様々な香りで気分転換できるアロマ。普段からアロマを使っている人は、妊娠してからも楽しみたいと思いますよね。つわりで不快な状態が続いたときはなおさら、アロマでリフレッシュしたいと思うもの。しかし、妊娠中にはおすすめできる香りと、できない香りがあることを知らない人は多いようです。今回は、妊娠中のアロマについて、禁忌とされる香りや、おすすめの香りのほか、妊娠中にアロママッサージをしてもいいのかなどについてご説明します。
そもそもアロマって?
アロマは、ラテン語で「香り・芳香・雰囲気」といった意味があり、香水などの香りを楽しむ目的の他にも、精神的な癒しの効果が期待されています。
アロマは、花・果実・ハーブといった自然の植物が持つ香りを主としています。
ただし、100%天然由来のアロマ以外に、合成香料を含むアロマもあれば、気持ちを安らげたり、肌を潤したりする成分が含まれているものがあります。ヨーロッパ発祥の自然療法として、アロマテラピーに使われているのは有名ですよね。
アロマを楽しむには、オイルで使用することがほとんど。アロマオイルを焚いて香りを楽しむ「芳香浴」として使われたり、アロママッサージやスキンケアとして使われることもあります。
アロマオイルとひとことでいっても、100%天然由来のオイルを「エッセンシャルオイル」、スキンケアやマッサージ目的で精油を薄めて調整したものを「キャリアオイル」など種類も様々。
使用するアロマによって、疲労やストレスを緩和するもの、子宮収縮を促進するものなど、妊娠中の体に影響を与える香りが存在します。全てのアロマが禁忌とされているわけではなく、なかには妊娠中におすすめの香りもあるので、使う種類・方法・時期に注意しながら楽しみましょう。
妊婦がアロマを使うのは禁忌?妊娠初期はNG?
妊婦さんがアロマを楽しむ場合、月経を促す通経作用があるものや、ホルモンの分泌を促す作用があるものは注意が必要です。
特に妊娠初期の気管形成期は、用途にあわせてオイルを選ぶ必要があります。
マッサージで使用するような、肌につけるタイプのアロマオイルは、妊娠初期には刺激が強すぎる可能性もあるので控えておくと安心です。妊娠初期にアロマオイルで全身マッサージをする場合は、精油は避け、キャリアオイル(植物油)を使うようにしましょう。
芳香浴であれば、月経を促し、周期を整える通経作用のある精油でも胎児や妊婦の体に著しい悪影響を及ぼすことはありません。ただし、1日中香りに包まれているのはおすすめできません(※1)。
つわりの影響で、普段気に入っていた香りを受けつけなくなることもあります。妊娠初期は、ボトルの蓋を開けて手であおぐなど、あくまでも気分転換として一時的に使用するのがおすすめです。
安定期に入れば、通経作用のないアロマオイルをお風呂に入れることや、マッサージで使うこともできるようになります。
しかし、柑橘系のものは肌がピリピリすることもあります。お風呂にアロマオイルを入れるときは、オイルと塩を混ぜて、直接オイルが肌に触れないようにするのがおすすめです。
マッサージに使うときは、キャリアオイルで精油を薄めて(希釈率0.5~1%)使うようにしてください。薄めなくてもスキンケアとして使えるアロマオイルなども、販売されていますよ。
妊娠中に禁忌とされているアロマとは?
妊娠中に禁忌とされているアロマは、専門家の間でも意見が分かれています。念のため、通経作用・分娩促進作用・子宮強壮作用・血圧上昇・ホルモンの分泌を促す作用があるようなアロマは控えておく方が無難です。
以下に、妊娠中に禁忌とされているアロマをまとめたので、参考にしてみてください。効果がわかっていないものは、必ず専門家や医師の判断を仰ぎましょう。すでに使ってしまっていても、すぐに体に影響が出るというわけではありませんが、継続するのはやめておきましょう。
妊娠中に禁忌とされている主なアロマの種類
アニス、オレガノ・カンファー、キャロットシード、クローブ、シナモン、ジャスミン、スパイクラベンダー、セージ、タイム・チモール、タラゴン、バジル、フェンネル、ラバンジン、ラベンダー・スーパー、レモングラス、レモンユーカリなど、主に通経、ホルモン、子宮収縮作用のあるもの(芳香浴では使用可)。
妊婦におすすめのアロマは?
妊婦さんにおすすめのアロマは、通経作用がほとんどない柑橘系です。つわりですっきりしないときに、リフレッシュできると妊婦さんからも人気ですよ。
特に、グレープフルーツは、落ち込んだ気分をリフレッシュさせてくれるだけでなく、食欲を抑制する作用もあり、妊娠中の食べ過ぎを抑えてくれます。オレンジには、妊娠中のイライラを静めたり殺菌したりする作用があり、冬場の風邪予防にも効果的。
安定期を過ぎて、体調、肌質に特に気になる点がなければ、妊娠線予防・肌の保湿など、肌に使えるアロマもあるのでおすすめです。
妊娠初期からおすすめの精油(※1)
グレープフルーツ、真性ラベンダー、スイートオレンジ、ティートリー、ネロリ、パルマローザ、ビターオレンジ、フランキンセンス、ベルガモット、マンダリン、レモン、トーズウッド。
芳香浴のみであれば、イランイラン、ジャーマンカモミール、ペパーミント、ローマンカモミール。
妊娠6ヶ月からおすすめの精油(※1)
クラリセージ、サイプレス、サンダルウッド、ジャーマンカモミール、ジュニパー、ゼラニウム、タイム・ツヤノール、ニアウリ、パイン、パチュリー、ヘリクリサム、マージョラム、ユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラジアータ、ラベンサラ・アロマティカ、ローズ、ローズマリー・カンファー、ローマンカモミールなど、通経、ホルモン作用が軽いもの。
妊娠中にアロママッサージやアロマテラピーをしてもいい?
妊娠中のアロママッサージやアロマテラピーは、妊娠中のマイナートラブルを緩和させる効果が期待できます。しかし、行う時期・行うときの状態に気をつけることが大切です。
アロママッサージに関わらず、妊娠中にマッサージが推奨されるのは、妊娠5ヶ月頃(妊娠16週頃)の安定期に入ってから。マッサージは、血行を促進したり、緊張した筋肉を和らげたりすることでトラブルを緩和するので、妊娠初期は行わないようにしましょう。
特に、アロマオイルを使用するマッサージやアロマテラピーは、つわりで香りを受けつけないことや、マッサージ用に薄めたキャリアオイルだとしても、肌トラブルを起こしてしまうこともあります。
リラクゼーションサロンに行くときは、妊娠中であることを伝え、マタニティ用のメニューがあるところがおすすめです。自宅で使用するときは、不安な場合はパッチテストをしてから使用するようにしましょう。
妊娠中のアロマは時期や体調に合わせて使おう
香りによって様々な影響を与えてくれるアロマは、妊娠中に限らず女性から人気のリフレッシュ方法ですよね。しかし、妊娠中は思いもよらない変化やトラブルが潜んでいるので、時期や体調に合わせて使うようにしましょうね。
アロマを楽しむ精油の種類や効果を把握したうえで、妊娠初期は香りを、安定期に入ったらマタニティアロママッサージを、自分が心地よいと思う香りで楽しめると良いですね。本格的なマッサージを行う場合は、できれば健診時に医師に確認するようにしましょう。