「大事な仕事でお迎えができない」「上の子の学校行事があるけど下の子を連れて行けない」といった理由で、一時的に子供の面倒をみてもらいたいときがありますよね。しかし、パパも仕事が入っている、両親や義両親に頼れない、近くに預ける場所がない、というときは困ってしまうものです。そんなときにおすすめなのが、市区町村や企業が実施している「ファミリーサポート」制度。今回は、ファミリーサポートとはどんな制度なのか、利用するための条件、利用するときの注意点をご紹介します。
ファミリーサポートってなに?どんな制度?
「ファミリーサポート」とは、子育て中の家庭が育児のサポートを依頼したいときに利用できるサービスです。
多くは、各市区町村で運営されている制度を指しますが、企業やNPO法人が行っているベビーシッターのようなサービスをファミリーサポートと呼ぶこともあります。
市区町村のファミリーサポート
地域で行われているファミリーサポートは、正式には「ファミリー・サポート・センター事業」といい、子育てを地域で相互援助することを目的としています。内閣府の「地域子ども子育て支援事業」の一環として全国の市区町村で実施されているものです(※1)。
「サポートを受けたい人(依頼会員)」と「サポートを行いたい人(提供会員)」がファミリー・サポート・センターに必要書類を提出して登録をします。依頼会員は説明会への参加、提供会員は講習会や研修の受講が必要となることもあります。
その後、センターのアドバイザーが依頼会員と提供会員の仲介を行い、事前に打ち合わせをします。お互いの利用条件がマッチした場合、依頼会員がサポートを必要とする日に活動が行われます。
平成27年度のデータでは、全国の809市区町村で、ファミリー・サポート・センターの基本事業が行われています(※2)。
企業やNPO法人のファミリーサポート
企業やNPO法人が行っているファミリーサポートは、各団体によって登録方法や利用方法が様々です。基本的には、その団体に雇われているスタッフがサポーターとなり、必要とする家庭の育児サポートを行います。
依頼者とサポーターが事前に面談をするところもあれば、電話で挨拶するだけのところもあります。事前に顔合わせをしたい人は、企業側にリクエストするようにしましょう。
ファミリーサポートの内容は?どんな援助やサービスがあるの?
市区町村のファミリー・サポート・センターでは、主に下記のような援助活動が行われます。
● 保育園、幼稚園、小学校、学童保育、習い事への送迎
● 保育施設の開始前や終了後、小学校の放課後の預かり
● 保護者の急用や病気、冠婚葬祭のときの預かり
● 保護者の買い物やリフレッシュを目的とした外出の間の預かり
● 病後(保育園や幼稚園に行けないとき)の預かり
企業やNPO法人が行っているファミリーサポートのサービスは、各団体によって内容が異なります。上記の市区町村のファミリーサポートの援助活動を基本として、利用者のニーズにあわせながら「英語での保育」「家事のサポート」といった幅広いサービスを行っているところもあります。
ファミリーサポートの利用条件は?
ファミリーサポートを利用したいと思ったら、対象となる子供の年齢や利用できる時間、預かり場所などを確認しておきましょう。下記に、市区町村が実施しているファミリーサポートの利用条件をご紹介します。
対象年齢
ファミリーサポートでは、基本的に0歳から小学校6年生までの子供の育児サポートを行います。ただし0歳の場合、市区町村によって、生後43日以降、生後57日以降など月齢に制限があるため、住んでいる地域のセンターに確認をしましょう。
また、サポートを行う提供会員にも年齢の条件があり、地域によって、18歳(高校生不可)以上のところもあれば20歳以上のところもあります。
利用時間
ファミリーサポートを利用できる時間も、市区町村によって様々です。7~21時、7~19時など、基本的には保育所や小学校の開園・開校時間の前後にも利用できるのが特長です。
どうしても決められた時間外に利用したいというときは、センターのスタッフに相談してみましょう。
またほとんどの地域で、土日祝日もサポートを受けることができます。
預かり場所
子供の預かりを行う場所は、依頼会員または提供会員の自宅、近くの児童館や公園などです。基本的には、その日のスケジュールや天候などによって、会員同士で預かり場所を決めます。
病気で登園・登校できない子供を預かってくれる場合もありますが、病状や地域によっては預けられないこともあるので事前に確認しましょう。
企業やNPO法人によるファミリーサポートでは、生後間もない赤ちゃんの預かりや22時以降の夜間預かりを行っているところもあります。
ファミリーサポートの利用料金は?
ファミリーサポートの料金は運営している団体やサービス内容によって違いがあります。
市区町村のファミリーサポートの料金
1時間700~1,000円ほどで、土日祝日や年末年始は100円増しになることもあります。また、送迎などの交通費や、おやつ・食事代は実費を支払います。
兄弟姉妹で2人以上同時に利用するときは、2人目以降は1時間あたりの利用料金が半額になることがほとんどです。
料金の支払いは会員同士で直接やり取りをします。
企業・NPO法人のファミリーサポートの料金
企業やNPO法人のファミリーサポートでは、入会金や年会費が必要になることがあります。入会金と年会費は、それぞれ一家族5,000~20,000円ほどで、団体の規模や地域によって違いがあります。
利用料金は市区町村のファミリーサポートとほとんど変わらず1時間800円のところもあれば、1時間3,000円のところもあります。また、病児保育、夜間保育などサービス内容によって、料金に違いを設けているところもあります。
ファミリーサポートはすぐに利用できる?
地域で行っているファミリーサポートは、基本的に事前の顔合わせを行うことになっているため、当日依頼しても、受けてもらえないことが多いようです。一方企業やNPO法人のファミリーサポートは、当日などの急な依頼でも対応してもらえることがあります。
急な仕事などでどうしてもすぐにファミリーサポートが必要な場合は、企業やNPO法人のファミリーサポートを利用することも視野に入れましょう。
また、厚生労働省のデータによると、平成27年度末時点で、全国の市区町村のファミリーサポートの会員は、依頼会員が52万人、提供会員が13万人です(※2)。サポートを受けたい人(依頼会員)の数に対して、サポートを行いたい人(提供会員)が足りないことがわかります。
こういったことから、地域のファミリーサポートセンターに登録しても、なかなかマッチする人が見つからないこともあります。頻繁に育児サポートが必要になる家庭では、企業やNPO法人のファミリーサポートにも登録したり、認可保育園の一時保育を利用したりした方がいいでしょう。
ファミリーサポートを利用するときの注意点は?トラブルの予防法は?
ファミリーサポートを初めて利用するときに気になるのが、「知らない人に預けるので心配」「預けている間に事故にあったらどうしよう」ということではないでしょうか。
不安なことがあったら、登録や事前の顔合わせの際に、しっかりと確認しておくようにしましょう。
市区町村のファミリーサポートも企業やNPO法人のファミリーサポートも、ほとんどの組織・団体で、登録時に補償保険に加入します。登録時に怪我やトラブルが起きたときの手順をチェックしておくと安心ですね。
また、サポートをしてくれる提供会員は、あくまでも一般の人なので、過度な保育は要求せず、できることの内容をしっかり把握しておくことも大切です。
ファミリーサポートを上手に利用しよう
ファミリーサポートは基本的にどんな理由でも利用できるので、ママがリフレッシュしたいときにも、ぜひ申し込んでみてくださいね。
市区町村のファミリーサポートは、「困ったときはお互いさま」「地域のみんなで子育てをしていこう」という考えのもとに実施されています。子供の預かりや送迎をお願いしたときは、相手にきちんと感謝の言葉を伝えましょう。
子供が大きくなったら、今度は自分自身が提供会員として、地域の子供たちのケアをしてあげるのも素敵ですね。