療育とは?発達障害の子供にどんなプログラムで治療や教育を行うの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

発達障害があると判断された子供や、発達障害の疑いがある子供へのサポートである「療育」を知っていますか?障害があっても社会的に自立していけるように取り組む、治療と教育のプログラムのことです。「もしかしてうちの子、発達障害かな?」と思っているパパやママは、その基本情報について知っておくと安心ですよ。今回は、療育の意味や、対象、提供されているプログラム内容、利用するための手続きなど、気になるポイントをご紹介します。

療育とは?

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「療育」とは、発達障害など様々な障害を持つ子供が、なるべく制約のない生活を送り社会的に自立できるよう、医療やトレーニング、教育、福祉などを通じて育成をしていくことです。

文部科学省の「障害者基本計画」では、「障害のある子ども一人一人のニーズに応じてきめ細かな支援を行うために、乳幼児期から学校卒業後まで一貫して計画的に教育や療育を行う」ことが基本方針の一つとして掲げられています(※1)。

療育にはどんな種類があるの?

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平成24年に「児童福祉法」が改正され、障害児が身近な地域で質の高い療育を受けられるよう、新しい障害児支援制度として「児童発達支援」の概要が規定されました(※2,3)。児童福祉法によると、児童発達支援には市区町村による「障害児通所支援」と都道府県による「障害児入所支援」の2つがあります。

障害児通所支援(市区町村)

児童発達支援

児童発達支援は、障害を持つ子供に対する日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などのサポートを指します。実施する主体は、児童福祉施設として定義された「児童発達支援センター」と、それ以外の「児童発達支援事業」の2つがあります。

● 児童発達支援センター
児童発達支援センターは、地域の中核的な療育支援施設です。施設が持っている専門性を生かし、地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる施設への援助・助言も合わせて行います。

● それ以外の児童発達支援事業
施設を利用する障害児や、その家族に対する支援を行う、より身近な療育の場として機能します。

医療型児童発達支援

肢体が不自由な子供に対して「医療型児童発達支援センター」等で、日常生活における基本的な動作の指導や、集団生活への適応訓練、運動機能面の発達促進などを行います。

放課後等デイサービス

障害のある就学児向けの、学童保育のようなサービスです。学校の授業が終わったあとや休日を利用して、児童発達支援センターやその他の指定施設に通い、集団生活に慣れる機会や居場所を作ります。生活能力向上のための訓練を行ったり、運動に特化したプログラムを実施したりと、施設によって療育の内容は異なります。

保育所等訪問支援

保育所などを利用中、または今後利用する予定の障害児に対して、その施設を訪問し、集団生活の適応のための専門的な支援を行います。

なお厚生労働省は、今後の障害児支援のありかたとして、「支援センターなどの事業所だけでなく、障害児のいる居宅への訪問型療育支援の制度化に向けて検討を行うべき」としています(※4)。

障害児入所支援(都道府県)

障害児入所支援は、療育の必要があると認められた障害のある子供を施設に入所させ、日常生活で必要な動作の指導や技能の訓練を行うことを指します。施設は大きく分けて「福祉型障害児入所施設」と「医療型障害児入所施設」があります。

療育の対象となる子供は?

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児童福祉法によると、児童発達支援の対象となる児童は「身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童」であり、このなかには発達障害児を含みます。

発達障害がある場合、障害者手帳のうち「療育手帳」または「精神障害者保健福祉手帳」を取得できる可能性があります。障害の度合いによって等級がつけられ、それによって税金の優遇措置や各種割引サービスが受けられることもあります。

しかし、障害者手帳の有無に関係なく、児童相談所、市町村保健センター、医師などにより療育が必要だと認められた児童も、児童発達支援の対象となります(※4)。

療育を利用するための手続きは?

役所 手続き ハンコ 承認

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの通所支援や、施設に入る入所支援などの療育サービスを利用するためには、「障害児通所給付費等支給申請」を行い、「通所受給者証」または「入所受給者証」の交付を受ける必要があります。

申請手順や必要書類は地域によって異なるので、詳しくは窓口で相談してみてくださいね。「障害児通所支援」の相談窓口は市区町村の福祉相談窓口・障害児相談支援事業所など、「障害児入所支援」の場合はお住まいの地域の児童相談所が窓口となります。

どのような療育プログラムがあるの?

子供 アート お絵描き プログラム

それでは、発達障害のある子の適切な療育のために、どんな療育プログラムが展開されているのでしょうか?子供が抱える困難や目的によって内容は様々ですが、その一例としていくつかご紹介します。

視覚支援を用いた訓練

発達障害を持つ子供は、耳から入る情報よりも目で見る情報の方が理解しやすい傾向にあります。そのため、視覚支援として絵が描かれているカードを使って、コミュニケーションを図ったり遊びを展開したりします。

例えば、「PECS(ペクス)」と呼ばれる絵カードの受け渡しも、コミュニケーション訓練の一つ。言葉をうまく発せられない子供が、自発的なコミュニケーションを育むことができるツールとして利用されています。

身辺自立への援助

食事、排泄、着替えなどを自分でできるようにするための身辺自立訓練も行われます。ここでも絵カードや動作カードを用いたり、見えているものに合わせて体を動かすイメージトレーニングを繰り返したりすることで、日常生活における基礎的な生活習慣を身につけることを目指します。

個別機能訓練

「話す」「手先を動かす」「音を聴く」など、子供の苦手な分野を訓練していきます。言語聴覚士や作業療法士、理学療法士、音楽療法士といった専門スタッフの個別指導が行われることもあります。

五感を刺激するプログラム

音楽やアート、砂遊びや水遊びなどを通じて五感を刺激し、子供の情緒の安定や身体機能の向上、コミュニケーション力の発達などをバランス良く促すプログラムです。ほかの子供たちと一緒に遊ぶことで、集団生活に必要な協調性を身につけられるという効果も期待されます。

「発達障害かな?」と思ったら療育の相談がおすすめ

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今回ご紹介したとおり、政府としても「児童発達支援」に関連する法律や制度の整備をすすめており、発達障害を持つ子供に対する早期の「療育」の重要性がますます認識されています。社会的に自立して生活していくためには、なるべく早期に療育につなげることが大切です。

「うちの子、もしかして発達障害かな?」と少しでも気になることがある、または発達障害だと判断された場合には、市区町村や地域の窓口で相談してみてくださいね。

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