産後に生理が再開して、生理痛が妊娠前より軽くなったという人もいれば、ひどくなったという人もいます。生理痛の症状や程度は個人差が大きいものですが、産後にひどくなるのはどうしてなのでしょうか。
今回は、産後の生理痛がひどいときに考えられる原因や改善法、授乳中に鎮痛剤や低用量ピルを飲めるかをご説明します。
産後に生理痛がひどくなる原因は?
生理痛は、基本的に子宮内膜が剥がれ落ちるときに作られる物質「プロスタグランジン」によって引き起こされます(※1)。
産後に生理痛がひどくなった場合は、次のような原因が考えられます。
ホルモンバランスの変化
妊娠・出産を経て女性のホルモンバランスは大きく変化します。人によってはホルモンバランスが変化することで、妊娠前よりプロスタグランジンの分泌量が増えて、生理痛がひどくなることがあります。
冷えによる血行不良
産後は疲れや寝不足で体温をコントロールする自律神経の働きが乱れやすくなったり、プロスタグランジンの働きで血管が収縮したりすることで、体が冷えやすくなる人も。
体が冷えてしまうと血行が悪くなるので、更にプロスタグランジンが分泌されて、生理痛がひどくなることがあります。
婦人科系疾患
子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの婦人科系の病気があると、プロスタグランジンの分泌量が多くなるため生理痛がひどくなりやすいです(※1)。
生理のとき以外にも下腹部が痛む、生理が来るたびに生理痛がひどくなっている、経血量が多くなっているといった場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
産後の生理痛を改善する方法は?
産後に生理痛がひどいと、赤ちゃんのお世話をするのも大変になってしまいますよね。
婦人科系疾患が原因の場合は治療を受けることが最優先ですが、それ以外の原因の場合は、次のような対策を試してみると少し痛みが緩和されることもありますよ。
体をしっかり休める
ホルモンバランスの変化、疲れ、寝不足、ストレスなどによって生理痛がひどくなっている場合は、まずはゆっくり休みましょう。
パートナーや家族、ファミリーサポートなどに赤ちゃんのお世話や家事を任せて、少しでも休む時間を作るようにしてください。
日頃から体を休めたりリフレッシュしたりする習慣をつけられるといいですね。
冷え対策をして血行を良くする
冷えが原因で生理痛が起きている場合は、冷え対策をして血流の巡りをよくすると、痛みがやわらぐことがあります。
軽いストレッチをして体を動かしたり、あたたかい飲み物を飲んだり、冷え取り靴下をはいたりと、日常生活のなかで冷えを防ぐ工夫をしてみましょう。
授乳中に生理痛がつらいときに薬は飲んでいいの?
腹痛や頭痛がひどいと、痛み止めの薬を飲みたくなることはありますよね。ただ、授乳中だと赤ちゃんへの影響が気になるところ。
市販薬には、「授乳中でも飲めるもの」と「授乳中は注意が必要なもの」があるので、自己判断で飲まずにまずは医師や薬剤師に相談しましょう。
注意したい薬については、以下の関連記事を参考にしてくださいね。
産後の生理痛は低用量ピルで緩和できる?
低用量ピル(経口避妊薬)を飲むと、ホルモンの分泌量が調節されて排卵が起こりません(※1)。プロスタグランジンの分泌量も減るため、生理痛の症状が緩和されることもあります(※2)。
ただし、授乳中に低用量ピルを飲む場合は注意が必要です。日本産科婦人科学会は、母乳育児中に低用量ピルを飲むと、母乳の出が悪くなる、母乳が分泌される期間が短くなるなど、赤ちゃんの成長に影響が及ぶ可能性があるため、母乳を与えているママは少なくとも産後6ヶ月は低用量ピルを服用しない方がいいとしています(※3)。
また、母乳育児をしていない場合でも、産後4週間は低用量ピルを服用することはできません(※4,5)。妊娠前に低用量ピルを服用していて産後に再開したいというときは、必ずかかりつけの婦人科を受診しましょう。
産後の生理痛がひどいときは医師に相談を
産後は、自分の体のケアを後回しにしがちかもしれません。しかし、生理は毎月来るものなので、生理痛がひどいときは無理をしないようにしましょう。
体を休めたり冷え対策をしたりしても生理痛が緩和されないときは、婦人科を受診してみてくださいね。