「赤ちゃんの利き手はいつ決まるの?」「ママかパパが左利きだと、赤ちゃんにも遺伝するの?」と思ったことはありませんか?離乳食が始まって、赤ちゃんが左手でスプーンを持っていたら「もしかして左利きなのかな?」と思うこともありますよね。今回は、赤ちゃんの利き手がいつ決まるのか、左利きは遺伝するのかについてご説明します。
右利きと左利きの比率はどのくらい?
右利きと左利きの人の割合は、明確にはわかっていません。
約10%が左利きとする説、左利きは5〜10%の間であるという説、潜在的には30%の人が左利きになる可能性を持つとする説など、さまざまな説があります(※1)。
そもそも「利き手」の定義が国によっても異なり、ある作業では右手、別の作業は左手と、両手が使える両利きの人も存在します。
利き手の比率は、参考程度にとどめておくのが良いかもしれませんね。
赤ちゃんの利き手はいつ決まる?
赤ちゃんが右利きなのか左利きかなのか、気になるママやパパは多いのではないでしょうか。
ここでは、赤ちゃんの身体の発達を追いながら、赤ちゃんの利き手がいつ決まるのかについてご説明します。
0~1歳
赤ちゃんは生後5ヶ月頃になると、近くにあるおもちゃなどをつかもうとします。このときは、利き手ではなく、おもちゃの近くにある方の手で取ることが多いようです。
さらに生後6~7ヶ月頃になると、おもちゃを右手や左手で持ったり、左右で持ち替えたりすることがあります。
赤ちゃんがおもちゃに伸ばす手は、どちらか一方に限られることが多いのですが、この時点ではまだ利き手は決まっていません。
1歳くらいになると指差しも始めますが、指差しをする手が利き手というわけではありません。
2~3歳頃
絵を描いたりスプーンを使ったりするようになると、子供が左手で物をつかむこともあります。
「もしかして左利きなのかな」と気になりますが、2歳頃でもまだ利き手は決まっていません。
右利きのママと向かい合って座ってママの真似をすると、反転して左手を使うことになるため、左手をよく使うこともあるようです。
4歳頃
アメリカの発達心理学者アーノルド・ゲゼルは、「幼児期は利き手が一定ではなく、両手が使われたり、利き手が交代したりする過程を経て、4歳頃に固定される」という報告をしています。
この研究結果は専門家の間でも広く知られていて、現在では「利き手は4歳頃に決まる」と考えられることが多いようです。
赤ちゃんの利き手は、脳の仕組みで決まるの?
赤ちゃんや子供の利き手の決定には、大脳が関係していると考えられています。
大脳半球は左右に分かれていて、左脳は言語や数字などを司るため「言語脳」、右脳は直感や音楽などを司るため「芸術脳」とも呼ばれていますよね。
このうち、左脳優位だと右利き、右脳優位だと左利きになるという説もあります。「左利きの子は芸術家肌が多い」なんてイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
ホルモンが利き手を決めるという説も
男の子は、胎児期に「アンドロゲン」という男性ホルモンが大量に分泌されます。
そのホルモンが、左脳の発達を遅くするために右脳が発達するという説もあります。
いずれにしても、赤ちゃんの利き手が決まる仕組みについては、今のところ明確な答えは出ていません。
赤ちゃんの左利きは遺伝なの?
家族に左利きの人がいる場合といない場合を比較すると、「家族に左利きの人がいる場合の方が、子供が左利きになる確率が高い」という報告もあります(※1)。
そのため、赤ちゃんの利き手は遺伝的な要素が関係しているのではないかとも考えられています。
さらに、イギリス・オックスフォード大学などの共同研究で「赤ちゃんがまだ胚の段階で、PCSK6という遺伝子が利き手に影響を及ぼしている可能性がある」という報告がされました。
ただし、人間の利き手の決定に関わる要因はいくつもあり、遺伝子はその中の1つにしかすぎない、ということも強調されています(※2)。
もしかすると、利き手が決まるといわれている4歳以前にも、赤ちゃんや子供の動作をよく観察すると、右利きか左利きか予測ができるのかもしれませんね。
前述のとおり、赤ちゃんが右利きなのか左利きなのか、利き手が決まる根拠は明確になっていません。あくまでも可能性の範囲なので、「成長してからのお楽しみ」と考えておいてくださいね。
赤ちゃんや子供の利き手を予測するポイントは?
子供が右利きなのか左利きなのか、利き手を予測したいときは、興味がある物に対して、どちらの手を自発的に使うか見てみましょう。
以下のような場面で、自発的に出す方の手が利き手である可能性が高いと考えられます。
- ・ 自分からおもちゃをつかもうと手を伸ばすとき
- ・ 食べ物を受け取とろうして手を伸ばすとき
- ・ スプーンやフォークを使うとき
- ・ 転びそうになったときに、とっさに手を出すとき
- ・ ボールを投げるとき
ただし、「スプーンは右手で握るけれど、ボールは左手で投げる」といったこともあります。
一概には利き手を予測できず、4歳頃までは変わる可能性があるということも覚えておいてくださいね。
赤ちゃんの利き手はそれぞれの個性
赤ちゃんや子供が右利きなのか左利きなのか、親としては気になるかもしれませんね。
しかし右利き、左利きのどちらであっても、子供の成長を妨げる要因になるわけではありません。利き手は、赤ちゃんや子供の個性の一つとして捉えてあげましょう。
利き手の決定には大脳が関係しているとされていることから、左利きを無理に直そうとすると、吃音など子供の発達に影響が出ることもあると考えられています。
最近では、左利きの人でも不自由なく使えるユニバーサルデザインの文房具や、スポーツ・美術や工作といった芸術で使うアイテム、キッチン道具なども普及しています。
赤ちゃんや子供が左利きの場合、そのようなアイテム上手に活用して成長を見守ってあげてくださいね。