生まれたばかりの赤ちゃんの肌に赤いあざができていると「何かの病気では?」と心配になるかもしれません。実は赤ちゃんの頃の赤いあざには、自然に消えるものから治療が必要なものまで様々あります。今回は赤ちゃんの赤いあざについて、原因や症状、治療法などをご紹介します。
赤ちゃんの赤いあざとは?原因は?
赤いあざは、血管が異常に増殖して、血液中に含まれる赤血球の赤い色が皮膚の表面まで見えるようになったもので、医学的には血管腫と呼ばれる良性の腫瘍です。
赤いあざには先天的なものと後天的なものがありますが、いずれにしても、血管が異常増殖する原因については、はっきりとしたことは分かっていません。
赤ちゃんの頭や顔に赤いあざができたら?
赤ちゃんにできる赤いあざには、自然に消えやすいものもあれば、治療が必要なものまで様々です。赤ちゃんの顔や頭にできる赤いあざとしては、以下のようなものがあります。
サーモンパッチ
サーモンパッチは、新生児の約20%に見られる先天的な赤いあざで、盛り上がりはなく、シミのように平らです(※1)。
境目がはっきりしないのが特徴で、主に顔の中央やまぶた、鼻の下などにできます。1歳半までに約80%、3歳までに約90%が自然に消えます(※2)。がんなどになることはほぼないので安心してくださいね。
ウンナ母斑
ウンナ母斑は、うなじや後頭部のあたりにできる先天的な赤いあざです。サーモンパッチと同じように隆起しておらず、平らです。
ウンナ母斑は消えにくく、約半数が大人になっても残ります(※3)。しかしうなじや後頭部は髪によって隠れるので、その多くは治療せずに済みます。
赤ちゃんの背中や体に赤いあざができたら?
赤ちゃんの背中や、顔や頭を含む体のどこかにできる赤いあざは、以下の2つである可能性があります。
単純性血管腫(ポートワイン母斑)
単純性血管腫は、境目がはっきりしている平らな赤あざで、新生児の約1.5%に見られます(※1)。顔や体など全身のいたるところにできますが、先天的なものです。
単純性血管腫は、自然には消えないのが特徴です。額から目の周りにかけて広がっていると、緑内障やてんかんを引き起こすスタージウェーバー症候群の可能性もあるため、レーザー治療など早めの対処が必要です。
苺状血管腫
苺状血管腫は、生後7日を過ぎた頃から現れる後天的な赤いあざです。表面が隆起して、イチゴのようにブツブツになるのが特徴で、大きさは数センチから10数センチまで様々です。
あざは生後6ヶ月頃まで盛り上がっていますが、あざが小さければ6~7歳頃までには自然に消えることがほとんどです。
ただし、目や口のまわり、陰部などに苺状血管腫ができたときは、視力や口腔機能の発達に影響があるので、レーザーや内服薬での治療を必要とします(※2)。
海綿状血管腫
海綿状血管腫は、皮膚の深いところにできる先天的なあざで、色は赤というより青紫色です。見た目では、皮膚が少し盛り上がっています。
中に血液を含んでいるので、押すと柔らかく、ぷくぷくとした感触があります。苺状血管腫と見分けがつきづらいのですが、苺状血管腫と違って自然に小さくなることはありません(※4)。
赤ちゃんの赤いあざの診断方法・治療法は?
赤ちゃんの赤いあざの診断は、基本的に問診と視診によって行われます。
赤ちゃんにできる赤いあざは、自然に消えていくケースが多く、特別な治療をしなくて済むこともあります。ただし、あざの面積が大きい場合や、目の周りや顔、手足など露出する部分にできてなかなか消えない場合は、あざを薄くするための治療を行うことがあります。
赤いあざを薄くするには、レーザー治療を行うのが一般的です。赤いあざの箇所にレーザー光線を照射して色素を破壊し、そこに新しい皮膚ができるのを待ちます。
ただし、レーザー治療は痛みを伴い、効果を発揮するためには安静が必要なので、安全性の問題から小児や乳幼児には全身麻酔を行う必要があります。
海綿状血管腫など皮膚の奥深くにある赤いあざに対しては、レーザー治療では対処できず、血管に細い管を入れてゼラチンなどで血管を塞ぐ手術や、外科的な手術が行われます(※3)。
赤ちゃんの赤いあざは病院でチェック
赤ちゃんの赤いあざは自然に消えるものが多いといっても、大人になるまであざが残ってしまうケースもあります。また、問題のない赤いあざだと思っていたものが、実は治療を必要とするあざであるということも。
「うちの子の赤いあざは、自然に消えるタイプだから心配ない」と自己判断せず、まずは皮膚科か形成外科を受診することをおすすめします。専門家にどのタイプのあざなのかを診断してもらっておくと、ママやパパも安心できますよ。