卵管結紮術とは?方法や費用、デメリットは?手術後に妊娠できる?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

女性の身体的な問題や金銭的な問題などから「妊娠・出産することが望ましくない」ケースがあります。そのときに、妊娠を防ぐために産婦人科の先生から避妊手術の「卵管結紮術(らんかんけっさつじゅつ)」を勧められることがあります。今回は、その卵管結紮術とはどういうものか、方法や費用、デメリットなどをご説明します。

卵管結紮術とは?

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卵管結紮術とは、卵巣から排卵された卵子を子宮に届けるための通り道「卵管」を縛る、あるいは切断する避妊手術の一種です。これによって卵子は子宮までたどり着くことがなく、精子と出会うこともないのでほぼ100%の確率で避妊ができます。

卵子が子宮に送られるのを防ぐだけなので、手術後も排卵は続き、生理もこれまで通りに起こります。ただし、排卵された卵子は行き場がなくなるので卵管の途中で体内に吸収されます。

卵管結紮術の対象は?帝王切開との関係は?

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卵管結紮術が必要になるケースは様々です。もっとも多く見られるのは、複数回帝王切開による出産を経験した場合です。帝王切開を繰り返すと子宮が癒着を起こしやすくなり、母体への負担が大きくなります。

また、子宮の壁が薄くなって、再び妊娠したときに子宮破裂などを起こすリスクが高まるので、「これ以上の妊娠・出産は母体が耐えられない」と判断して、半永久的な避妊手術を行う必要があるというわけです。

そのほか、子供が増えて金銭面での負担が大きくなると十分に子育てができなくなるという場合、「子供は何人」と明確な家族計画を立てている場合などにも、卵管結紮術を行うことがあります。

卵管結紮術の手術方法は?

臍の少し下あたりを1.5~2cm切開して行う切開手術か、お腹に小さい穴を開けて特殊な器具を入れる腹腔鏡手術で卵管結紮術を実施します。帝王切開で出産したときに、一緒に卵管結紮術を行うこともあります。

左右にある卵管の一部を切り取って、切った部分を縛ります。切除することに抵抗がある場合は、プラスチック製のバンドやクリップで留める方法や、コイルを詰めて卵管を防ぐ方法もあります。

その方法は様々あるので、どの方法が適切かは医師とよく話し合って決めましょう。

卵管結紮術の費用はどれくらいかかるの?

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卵管結紮術の手術自体はそれほど大変なものではなく、30分ほどで終わるので日帰りで受けることもできます。費用は病院によっても違いますが、10万〜20万円ほどとされます。

帝王切開と一緒に行えば、出産費用にプラス3万~10万円で済むといわれるので、出産前に卵管結紮術を勧められた場合にはいつ手術を受けるかをよく考えてくださいね。

卵管結紮術のデメリットは?後遺症はあるの?

卵管結紮術を受けることによるデメリットや後遺症はほとんどありません。卵巣は今までどおり機能しているのでホルモンバランスが乱れるなどの症状もないと考えられます。

しかし、極稀に切り離した卵管が癒着してくっついたり、縛った卵管がほどけたりするケースがあります。卵管結紮術を受けた後の10年間で妊娠する確率は約2%あるとされるので、万が一のことが考えられます(※1)。

この場合は子宮外妊娠になることが多く、母体に大きな負担がかかるリスクが高まります。ほぼ100%避妊できる卵管結紮術ですが、万が一のリスクがあることは忘れないでください。

卵管結紮の手術後に妊娠したくなったら?

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卵管結紮術は「今後の妊娠を望まない」という強い意志をもって臨むものなので、一度手術をしたら自然妊娠はできなくなるのが大前提です。

しかし、そうはいっても、「手術後に妊娠したくなることがあるかもしれない」と考えてしまうことはありますよね。

その場合には、切除した卵管をつないだり、卵管を縛っていた器具を取り外したりする手術で生殖能力を取り戻すことも可能ですが、この手術はあまり行われていません。

また、卵管結紮術を行う前と同じ生殖能力を取り戻すことは難しくなるということは忘れないようにしましょう。

自然妊娠が難しければ体外受精に頼る方法もありますが、どれも万が一の対処法だということだけはよく認識したうえで、手術を受けるかどうかを考えてくださいね。

卵管結紮術を受けるかは慎重に検討しよう

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避妊効果の高い卵管結紮術ですが、一度手術すると自然妊娠ができなくなります。手術を受けるのは女性自身だけではなく、家族の人生も左右する大きな決断。医師から勧められた場合でも夫婦でよく話し合いましょう。

避妊方法にはコンドームやピルなどを使う方法もあります。自分たちにとって最善の選択肢はどれなのかをよく検討してくださいね。

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