性交渉のあとに、お腹が痛くなった経験はありませんか?周囲の人に相談するのは少しためらわれたり、「何か悪い病気かも?」と不安になったりする人もいるかもしれません。また、痛みがつらくて、性交自体が億劫になってしまうこともありますよね。今回は、性交後の腹痛について、考えられる原因と対処・治療法、不妊リスクについてご説明します。
性交後に腹痛が起きる原因は?
性交後にお腹が痛くなる原因としては、次のようなことが考えられます。
臓器への振動や圧迫
後背位など、腟の奥の方まで男性器が届きやすい体位で性交を行った場合、子宮や膀胱、腸などといった臓器に振動や圧迫が加わりやすいため、腹痛を感じることがあります。
婦人科系の病気
詳しくは後述しますが、子宮や卵巣などに病気があると、性交のときに患部が刺激され、痛みが生じることもあります。
性交後の腹痛をやわらげる方法は?
腹痛の原因が病気ではなく、性交による臓器の刺激である場合、横向きに寝るなど挿入が深くなりすぎない体位に変えたり、動きをやさしくするなど男性に配慮してもらったりすることで、腹部の痛みがやわらぐこともあります。
また、排卵の時期になると「排卵痛」という腹痛を感じる人もいるので、妊活中でタイミングを合わせている場合を除いては、排卵期を避けて性交渉をしてみると、腹痛が軽くなる可能性もあります。
性交後の腹痛についてパートナーにも理解してもらい、できるだけ痛みが起きない方法を2人で考えられるといいですね。
性交後の腹痛は病気が原因かも?
次に挙げるような婦人科系の病気がある場合、性交後の腹痛につながる可能性があります。
当てはまる症状がある場合、できるだけ婦人科を受診し、性交のタイミングや腹痛の程度、痛みが続く期間などを医師に伝えましょう。
子宮内膜症・子宮腺筋症
子宮内膜症とは、本来は子宮の中にしかないはずの「子宮内膜」に似た組織が、膀胱や卵管、卵巣など子宮以外の臓器で発生・増殖する病気です。
特に20~40歳代の女性に多く見られ、生理が来るたびに生理痛がひどくなるのが特徴です(※1)。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の「平滑筋」という筋肉にできる、良性の腫瘍です。症状として、生理の経血量が多かったり、それによって貧血を起こしやすかったりします。
婦人科系の病気のなかで最もよく見られるもので、生殖年齢にある女性の20~30%に子宮筋腫があるといわれます(※1)。
卵巣腫瘍
卵巣にできる腫瘍のほとんどは良性の「卵巣嚢腫」ですが、まれに「卵巣がん(悪性腫瘍)」のこともあります(※2)。
腫瘍が小さいうちは自覚症状がないことが多く、腫瘍が大きくなると膀胱や直腸が圧迫され、吐き気や便秘などが現れます(※1)。
性感染症
性感染症のうち「淋菌感染症」や「クラミジア感染症」に女性がかかった場合、骨盤腹膜炎などを起こして下腹部痛が生じることもあります(※1)。
お腹の痛みだけでなく、おりものの増加や気になるにおい、不正出血が見られたりすることもあります。
性交後に腹痛…病院に行く目安は?
性交後に下腹部痛や腹痛がしても、しばらく横になって休んでいるうちに治まる、または痛みがあまり長く続かないようであれば、しばらく様子を見てもいいでしょう。
しかし、性交後しばらくたっても痛みがひかなかったり、痛みが増したり、腹痛以外にも不正出血や吐き気などの症状が見られたりするときには、我慢しすぎずに病院を受診しましょう。前述のとおり婦人科系の病気や性感染症が隠れている可能性もあります。
何らかの病気が見つかった場合には、原因に合わせた薬などで治療を受けることになります。
性交後の腹痛は、不妊につながるの?
性交後に腹痛が起きたからといって、全てのケースが不妊につながるわけではありません。
しかし、婦人科系の病気が原因となっていたり、性感染症が進行して骨盤内で炎症を起こしていたりすると、妊娠しづらくなってしまう恐れもあります(※1)。
できるだけ早く治療するためには、早期発見が不可欠です。今はまだ妊娠を希望していないという人でも、将来の不妊リスクを減らすために、婦人科を受診してくださいね。
性交後の腹痛は、我慢せず婦人科へ
性交のあとに腹痛が起きる原因として、様々なものが考えられます。体位による問題であれば、パートナーに相談のうえ、無理のない方法で性交を行うようにしましょう。
もし、それでも痛みが改善されなかったり、腹痛以外にも症状があったりする場合には、婦人科系の病気や性感染症のサインである可能性もあります。デリケートな悩みだけに、病院に行くのはためらわれるかもしれませんが、できるだけ早く婦人科で診てもらうと安心ですよ。