妊娠初期にめまいや立ちくらみ!原因や対処法は?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊娠初期に突然現れるめまい。見えている景色がぐわんぐわんと歪むとただでさえ不安になるのに、お腹に赤ちゃんがいる妊娠中は余計に心配ですよね。そこで今回は、妊娠初期に見られるめまいや立ちくらみの原因、対処法、予防法などについてご紹介します。

妊娠初期のめまいや立ちくらみの原因は?

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妊娠初期は妊娠前に比べて、めまいや立ちくらみが起こりやすくなっています。その原因として、いくつかのことが考えられます。

鉄欠乏性貧血

鉄分が不足することによる「鉄欠乏性貧血」は、妊娠中期や後期に多く見られますが、妊娠初期に経験する人もいます。

妊娠初期の鉄欠乏性貧血は、若い年代のママや、食生活が偏りがちで妊娠前から鉄分が不足していた場合に起こりがちです。

また、妊娠週数が進み、ママの体の血液量が増えることによっても起こります。このとき、血漿と呼ばれる血液の液体の部分がたくさん増えますが、酸素を届けるヘモグロビンは血漿に比べて増えないため、血液が薄まった状態になります。

血液が薄まったことを補うために、体の鉄分を使って赤血球を作ろうとするため、鉄が不足し、鉄欠乏性貧血を起こします。

鉄欠乏性貧血では、めまいの他に、動悸や息切れ、全身のだるさなどの症状が現れる場合もあります(※1)。

ウェルニッケ脳症

ウェルニッケ脳症とは、ビタミンB1が不足することで起こる病気です。

妊娠中の女性は、妊娠していない女性の1.5倍のビタミンB1が必要とされており、妊娠初期のつわりが重症で、食事を摂ることが不十分な状態が長期間続くような場合、発症しやすくなります(※2)。

もしつわりが重く、何も口にできないような日が続く場合は、病院を受診することをおすすめします。

ホルモンバランスの崩れ

妊娠初期にはホルモンバランスが急激に変化します。このとき、プロゲステロンというホルモンの分泌が増えることで、手足など体の末端の血管が広がり、血液がすみずみまで行き渡りやすくなります(※3)。

その分、より多くの血液が必要になるため、心臓から一度に送る血液量が不足します(※3)。

その結果、血圧が通常より低くなり、立ちくらみが起きると考えられます。

妊娠初期のめまいで立ちくらみが起きたときの対処法は?

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妊娠初期にめまいで立ちくらみが起きた場合、妊婦さんにとって一番怖いのが、転んでしまうことです。

そのため、症状が出たらまずは何かにつかまるか、安全な場所の場合はゆっくりとしゃがみましょう。横断歩道や踏切を渡っているときなど、危険な場所の場合は、近くの人に声をかけて手を貸してもらってください。

一過性のものならそこまで問題ありませんが、何度も繰り返す場合や、症状の程度がひどいときは、症状が落ち着いてから病院を受診することをおすすめします。

妊娠初期のめまいの予防法は?

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妊娠初期にめまいや立ちくらみが頻繁に起きると大変ですよね。そのため、次のような方法で予防することをおすすめします。

鉄分とビタミンB1を摂取する

上述のように、妊娠初期の妊婦さんの体には鉄分とビタミンB1が不足しがちです。

そのため、これらを意識して摂取すると、鉄欠乏性貧血やウェルニッケ脳症が起こるのを防ぐことができます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、1日に推奨されている鉄分の摂取量は、18~29歳の女性で6.0g、30~49歳の女性で6.5gとなっていますが、妊娠初期はこれに+2.5gの摂取が推奨されています(※4)。

鉄欠乏性貧血と診断され、食事を通じてこの量を摂れない場合は、鉄剤が処方される場合もあります。

鉄分を含む食材には、豚レバーや鶏レバー、岩のりや大豆などがあります(※5)

また、ウェルニッケ脳症の予防に効果的なビタミンB1を含む食材には、豚ヒレ肉や豚モモ肉、ウナギの蒲焼や大豆などがあります(※5)。

不安やストレスを溜めないようにする

ホルモンバランスの崩れから情緒不安定になりやすい妊娠初期。理由もなくイライラしたり、急に落ち込んだりする人もいます。

このメカニズムをパパが理解してくれていないと、普段の生活で衝突し、余計にイライラすることも。そういう時期だということをパパにもあらかじめ話しておき、理解を得ておくことが大切です。

また、何か不安なことがあれば、自分だけで溜め込まず、出産を経験した友人や両親に相談するのもおすすめですよ。

妊娠初期のめまい対策がつわりでできないときはどうする?

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妊娠初期のめまい対策のひとつとして、鉄分とビタミンB1を含む食品を摂ることが大切、と紹介しました。しかし、妊娠初期にはつわりもあるため、現実的に食事での摂取や鉄剤の服用が難しいという人もいるでしょう。

そんなときには、注射や点滴によって鉄分やビタミンB1を補うこともあります。医師に相談してみてくださいね。

妊娠初期のめまいは医師に相談しよう

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妊娠初期はただでさえつわりがあるのに、めまいが加わるとつらいもの。

今回紹介したように、めまいや立ちくらみが起こる原因やメカニズムを知ったうえで、正しく対処、予防を行い、出産まで母子ともに健康を保ちましょう。

また、妊娠初期は精神的にも不安定になりやすい時期です。不安やストレスを自分ひとりで溜め込まず、パパや家族、友人などに話すのも、健康を保つうえで大切なことですよ。

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