子どもがまばたきや肩すくめなどの動作を繰り返し行っていると、「チック症なのかな?」と心配になるかもしれません。なぜ起こるのかや病院へ行ったほうが良いのか気になりますよね。
そこで今回はチック症について、原因や症状、治療法などをご説明します。
チック症とは?
チック症では、自分の意思とは関係なく、瞬間的に体を素早く動かしてしまう症状を繰り返します。
4〜6歳で最も発症しやすいといわれていて、症状の持続期間が4週間以上12ヶ月未満のものは「一過性チック障害」、症状が12ヶ月以上続き、3ヶ月以上続けてチック症が消えないものは「慢性チック障害」と呼ばれます(※1,2)。
チック症は、保育園や幼稚園ではよくみられるけれど、自宅ではあまりみられないなど、場面によって現れ方が異なることもあります。
チック症の原因は?
なぜチック症が起こるのかについては、未だ解明されていません。
遺伝的要因によって起こっているという考えもあれば、脳の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンの異常分泌が原因であるとする説もあります。
ただし、チック症は子育てや家族関係の問題のせいで起こるようなことはありません。子どもの「くせ」のようなものなので、心配しすぎず長い目で見守ってあげてくださいね。
チック症の症状は?
チック症は「運動チック」と「音声チック」に分類され、それぞれ以下のような症状が現れます(※2)。
運動チック
運動チックには、顔の素早い動きをすることが多い単純運動チックと、ややゆっくりでわざと行っているように見えることがある複雑運動チックがあります。
複雑運動チックは、10歳ごろから起こることが多いといわれています(※3)。
単純運動チック
● 目をパチパチさせる
● 目をギューッとつぶる
● 白目をむく
● 頬をヒクッとさせる
● 鼻をヒクヒクさせる
● 口角を引く
● 口を曲げる
● 顔をクシャッとさせる
● 首、肩、腕の素早い動きを繰り返す など
複雑運動チック
● 顔のあちこちを動かす
● 体の一部を触る
● 襟元を引っ張ったり噛んだりする
● 唾吐きを繰り返す など
音声チック
運動チックと同様に、音声チックも単純音声チックと複雑音声チックに分けられますが、5〜6歳の幼児では、単語や文のような複雑音声チックが起こることは少ないとされています。
単純音声チック
● エヘンと咳払いする
● コンコンと咳をする
● クンクン鼻を鳴らす
● 鼻をすする
● 息をフッとはく
● しゃっくりのような音を出す
● フフンと鼻歌のような音を出す など
複雑音声チック
● 無意味な言葉を発声する
● 汚い言葉を繰り返す
● 状況に合わない言葉を繰り返し発する など
音声チックを伴って多彩な運動チックが一年以上続くものは、トゥレット症候群と呼ばれています。
チック症の診断・治療法は?
チック症の診断は、現れている症状についての問診と面談によって行われるのが一般的です。
大人と比べると、子どもは同じ言葉や行動を繰り返すことが多いですが、違和感を感じるほど多いと感じる場合は一度かかりつけの小児科に相談してみると良いでしょう。
チック症は基本的に治療を必要としないため、薬物は使わずに本人が熱中できるものを見つけるなど、症状を誘発する緊張や不安を軽減させる試みを行っていきます。
多くの場合、中学生くらいまでに自然に治まります(※3)。
チック症の症状は、子どもが自分の意志で制御することは難しいです。「また症状がでているよ」と指摘しても、緊張やストレスが増えてしまうことに繋がります。
どのようなときに症状が起きやすいのかを把握して、不安を取り除いて子どもが過ごしやすいようにサポートしてあげてくださいね。
もし日常生活に支障をきたすほど症状が出る場合は、子どもにとって最適な治療法を検討するため、専門の医師に見てもらうと安心です。
チック症にはさまざまなケアが必要
チック症の症状が出るたびに、指摘したり、無理に止めさせようとしたりすると、子どもがチック症を意識して、症状が悪化することがあります。子どもにチック症が見られても、話を聞いてあげたり、様子を見てあげたりして、自然に接してあげてくださいね。
日常生活のさまざまな面でケアを行いながら、子どもの成長を支えていきましょう。