栄養の一つとして月齢が低いうちから与えることも昔はあったようですが、最近は「早めに与える必要はない」という傾向もあり、はじめて育児をするママやパパは迷うこともありますよね。
今回は、赤ちゃんに果汁を飲ませた方が良いのか、与える時期や効果、アレルギーに気をつけたい果物などについてご説明します。
赤ちゃんに果汁を飲ませた方が良いの?
赤ちゃんに果汁を早い時期から与える必要はありません。無理に与えると、赤ちゃんによってはお腹をこわしたり、果汁の甘さに慣れて母乳やミルクを飲まなくなってしまったりすることもあります。
昔は母乳やミルクにビタミン成分が少なく、栄養として果汁を与える習慣もあったようですが、現在はママの食べ物が変わってきたことや、ミルクの成分も改良されてビタミンなどの栄養が豊富になってきたことから、母乳やミルクだけで育てる人がほとんどです。
また、以前は離乳食が始まる前の味慣らしやスプーン慣らしのために、果汁を与えることが推奨されていました。しかし、最近の研究では、離乳食開始前に果汁を与えることに栄養学的な意義はないということがわかっています(※1)。
赤ちゃんに果汁を与える時期はいつから?
赤ちゃんに果汁を与えたい場合は、離乳食の進み具合を見つつ、食物アレルギーの傾向が分かってきた頃を目安に少量飲ませてみましょう。
甘い果汁の味に慣れて野菜の味に抵抗感を持たないように、野菜の味などに慣れた後に与える方が良いかもしれませんね。赤ちゃんの成長段階に合わせて、離乳食で与える食材の優先順位を考えてあげることが大切です。
果汁を飲ませるには、「母乳やミルク以外の味を発見させてあげる」という意味合いが強いので、あくまでも離乳食のちょっとした味付け程度に考えておきましょう。
赤ちゃんに果汁をあげる方法は?
果汁をあげるときは、まずは薄めた果汁をスプーン1杯程度から与え、お腹の状態などを見て少しずつ進めましょう。はじめから多めの量は与えないようにしてください。
果汁100%のジュースなどは添加物などが含まれている場合があるので、できるだけ旬のフルーツを使った絞りたての果汁を、白湯などで薄めてあげてください。
果物の皮をむいたり、すりおろしたりした果物をお茶パックに入れ、ギュッと絞れば簡単に果汁を抽出することができるので、試してみてください。
離乳食期の赤ちゃんに与えやすい果汁は?
離乳食初期から与えられる果物
りんご/バナナ/オレンジ/いちご/みかん/桃/すいか/メロン/梨/甘夏/はっさく/ぶどう/柿
初めて果汁をあげるときには、擦ったりんごの上澄みからはじめてみましょう。りんごには糖質、ミネラル、食物繊維のペクチンなどが豊富に含まれ、赤ちゃんの粘膜を守ってくれるだけでなく、下痢や便秘を防いでくれる効果があります(※1)。
バナナは甘くておいしいので、赤ちゃんは果汁をよく飲むと思いますが、糖質やカリウムが多いため与えすぎには気をつけましょう。
ぶどうやみかんの果汁を作る場合は、薄皮を取り除いてから搾ってくださいね。
赤ちゃんへの果汁はアレルギーに注意!
果物では、じんましんやアナフィラキシーなどの免疫に関与する「即時型アレルギー」と、口の周りにかゆみが出たり腫れたりするほか、赤くなったり、のどに痛みが出て呼吸困難になったりする「口腔アレルギー症候群」が起こることがあります(※2, 3)。
初めて与えるときは、加熱してごく少量からにしてください。アレルギー症状や心配ごとに備えて、かかりつけの医療機関をすぐに受診できる曜日の午前中に与えましょう。
初期から食べられる果物でアレルギーを起こす報告があるもの
前述した口腔アレルギー症候群を引き起こす報告がある果物と食物アレルギーの症状を引き起こしやすい特定原材料等28品目(★)に含まれている果物は以下のとおりです。(※3, 4)。
・オレンジ(★)
・キウイフルーツ(★)
・バナナ(★)
・桃(★)
・りんご(★)
・梨
・メロン
・すいか
赤ちゃんへの果汁は離乳食の優先順位を考えてから
果汁は「絶対に与えないといけない」というものではないので、急いで赤ちゃんに飲ませる必要はありません。母乳やミルクとのバランス、先に進めたい離乳食を優先し、赤ちゃんの様子を見ながらママやパパが決めたペースで飲ませてあげましょう。
離乳食初期におすすめの果汁も、絶対にアレルギー反応がでないというものではありません。赤ちゃん一人ひとりの体質があるので、少しずつ飲ませてあげることが大切です。