生理前になると子宮のあたりがチクチクすることはありませんか?「激しい痛みでもないし、放っておいても大丈夫かな」と思うかもしれませんが、このチクチクには病気が潜んでいる可能性もあるので、注意が必要です。今回は、生理前に子宮が痛い場合、痛みの原因として何が考えられるのか、どう対処すればよいかについてご説明します。
生理前に子宮がチクチク痛い原因は?
生理前に子宮がチクチク痛む原因は、体内で分泌されるホルモンの作用や、子宮の炎症や婦人科系の病気など、様々なものが考えられます。
子宮の痛みが現れる時期が、生理前だけなのかどうか、また、おりものの増加や過多月経、吐き気などほかの症状もあるかどうかなどによって、推測される要因が異なるので、次から一つひとつ見ていきましょう。
生理前だけ子宮が痛いときは?
生理が始まる3~10日前の時期だけ、子宮のあたりがチクチクするという場合、「月経前症候群(PMS)」の可能性があります。
PMSは、下腹部痛に加えて、胸の張りや片頭痛、足のむくみなどの身体的な症状のほか、イライラや不安感といった精神的な変化も見られることがあります。
生理前の時期はこのような不快な症状に悩まされますが、生理が来るとスーッと症状がやわらいだり、なくなったりするのが特徴です。
PMSが起きる原因ははっきりわかっていませんが、ホルモンバランスの乱れやカルシウム不足などが一因として考えられています(※1)。
生理前に子宮が痛いのに加え、おりものが増えるときは?
子宮のあたりの痛みだけなく、おりものの増加も見られる場合、「付属器炎(卵巣炎・卵管炎)」や「子宮内膜炎」が起こっていることも考えられます(※2)。
これらの炎症は、クラミジアや腟内の細菌などが原因となり、子宮頸管から子宮内膜、卵管、卵巣へと上に向かって感染が広がることで起こります。
症状として、下腹部痛だけでなく、発熱や膿(うみ)っぽいおりものの増加が見られます。
炎症によって、子宮と腟をつなぐ子宮頸管がふさがってしまうと、子宮内に膿が溜まってしまい、「子宮留膿症」になってしまう恐れもあるので、早めに処置を行うことが大切です(※1)。
生理前に子宮が痛いのに加え、月経量が増えるときは?
生理前に子宮の痛みがあるだけでなく、生理中の出血量が増えたり、レバーのような血の塊が出たりする場合は、婦人科系の病気が原因かもしれません。
子宮に痛みを生じる病気として、「子宮筋腫」や「子宮内膜症」、「子宮腺筋症」などが挙げられます(※1)。いずれも、進行してしまうと不妊の原因になる恐れもあるので、早期発見・早期治療が大切です。
生理前に限らず、生理中にも症状があったり、生理がくるごとに痛みが強くなったりするようであれば、こうした病気の可能性を疑い、婦人科で診てもらいましょう。
生理前に子宮がチクチク痛いときは、妊娠初期症状かも?
生理前に子宮の痛みを感じる場合、妊娠している可能性も否定できません。様々な妊娠初期症状があるなかで、下腹部痛が現れる人もいます。
吐き気など、つわりのような症状もある、生理がいつもより遅れている、基礎体温の高温期が続いている、といった場合は、妊娠の可能性があります。
生理開始予定日を1週間過ぎても生理がこないときは、妊娠検査薬で調べてみましょう。陽性反応が出たら、なるべく早く産婦人科を受診してください。
生理前に子宮が痛いときは病院に行くべき?
先述のとおり、生理前に子宮の痛みがある原因は、いくつか考えられます。PMSなど、生理的な症状であれば過度に心配する必要はありませんが、次のケースにあてはまる場合は、病院を受診しましょう。
- 寝込むことがあるほどお腹が痛い
- 鎮痛剤を飲んでも効果がない
- 子宮の痛み以外の症状もある
- 妊娠検査薬で陽性反応が出た
特に、子宮周辺の炎症や婦人科系の病気を放置していると不妊の原因になる恐れがあるので、早期発見・早期治療を心がけてください。
子宮の痛みが妊娠による場合、妊娠検査薬で判明した時点ではまだ正常妊娠とは限りません。
痛みがひどい場合は子宮外妊娠の可能性もあるので、できるだけ早く病院を受診して正常妊娠かどうかを判定してもらうことが大切です。
生理前の子宮の痛みをやわらげるには?
子宮の痛みがPMSによるものである場合、日常生活の中で次のことを意識すると、症状が改善される可能性があります。できることから試してみてくださいね。
- 生理前は予定を詰めこまず、ゆっくり休む
- 適度な運動などでストレスを発散する
- 栄養バランスのとれた食事を摂る
- 体を冷やさないように気をつける
- ピルや漢方薬を処方してもらう
生理前の子宮の痛みがつらいときは病院へ
生理前の子宮の痛みは、PMSや婦人科系の病気、妊娠など、様々な可能性が考えられます。何らかの病気が隠れている場合、そのまま放置してしまうと妊娠しづらくなってしまう恐れもあるので、念のため婦人科を受診しましょう。
生理前の女性の体は特にデリケートなので、あまり頑張りすぎず、自分をいたわってあげてくださいね。