蒙古斑が消えないことはあるの?原因と対処法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

日本人の赤ちゃんのほとんどに現れる「蒙古斑」。成長するにつれて自然と薄くなっていくのが一般的ですが、「なかなか消えない…」と心配になることもあるのではないでしょうか。

今回は蒙古斑について、消えないことはあるのか、その場合の原因と対処法などについてご紹介します。

蒙古斑とは?

蒙古斑 生後5ヶ月

蒙古斑とは、主に赤ちゃんのお尻や背中にかけてできる青いあざで、腕やお腹、胸などにできることもあります。日本人を含む黄色人種に多く見られます。

蒙古斑ができるのは、「メラノサイト」という色素細胞が関係しています。メラノサイトは紫外線を吸収すると、メラニンと呼ばれる黒い色素をを産出して、肌を守ろうとします。

赤ちゃんのお尻や背中では、表皮の下にある真皮にメラノサイトが存在しています(※1,2)。そのため、真皮でメラニンが産出されると、表皮を通して青色に見えるので、青いあざ=蒙古斑になるのです。

蒙古斑が消えないことはあるの?原因は?

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蒙古斑は生まれつき、もしくは生後1ヶ月以内にあらわれ、2歳頃まで色が濃くなっていきます(※1,2)。その後は、色が薄くなっていき、基本的に10歳頃までに自然に消えることがほとんどです(※1,2)。

ただし、3〜4%は成人になっても蒙古斑が消えない「持続性蒙古斑」となることもあります(※3)。

また、腕や足、お腹、胸などにできた蒙古斑は「異所性蒙古斑」と呼ばれ、お尻や背中にできる一般的な蒙古斑に比べて、色が濃く消えにくい傾向にあります(※1,2)。

持続性蒙古斑や異所性蒙古斑が消えにくい原因については、まだはっきりしたことはわかっていません。予防できるものではないので、経過を見ながら、治療をするかどうかを検討することになります。

また、蒙古斑と間違えやすいものに、「青色母斑」があります(※2)。

青色母斑は、通常のほくろより青みが強く、皮膚が小さく盛り上がり、直径1cm以下の大きさです。

お尻や背中以外の部位にも現れ、大きめの場合は悪性化する恐れがあります。お尻や背中以外の部位に小さく盛り上がった青いアザが見られるときは、念のため皮膚科を受診しましょう。

蒙古斑が消えないときの対処法は?治療は必要?

病院

蒙古斑は健康に害を与えるものではなく、ほとんどが自然に消えるものなので、基本的に治療の対象にはなりません。

ただし、蒙古斑がなかなか消えない場合は、皮膚科に相談して治療を検討するのも一つの方法です。

蒙古斑の一般的な治療法は、レーザー治療です。蒙古斑にレーザーを照射すると、メラノサイトが破壊されて消失します。基本的には、大きな副作用はなく、効果が期待できるとされています(※3)。

年齢が低いほど照射面積が小さく効果が高い、治療回数が少なくて済む、といった理由から、最近は乳幼児期にレーザー治療をすすめられることもあります(※3)。

特に、将来的に持続性蒙古斑や異所性蒙古斑として残る可能性が高いと診断された場合や、蒙古斑が目立つ場所にあるときは、早めに医師と相談して治療を検討しても良いでしょう。

蒙古斑が消えないときは様子をよく見てあげて

蒙古斑が残っていても健康上の問題はなく、多くの場合は服で隠せばほとんど目立ちません。

ただ、成長するにつれて、子どもが蒙古斑を気にするようになるかもしれません。大人から見て「目立たないから大丈夫」と思っても、子どもにとっては精神的にストレスを感じてしまうことがあります。

蒙古斑がなかなか消えない場合は、形成外科や皮膚科の医師と相談し、子どもの気持ちを尊重しながら、蒙古斑を治療するかどうかを考えていけるといいですね。

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