産後ママの気になる体トラブルの一つに、「尿漏れ」があります。赤ちゃんを抱いて立ち上がった瞬間や咳をしたときにドキッとしたことはありませんか?「尿漏れしやすいのって、妊娠中だけじゃないの?」と不安を感じるかもしれませんが、産後にもよくあることなんですよ。今回は、産後の尿漏れが続く期間や、原因と対策についてご説明します。
産後の尿漏れってどんなもの?
尿漏れとは、自分の意志とは無関係に突然尿が出てしまうことをいいます。産後の尿漏れのほとんどは「腹圧性尿失禁」というタイプで、お腹に力が入ったときに漏れるのが特徴です(※1)。
具体的には、くしゃみや咳をしたとき、急に立ち上がったとき、赤ちゃんを抱きあげたときなどに、チョロッと尿が漏れることがあります。
産後に尿漏れが起こる原因は?
産後に尿漏れが起きる主な原因は、出産による骨盤底筋のたわみです。
「骨盤底筋」とは、文字どおり骨盤の底にある筋肉で、子宮や膀胱をハンモックのように下から支えています。
骨盤底筋がしっかり機能しているときは、骨盤底筋の一部である「尿道括約筋」をきゅっと収縮させることができ、尿道が締まるため、トイレで排尿するとき以外に尿が漏れ出ることはありません。
しかし、妊娠中に子宮が大きくなると、骨盤底筋が圧迫され、下にたわんでしまいます。また、出産のときに骨盤底筋が傷ついてしまうこともあります。
産後、その状態でお腹に力が入ると、たわんだ骨盤底筋が尿道を締めきれなくなり、尿漏れが起こるのです。
産後の尿漏れはいつまで続くの?
妊娠中にたわんだ骨盤底筋は、順調であれば産後1~2ヶ月ほどで元に戻るため、産後3ヶ月頃には尿漏れがなくなることが多いです。
ただし、尿漏れが続く長さは個人の体質にもよるため、あくまでも目安と考えてください。
なお、産後3ヶ月以降も尿漏れを放置してしまうと、産後5年たっても尿漏れが続くという研究結果もあります(※2)。できるだけ早く改善するためにも、産後にきちんと対策をしたいですね。
産後すぐから尿漏れ対策をしてもいい?
前述のとおり、骨盤底筋は産後1~2ヶ月かけて元の状態に回復していきます。この時期は、あまり忙しく動き回ったり、重い荷物を持ったりせず、できるだけ体を休めることが尿漏れ対策につながります。
産後にゆるんだお腹を引き締めたり、骨盤のゆがみを治したりするために、コルセットやガードルを使おうと考える人もいるかもしれませんが、少なくとも産後1ヶ月間は避けましょう。
産後すぐにガードルなどでお腹を締めつけてしまうと、子宮や膀胱が下がり、骨盤底筋に負荷がかかってしまうので、尿漏れが長引く原因となってしまう恐れがあります。
なお、産後に尿漏れが気になる場合は、市販の尿漏れパッド・シートを活用するのもおすすめです。
産後の尿漏れは体操で改善できる?
産後2ヶ月以降は、体操などで骨盤底筋を鍛えるのが尿漏れ対策に効果的です。
産後1ヶ月健診を受けて、順調に体が回復していると確認できたら、無理のない範囲で次のような体操をやってみましょう。継続して行うことで、尿漏れの改善が期待できます。
骨盤底筋体操のやり方
1. 仰向けに寝て膝を立てる
2. 腕は体の両側に沿わせるように置く
3. 尿道・腟・お尻の穴を締めて10秒キープ
4. 力を抜いて50秒休憩した後に再び締める
「10秒キープ」と「50秒休憩」を1セットとして、10セット繰り返します。これを朝晩の1日2回行いましょう。尿道などを締める感覚がわからない場合は、おしっこ中に尿を途中で止めてみる感覚で試してみてください。
「締める→ゆるめる」という動きを意識すれば、仰向けの姿勢だけでなく、椅子に座ったままでも立ったままでもできるので、寝かしつけや授乳中など、赤ちゃんのお世話をしながら、すきま時間に取り組んでみてくださいね。
産後の尿漏れがひどい!病院に行くべき?
産後の尿漏れは、妊娠・出産による生理的なものといえるので、病院に行かなくても自然に治ることも多くあります。
ただし、骨盤底筋を鍛える体操を3~4ヶ月間続けても尿漏れが改善しない場合は、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談するか、泌尿器科を受診してみましょう(※3)。
また、尿漏れだけでなく、トイレの回数があまりにも多い、排尿するときに痛みがある、残尿感がある、尿が白く濁っているといった場合には、膀胱炎の可能性もあるので、早めに病院を受診してくださいね。
産後の尿漏れ対策はコツコツと
産後1ヶ月はまだ骨盤底筋が回復していないだけでなく、子宮が元に戻るまで悪露も出る時期です。尿漏れが気になることもあるかもしれませんが、2ヶ月目から頑張ろうと割り切って、あまり無理せず体を休めましょう。
体が回復してきたら、体操を続けて骨盤底筋を鍛えることが、早く尿漏れを改善することにつながります。すっきりとした気持ちで産後の生活を楽しむためにも、毎日コツコツ対策していきましょう。