生後間もない赤ちゃんは泣いていても涙が出ていないように見えるので、心配になったり疑問に感じたりするママは多いのではないでしょうか。一方で「泣いてないのに片目だけ涙が出ている」「いくら拭いても目が潤んでいる」といった症状が現れると、何か問題があるのかと心配になりますよね。今回は、新生児や赤ちゃんの涙はいつから出るのか、泣いていないのに涙が出るときの原因や症状、治療法についてご紹介します。
新生児・赤ちゃんの涙はいつから出るの?
生後間もない赤ちゃんは、泣いていても、見た目には涙が出ていないことがほとんどです。
しかし、涙が出ていないように見えても、涙は常に分泌されています。涙の一部は目の表面から蒸発し、涙の多くは鼻の内部に溜まっているため、目頭近くにある上涙点と下涙点という2つの小さな孔(あな)から吸収されます。
個人差はありますが、赤ちゃんの涙が見た目にもわかるようになるのは、生後3〜4ヶ月頃からです。
新生児期や低月齢の赤ちゃんが泣いているときに涙を流していなくても、心配する必要はありません。
新生児期の赤ちゃんの片目だけに涙が溜まっているときの原因は?
前述の通り、新生児や低月齢の赤ちゃんは、泣いていても流れるほど涙が出ることはありません。
しかし、新生児期の赤ちゃんが泣いていないのに目に涙を溜めているときは、注意が必要です。
通常、分泌された涙は涙点と下涙点から吸い込まれた涙は、鼻涙管という細い管を通って、鼻腔へと流れていきます。
しかし、この管が塞がっていると、涙は出口を失い、どんどん目に溜まっていきます。すると、涙が目にあふれる状態が続き、涙のほかに、目やにが溜まることもあります。
このように鼻涙管が詰まり、涙や目やにが溜まる病気のことを「鼻涙管閉塞」といいます。
新生児の先天性鼻涙管閉塞とは?
新生児の鼻涙管閉塞は、「先天性鼻涙管閉塞」と呼ばれ、生まれつき鼻涙管の形成に異常があって生じるものです。
先天性鼻涙管閉塞は、新生児の6〜20%に現れるといわれています(※1)。片目だけに生じることが多く、赤ちゃんの片目だけに涙や目やにが溜まっている場合は、この病気が疑われます。
先天性鼻涙管閉塞になっても、1歳までに自然治癒することがほとんどなので、多くのケースでは特別な治療をせず経過観察となります(※1)。
後天性鼻涙管閉塞は、中年以降の女性がなりやすく、鼻炎といた鼻の病気や結膜炎といった目の病気で起こります。
赤ちゃんに涙が出て先天性鼻涙管閉塞になったときの症状は?
赤ちゃんが先天性鼻涙管閉塞になると涙が流れていかないので、詰まっている片方もしくは両方の目が常に涙目の状態です。また、目やにもたくさん出ます。
滞留した涙の中で細菌が繁殖して炎症を起こすことがあるので、早めに眼科を受診してください。
生後4ヶ月頃をすぎると、涙を流しながら泣くようになるため、泣いていて涙が出ているのか、先天性鼻涙管閉塞が原因で涙が出ているのかになっているか判断しにくいことがあります。
泣いた後でもないのに涙があふれているときや、寝起きに目が開かないほどの目やにが出ている場合には、先天性鼻涙管閉塞の可能性があります。
赤ちゃんの涙が溜まっているときは何科を受診したらいい?診断方法は?
赤ちゃんの目に涙や目やにが溜まって生活に支障がある場合、先天性鼻涙管閉塞が疑われるときは、眼科を受診しましょう。
先天性鼻涙管閉塞の診断では、細い針を使って涙点から生理食塩水を注入し、鼻の奥に流れていくかを確認します。もし生理食塩水が逆流してきたら、鼻涙管閉塞症であると診断されます。
赤ちゃんの目に涙が溜まるときの治療法は?自然治癒するの?
前述の通り、先天性鼻涙管閉塞は生後1年以内に90%前後の確率で自然治癒するため、基本的には経過観察となります。
しかし、治療が必要であると医師が判断した場合は、鼻の付け根あたりにある涙嚢を人差し指で軽く押して涙嚢マッサージを行い、開通を促します。
生後6ヶ月が過ぎても治療による改善が見られないときは、「ブジー」という細い針金を鼻涙管に通して、閉塞部分を開通させる手術が行われる場合があります(※2)。
ブジーによって鼻涙管の閉塞部分が開通した場合は、再び閉塞するのを防ぐため、柔らかいシリコンチューブを涙点から鼻涙管に挿入し、1ヶ月ほどそのままにします。
それでも症状の改善が見られない場合には、涙道と鼻腔を直接つなぎ、涙を流す通り道を作る涙嚢鼻腔吻合術が行われます。
赤ちゃんの涙が溜まっているときはどうやってケアする?
赤ちゃんの目に涙が溜まっていて先天性鼻涙管閉塞と診断された場合、自然治癒または治療によって閉塞部分が開通するまでは涙目や目やにの症状が出続けます。家庭では下記のようなケアをしましょう。
こまめに涙や目やにを拭き取る
目の中に涙や目やにがたまっていると細菌が繁殖する元になるので、ガーゼで優しく拭き取ってあげましょう。ガーゼは常に清潔なものを使用し、頻繁に交換してください。
目薬は用法・用量を守って使う
病院から目薬が処方された場合は、用法・用量を守って忘れずに点眼します。このとき容器の先がまぶたやまつ毛に触れると、雑菌が混入してしまうので注意しましょう。
目薬をさすときに赤ちゃんが嫌がって暴れるときは、床に寝かせて両膝で頭を左右から挟み、利き手と反対の手であごを押さえて固定すると点眼しやすくなりますよ。赤ちゃんが嫌がりだす前に手早く点眼してあげてくださいね。
赤ちゃんの片目だけの涙が溜まっているときは注意しよう
新生児や赤ちゃんの片目だけの涙や目やには、目のトラブルサインです。赤ちゃんはよく泣くので判断が難しいですが、普段から目の状態をチェックし、すぐに異変に気づけるようにしておきましょう。
泣いた後でもないのにずっと涙目のときは、一度眼科を受診して、問題がないか確認してください。先天性鼻涙管閉塞のほとんどが自然に治まるものなので、症状が悪化しないように気をつけながらケアをしてあげてくださいね。