婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)という漢方薬をご存じでしょうか?婦宝当帰膠はその名からもわかるように、婦人科系の体の悩みに対して有効な漢方薬で、特に妊活中に飲むと効果が見込めるとされています。今回は、婦宝当帰膠の効果や副作用をはじめ、不妊に効果があるのか?などについてご紹介します。
婦宝当帰膠とは?
婦宝当帰膠は、当帰を主成分とし、女性の諸症状を改善するシロップ状の漢方薬です。「イスクラ産業」という会社が命名・精製しています。現在販売されている製品名は「イスクラ婦宝当帰膠B」です。病院で処方されることはなく、薬局で購入しなければ入手できません。
婦宝当帰膠に含まれる生薬は以下の通りです(※1,2,3)。
当帰(トウキ) | 冷えを解消する作用や、婦人科系の働きを活性化させる作用など |
黄耆(オウギ) | 利尿作用や、貧血やめまいを改善する作用など |
地黄(ジオウ) | 止血作用や、乾燥性の咳を止める作用など |
芍薬(シャクヤク) | 腹痛、生理不順、生理痛を治す作用、就寝時の汗を抑える作用など |
阿膠(アキョウ) | 止血・補血作用、精神不安・不眠を治す作用など |
茯苓(ブクリョウ) | 食欲不振・消化不良や精神不安を治す作用など |
甘草(カンゾウ) | 精神安定・緊張緩和・鎮痛作用や、胃腸の潰瘍を治す作用など |
川芎(センキュウ) | 生理不順・生理痛・腹痛・冷え症・頭痛を治す作用など |
党参(トウジン) | 消化を促進する作用や、咳や痰を抑える作用など |
このうち、当帰の量が全体の約7割を占めています(※4)。
婦宝当帰膠の効果とは?
先に述べたように、婦宝当帰膠は当帰を主成分としているので、効果も当帰によるものが主となります。
当帰は、中国で昔から「女性の宝」として重宝されている生薬です。
セリ科の植物で強い香りがあり、紫色の茎の上に小さな白い花を咲かせます。漢方薬局を訪れたことがある人は、セロリのような独特の匂いを感じたことはありませんか?それはこの当帰か、同じセリ科の川芎(センキュウ)によるものです。
当帰は、特に「血虚」という症状に対して有効です。「血虚」とは血の機能が弱くなった状態のことをいいます。血虚になると、皮膚のかさつきや爪の変形、髪が抜けやすい、貧血、集中力の低下、こむら返りといった症状が見られます(※5)。
当帰には、以下のような効果があります(※2)。
補血(ほけつ)・回陽作用
血を補い、活動エネルギーを活性化させます。冷えの解消、生理不順や生理痛、子宮内膜症、腹痛などに効果があります。
安胎作用
体を温める効果により、婦人科系の働きを活性化させ、不妊症に効果が見込めます。また妊娠中も、母体や赤ちゃんの健康を守ってくれます。
通便作用
体の冷えや、腸周辺の血流が良くないことが原因で起こる便秘に対して有効です。血をつくり血流を改善することで、腸の動きを良くして便秘を解消してくれます。
婦宝当帰膠は不妊に効果があるの?
婦宝当帰膠は、血の巡りをよくし、子宮や卵巣の働きを高める効果が期待できます。そのため、不妊の原因が生理不順や子宮筋腫など、血液に関わるものにある場合、それらの症状を緩和し、妊娠しやすい体をつくることができます。
同じく、不妊治療に効果が見込める漢方薬としては、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が挙げられます。
漢方薬は、同じ症状でも個々の体質などによって効く薬が異なります。自分でどの薬を飲むかを判断せず、医師や薬剤師の判断を仰ぎましょう。
婦宝当帰膠の副作用は?
以下の3点に該当する人は、服用前に医師、薬剤師、登録販売者に相談することとされています(※7)。
● 医師の治療を受けている人
● 胃腸が弱く、下痢しやすい人
● 今までに薬などにより発疹や発赤、かゆみなどを起こしたことがある人
特に婦宝当帰膠は、メインの生薬である当帰の影響により、胃もたれや胃痛が起こることが多くあります。
また上記にあてはまらなくても、他に服用している薬がある場合は、相性もあるので、あらかじめ医師や薬剤師に相談しておきましょう。
妊娠中の場合も、医師や薬剤師に相談し、判断を仰いでから婦宝当帰膠を服用してください。
婦宝当帰膠は通販でも購入できる?
婦宝当帰膠は、インターネットなどによる通信販売は行われておらず、漢方薬を取り扱っている薬局でのみ販売されています。
処方箋なしで誰でも購入できますが、不妊治療で産婦人科に通っているという人は、あらかじめ医師に婦宝当帰膠の服用を相談した上で薬局に行きましょう。
婦宝当帰膠を上手に利用して、不妊を改善しよう
婦宝当帰膠は、女性特有の不調に効果が見込める漢方薬です。妊娠を望む女性や、更年期障害に悩む女性に対して服用を薦められることが多く、特に不妊に悩む女性はその名を覚えておいて損はないでしょう。
ただし漢方薬は向き不向きがあり、副作用もないわけではありません。服用する前に、必ず医師や薬剤師に相談してくださいね。