産後に湿疹や蕁麻疹ができやすい理由は?授乳中の治療法は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

産後の可愛い赤ちゃんとの生活は楽しい反面、毎日寝る間もなくお世話に追われているうちに、体の調子が悪くなっていた…というママも少なくありません。湿疹や蕁麻疹などの肌トラブルも、産後ママに見られることが多いようです。今回は、多くの産後ママを悩ませる湿疹や蕁麻疹について、産後に起きやすい原因や授乳中の治療法などをご説明します。

そもそも蕁麻疹・湿疹とは?

肌荒れ 蕁麻疹

蕁麻疹(じんましん)とは、かゆみを伴う赤い腫れが身体の一部にできる病気です。多くの場合は数十分~数時間で症状が治まりますが、原因が特定できないまま、1ヶ月以上出たり消えたりを繰り返すこともあります。

湿疹は、皮膚炎ともいい、かゆみを伴う皮膚の炎症です。数日~1週間以上消えずに続くことが多く、症状がひどくなると、水ぶくれ状になります。水ぶくれが破れて、皮膚がジュクジュクになってしまうことも。

どちらも、掻き壊してしまうとさらに症状が悪化し、治るのに時間がかかってしまうこともあるので、早めの対応が大切です。

産後に蕁麻疹や湿疹が出やすい原因は?

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産後はホルモンバランスが大きく変化したり、育児の疲れやストレスで抵抗力やお肌のバリア機能が低下したりしているため、蕁麻疹や湿疹といった肌トラブルが起きやすくなります。

もともとアレルギー体質や敏感肌でなくても、産後に突発性の蕁麻疹や湿疹が出ることもあります。

また、母乳育児のママの場合、母乳や赤ちゃんのよだれの刺激で、乳首周辺に症状が出ることも少なくありません。

産後の蕁麻疹・湿疹の治療法は?授乳中は?

塗り薬

産後に肌トラブルが起きたら、早めにかかりつけの産婦人科や皮膚科に相談しましょう。問診やパッチテストで原因を調べ、塗り薬や内服薬を処方してもらえます。

蕁麻疹の治療

蕁麻疹の治療として、抗ヒスタミン薬が処方されることがよくあります。

ただし抗ヒスタミン薬のなかには、授乳中でも安全に使えるものと、避けた方が良いとされるものがあります(※1)。場合によっては、授乳を一時中断して抗ヒスタミン薬を使うように医師から指示されることもあります。

授乳を止めたくない場合は、医師に希望を伝えて、ほかに治療法がないか相談してみてください。

湿疹の治療

湿疹は放置すると、治りにくくなるので、早めの対処が大事です。医師に症状を診てもらったうえで、授乳状況などを伝え、自分に合った治療を受けましょう。

湿疹が出ている場合、軟膏やクリーム、ローションなどの塗り薬が処方されることが多くあります。塗り薬は、塗ったところから全身の血液に吸収される量は非常に少ないため、授乳中に使っても大きな問題はないとされています(※1)。

なお、蕁麻疹・湿疹を対処するために、授乳中に自己判断で市販薬を使うのは控えましょう。薬の種類や使い方によっては、母乳に影響が出たり、かえって症状を悪化させてしまったりする恐れがあります。

産後の蕁麻疹・湿疹を予防するには?

氷水

産後の蕁麻疹・湿疹は、生活習慣を工夫することで予防に取り組むことが大切です。

肌を保湿する

肌が乾燥してしまうと、肌のバリア機能がますます低下し、蕁麻疹や湿疹が起こりやすくなります。授乳中でも安心して使える、自分の肌に合った保湿クリームを使って、肌の乾燥を防ぎましょう。

また、特に乾燥しやすい冬の時期は、加湿器を使ったり洗濯物を部屋干しし部屋の湿度を保つのも効果的です。

心身の疲れをとる

疲労やストレスが原因で、体の免疫力が下がっている可能性もあります。

パートナーや家族に赤ちゃんのお世話を任せ、ママは思い切って休む時間を作ったり、家事代行サービスを利用したりして、疲れを溜めこまないようにしてみてくださいね。

栄養バランスのとれた食事をとる

産後に低下してしまった免疫力を上げるために、栄養バランスのとれた食事をとりましょう。そのうえで、産後に不足しがちな鉄分やカルシウム、ビタミンなどの栄養素を積極的に摂取したいですね。

しかし、あまり食にこだわるあまり、それがストレスになってしまってはいけません。たまにはスーパーのお惣菜やお弁当を利用して、適度に手抜きするなど、メリハリをつけてみてくださいね。

紫外線対策をする

妊娠前は特に肌トラブルがなかった人でも、産後にアレルギー症状が出るようになることがあり、その一つに「日光蕁麻疹」があります。

日光蕁麻疹は、太陽の光を浴びると、肌がかゆくなったり、赤いブツブツが出ることです。特に日差しが強くなる夏の時期は、日傘や帽子、長袖の服を身につけて紫外線対策を心がけましょう。

授乳中に日焼け止めを使いたい場合は、医師や薬剤師に相談して、母乳に影響が出ない日焼け止めを選んでくださいね。

患部を掻かない

もし蕁麻疹や湿疹が出てしまった場合には、それ以上症状を悪化させず、再発を防ぐことが大切です。

かゆみが強いとついつい搔いてしまいますが、搔いて皮膚に傷がつくと、そこから細菌感染が起こり、症状がひどくなることもあるので、病院で処方された薬を使うようにしてください。

すぐにかゆみを止めたい場合は、氷水で患部を冷やすと、かゆみが和らぐこともありますよ。

産後の蕁麻疹や湿疹は早めに対処しよう

医師 健診 妊婦健診 病院 病気

体のかゆみが止まらない、肌に赤みが現れている、というときは、育児の疲れが肌に出ていたり、乾燥していたりするサインかもしれません。そのまま放っておかず、産婦人科や皮膚科の医師に相談してみてくださいね。

毎日子育てで大変だと思いますが、ママができるだけご機嫌に赤ちゃんと向き合うためには、自分の体のケアも大切です。忙しくて病院を受診するのが難しいという場合は、赤ちゃんの1ヶ月健診などの機会に、ママの肌トラブルについても相談してみましょう。

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