA(ドコサヘキサエン酸)など妊娠中に積極的に摂りたい栄養素が含まれているため、調理方法を工夫して上手に食卓に取り入れるようにしましょう。
自宅でスモークサーモンを食べるときは、中まで火を通すことでリステリア菌に感染するリスクを抑えることができます。外出先のレストランなどでスモークサーモンが出た場合は、食べるのを我慢するようにしましょう。
妊娠中は食べてはいけない・控えた方がいいといわれる食べ物が多くありますが、それには母体や胎児へのリスクを考えたうえでの明確な理由があります。
一方で、妊娠中に食べても問題のない食べ物もたくさんあるので、様々な食材の栄養素や体への影響を知って、バランスの良い食事を心がけていけるといいですね。