赤ちゃんが突然奇声をあげて困ってしまうことはありませんか?「キャー」「ギャー」「キーキー」といった甲高い声から、「ギャオー」と動物のように鳴くなど、その種類は様々。赤ちゃんが奇声をあげると、公共の場では迷惑がかかると心配になるし、パパやママもその声を聞いているだけで精神的に参ってしまいますよね。さらには自閉症や発達障害の兆候なのかと不安になってしまうことも…。そこで今回は、この赤ちゃんの奇声の原因と対処法についてご説明します。
赤ちゃんが奇声をあげる!なぜ大声で叫ぶの?

赤ちゃんが突飛な行動をとると、「発達障害や自閉症の可能性があるのかも」ということが、頭をよぎるかもしれません。しかし、赤ちゃんが奇声をあげることはよくあることで、決して珍しいことではありません。
生後5~6ヶ月頃になると、聴力や発語する力が発達してきて自分の声が認識できるようになり、声を出すことが楽しくて奇声をあげるようになります。耳がちゃんと聞こえて、赤ちゃんが成長している証拠です。そして、知能が発達して周りの状況が理解できるようになる1~2歳頃は、伝えたいことを言葉にできないもどかしさから奇声を発します。
成長とともにその回数も減っていくものですが、周りの大人の反応によってはいつまでもやめずに続くこともありますので、小さいうちから言い聞かせていくことが大切です。
ただし、十分に話せる3~4歳の年齢になっても、きちんとコミュニケーションが取れず、やたらと奇声をあげるようであれば、自閉症の可能性があるといわれています。
赤ちゃんが奇声をあげる原因と対処法
それでは、具体的に赤ちゃんはどんなときに奇声をあげてしまうものなのでしょうか。その代表的な例を、対処法と併せてご紹介します。
1. 疲れて眠たい

生後3~4ヶ月頃の赤ちゃんは、夕方になると「黄昏泣き」や「夕暮れ泣き」といわれる不機嫌な状態になり、奇声を上げながら泣くことがあります。原因は諸説ありますが、暗くなると一日の疲れがどっと出て起こるのではないかといわれています。
毎日決まった時間に起こりやすく、生後5~6ヶ月になるとおさまることが多いのですが、なかには幼稚園に入っても夕方は機嫌が悪く、怒って奇声を上げる子もいます。
対処法
この場合、外が暗くなってきたら早めに室内の明かりをつけてあげて、マッサージをしたり、ゆったりと絵本を読んであげてリラックスさせてあげましょう。また、しっかりとお昼寝をすることで黄昏泣きがおさまることがあります。早寝早起きをし、良質なお昼寝をさせてあげることで黄昏泣きと奇声を上げなくてもいい状態にしてあげたいですね。
2. 声を出すのが楽しい

生後5~7ヶ月頃の赤ちゃんは特に奇声を発することが多く、生後6ヶ月検診で相談をするママも多いようです。赤ちゃんによって叫び方は様々ですが、この頃になるといろいろな声が出ることが楽しくて、大声を出してしまいます。奇声を上げながらでも、笑っていたり、手足を元気に動かしたりして機嫌が良さそうに遊んでいるのが特徴です。
対処法
この頃はまだパパ・ママの言葉を理解するのは難しく、言い聞かせによる対処方法は難しいのですが、場所によっては静かにしなければいけないということを徐々に教えていく必要があります。すぐには分かってくれなくても、根気よく続けることで成長とともに、段々と静かにしないといけないときがあることを学んでいきます。
外出時に奇声を発したら、まずは口元に人差し指を当て、「シー」のポーズをしましょう。その後、唇をぶるぶるさせて音を出したり、いないいないばぁをしてあげたり、ガラガラを持たせてあげたりするなど奇声を発すること以外に楽しい遊びをしてあげます。
ただ、家の中にいるときに、笑いながらギャーギャーと奇声をあげているときは、「声を出すのって楽しいね」「●●ちゃん、お声を出すのが上手だね」などと話しかけてあげましょう。お腹をさすってあげたり、手足をバタバタと動かしてあげたりすると、スキンシップもとれて一石二鳥ですね。
3. 思い通りにならない

生後8・9・10ヶ月頃を過ぎると、少しずつ自我が芽生えはじめます。おもちゃが欲しいとき、お風呂に入りたくないとき、歯を磨きたくないときなど、思い通りにならないときに泣いたり怒ったりしながら奇声を発することがあります。これらは自我が出てきた成長の証でもあります。
対処法
まずは大声で叱りつけないように気をつけてくださいね。一時的には静かになるかもしれませんが、パパ・ママも大声を出しているのに、なぜ自分はいけないのか理解できないまま、パパ・ママが大声を出したときだけ奇声をやめればいいという悪循環に陥ってしまいます。
ここでもまず「シー」とサインをして、どうして大声を出してはいけないのか伝えましょう。「静かにしないと怒られるよ」や「いい子にしないと怒るよ」といった曖昧な言葉は赤ちゃんには伝わりません。「大声を出すとみんな耳が痛くて嫌だよ」「図書館は本を読む場所だから静かにしようね」など具体的に注意をしましょう。
また、騒いではいけない場所に行く場合は事前に「今日は●●に行くから、静かにしようね」といった声掛けをして、その場所で静かにできた場合は「静かにできて偉かったね!」と褒めてあげましょう。
言葉が通じているかどうか分からない赤ちゃんには少し難しい場合もありますが、赤ちゃんは親が思っている以上に周りを観察して学習しています。小さいうちから自分の思い通りにならない場所や場合があることを伝える努力をすると、奇声を上げる機会が減ることにも繋がります。
4. 注目してほしい

1~2歳の頃に奇声を発するのは、注目してほしいことが多いようです。滑り台を滑るのを見ていてほしいときや、積木が上手に組み立てられたときなど、注目して欲しいときに奇声を発する場合は、褒められたい、もっと自分を見て欲しいという気持ちの表れです。
これを改善するには、日頃から奇声を発してパパやママを呼ばなくても、「いつも見てくれているんだ」という気持ちにさせてあげるように、態度で示すことが肝心です。
対処法
忙しいときに限って注目してほしがる、ずっとそばにいるのにちょっと離れただけでかまって欲しがる、そんな場合は、少しの時間だけでもいいので赤ちゃんだけに注目し、遊んであげる時間を作りましょう。たとえそれが10分でも20分でも他のことをせずに赤ちゃんだけを見てあげてください。
そして、家事や仕事などでかまってあげられない時間を赤ちゃんに理解してもらえるよう、事前に「今から洗い物をするから遊んでいてね」と声掛けをし、家事をしている間も声をかけてあげます。家事が終わったあとは、一人で遊べていたことを褒めて一緒に遊んであげましょう。
また、生活リズムを作り、毎日決まった時間帯に決まった習慣を行うことで、赤ちゃんもこの時間だけは注目してもらえないと理解することができるようになってきます。このように赤ちゃんとのかかわり方を見直すことで、自分はいつも見守られているのだと感じて安心でき、注目して欲しいときに発する奇声が減ってきますよ。
5. 戸惑いや不安

赤ちゃんにはみんな個性があり、初めて行く場所や人が多い場所を楽しめる子もいれば、怖がり不安になってしまう子もいます。
赤ちゃんに戸惑いや不安があるときに奇声を上げてしまうと、「将来大丈夫かな…」と不安になってしまうお母さんもいるかもしれませんが、人より感受性が強く、物事を考える力が強いと前向きに捉えると良いですよ。
対処法
少しずつ、場所や人に慣らしていきましょう。色々な場所や人と触れ合わせることも幼少期には大切なことですが、自分の足で行動範囲や人間関係を広げていくのも大切な方法です。
まずは公園や児童館など身近な場所に通い、そこで出会う少数の人と打ち解けるようにし、それに慣れてきたら行く場所や交友関係を広げていきましょう。
大切なことは家族がついていれば安心だ、と赤ちゃんに分かってもらえるまで辛抱強く見守ってあげることです。徐々に慣らしていけば、そのうちに親がいなくても大丈夫な場所や人を理解していき、奇声を上げて不安がることも少なくなっていきますよ。
赤ちゃんの奇声は成長の証
その程度に差はありますが、赤ちゃんはみんな奇声をあげるものです。大声を出すことは肺などの呼吸器にもいいことなので、公園やスポーツ観戦など大声を出してもいい場所に定期的に連れて行って遊んであげるのもおすすめです。
赤ちゃんの奇声に関しては「何かの病気かも」と心配しすぎる必要はありません。温かい気持ちとしっかりとした対応で、赤ちゃんの成長を見守っていってあげてくださいね。