赤ちゃんが発症するアレルギーのなかでも、特に多い卵アレルギー。多くの料理やお菓子に使われる食材なので、卵アレルギーとどう向き合っていけばいいのか不安になるママやパパも多いのではないでしょうか。
今回は卵アレルギーについて、原因や症状、対処法、また、たまごボーロなどの加工品は食べさせてもいいのかをご紹介します。
赤ちゃんの卵アレルギーが起こる原因は?
アレルギーとは、本来は体に害のない物質に対して、免疫機能が過剰に反応してしまうことをいいます。
卵アレルギーは、卵の卵白に含まれる「オボアルブミン」や「オボムコイド」などのたんぱく質が主なアレルゲン(アレルギーの原因になる物質)になって、赤ちゃんの体にアレルギー反応を引き起こします。
ただ、赤ちゃんが卵アレルギーにならないかと気にして、離乳食の開始時期を遅らせる必要はありません(※1)。
赤ちゃんがおかゆや野菜のすりつぶしなどの離乳食に慣れてきた離乳食初期ごろに、まずは加熱した卵黄のみを少量与えましょう。
離乳食中期に入り、卵黄が食べられるようになって1ヶ月ほど経過してから、卵白を食べさせます。少量からはじめ、卵白に問題のないことを確認してから少しずつ全卵を与えるようにしましょう。
赤ちゃんの卵アレルギーの症状は?
アレルギー症状の現れ方や程度には個人差がありますが、卵アレルギーの主な症状は以下の通りです。
赤ちゃんの卵アレルギーの症状
- ● 皮膚のかゆみや湿疹、じんましん
- ● 咳や呼吸困難
- ● 目のまわりの腫れ、充血 など
体調不良だと思って見過ごしてしまうこともあるので、症状が現れる前に何をしたかや、何を食べたかを思い返して記録しておくと、アレルギーが原因で症状が起こっているかを判断しやすくなります。
場合によっては、アレルギー反応としてアナフィラキシーショック(急激な血圧低下や意識障害などの全身性の症状)を起こし、命にかかわることもあります。卵を食べさせたあとは、赤ちゃんに変化がないか様子を見ましょう。
赤ちゃんの卵アレルギーを検査方法は?
赤ちゃんがどんなアレルギーを持っているかは、医療機関で検査をしない限りはっきり分かりません。そのため、何かを食べさせたときに湿疹が現れて、初めてアレルギーがあることを知るケースがほとんどです。
一般的に、赤ちゃんがアレルギーを持っているかどうかは血液検査によって調べます。具体的には、採血をして「IgE抗体」というアレルギーの引き金となるたんぱく質が血液中にどれくらいあるかを検査します。
卵アレルゲンに対するIgE抗体の量が多ければ、卵アレルギーの可能性があります。しかし、IgE抗体の量が多くてもアレルギー症状が起きないこともあり、検査の結果と経過を見て、医師が慎重に判断をします(※2)。また、経口負荷試験をすることもあります。
赤ちゃんの卵アレルギーの治療方法は?
アレルギーと診断されたら、医師が判断した「食べられる範囲」までを赤ちゃんに食べさせることになります(※3)。
まずは少量ずつ食べさせる食物経口負荷試験を医療機関で行い、症状が起きない量を上限に自宅で繰り返し食べさせます。自宅での摂取は体調が良く、医療機関に受診できる時間帯を選びましょう。
自宅で症状なく食べることができれば、医療機関で再び食物経口負荷試験を行い、段階的に安全に食べられる量を確認しながら除去解除を目指します。
最終的に日常摂取量を食べられることが確認できたら自宅での除去解除とし、さらに体調不良や食後の運動、入浴などで症状が誘発されないことを確認できれば自宅以外でも除去解除になります。
食物アレルギーがあるなら与えない方がいいのではないかと思いがちですが、むやみに避けるのではなく、必要最小限の原因食物の除去が大切です。医師の指示通りに食べさせるようにしましょう。
卵アレルギーだと、たまごボーロも食べられないの?
赤ちゃんのおやつの定番ともいえる「たまごボーロ」にも、その名の通り卵が使われています。赤ちゃんが卵アレルギーだと診断された場合は、たまごボーロを食べさせないようにしましょう。
たまごボーロのなかには、原材料に全卵ではなく「卵黄」と表記されているものもあります。
前述のように、卵アレルギーは卵白に反応して起こることが多いため、「卵黄しか使っていないものなら大丈夫では?」と思うかもしれませんが、製造過程で卵白が混ざっていることもあります。基本的には食べさせないようにした方がよいでしょう。
一方で、赤ちゃんの月齢や年齢が進んで医師から許可がでたら、たまごボーロやクッキーから試すこともあります。
赤ちゃんが卵アレルギーになった場合の対策は?
家での対策
外食や加工食品には卵がどれくらい含まれているか分からないため、基本的に避ける必要があります。加工食品を購入するときや外食をするときは、原材料に卵が含まれていないか確認するようにしましょう。
「卵・鶏卵・たまご・玉子・エッグ・卵白・うずら卵」というように、卵そのものの表記方法が統一されていないので注意してください(※4)。
ただし、以下のようなものは原材料の表示がされないことがあるため注意しましょう。
● 包装容器に入れずに販売する食品(バラ売りや量り売りなど)
● 設備を設けて飲食させる食品(飲食店で提供される食品や出前など)
● 酒類(食品製造時に使用されるアルコールも含む)
上記のものを購入する際は、製造元や販売元に卵が使われていないか確認するようにしましょう。
保育園や保育園での対策
卵アレルギーを持った赤ちゃんや子供が保育園・幼稚園に入る場合は、医療機関や園と連携しながら給食に配慮してもらう必要があります。
自治体や園によって対応方法は異なりますが、近年は子供のアレルギーについての認知度が上がっているので、なんらかの対応をしてくれる園が多いようです。
給食がある保育園や幼稚園に入園を希望する場合は、卵をはじめ、アレルゲンとなる原料を除去したメニュー対応が可能かどうか、保育園や幼稚園の見学時や入園申し込み時に確認しておきましょう。
卵アレルギーの注意点は?
卵アレルギーになると、一部のワクチンを受けるときに注意が必要と聞いたことがある人もいるかもしれません。
厚生労働省の予防接種ガイドラインによると、インフルエンザワクチンなどには鶏卵成分、麻しんワクチン、おたふくかぜワクチンには、卵白成分と似た反応を示すたんぱく質が含まれています。ただ、ごく微量のため、軽度の卵アレルギーを持った赤ちゃんが接種しても問題になることはほとんどありません(※5)。
ただし、卵を食べて、アナフィラキシーを起こしたことがある場合は、接種できないこともあります。
卵アレルギーがある場合は、予防接種を受ける前に医師に卵アレルギーがあることを必ず伝えましょう。どれだけの卵を食べられるかで、予防接種を行うかどうかが判断されます。
赤ちゃんの卵アレルギーは治るの?
乳幼児期に発症した卵アレルギーは、月齢・年齢が進むにつれて治るケースがほとんどです(※4)。
赤ちゃんが卵アレルギーを発症すると、ママやパパは「このままずっと卵が食べられないのでは?」と不安になるかもしれませんが、多くの場合は、成長に伴って食べられるようになるので心配しすぎないでくださいね。
赤ちゃんが卵アレルギーでも心配しすぎないで
赤ちゃんに卵アレルギーが出ると、不安になってしまうものですが、乳幼児期に発症した食物アレルギーは成長するにつれて自然と治まることがほとんどです。
卵アレルギーと診断されても、気負わず上手に付き合っていけるといいですね。