中絶後・流産後は不妊のリスクがある?妊娠しにくいの?

監修医師 産婦人科医 浅川 恭行
浅川 恭行 1993年東邦大学医学部卒業。2001年同大学院医学研究科卒業後、東邦大学医学部助手、東邦大学医療センター大橋病院講師を経て、2010年より医療法人晧慈会浅川産婦人科へ。東邦大学医療センター大橋病院客... 監修記事一覧へ

「中絶や流産をすると妊娠しにくくなる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。中絶や流産で体に負担がかかってしまうのはわかりますが、妊娠しやすさにも関係するのでしょうか?今回は、中絶後や流産後に不妊になるリスクがあるのか、妊娠するために気をつけたいことは何か、などをご説明します。

中絶と流産の定義は?

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「中絶」は人為的に、「流産」は自然に、妊娠が途中で終わってしまうことを指します。それぞれの定義については次のとおりです。

中絶(人工流産)

中絶は、正しくは「人工妊娠中絶」といい、「胎児が母体の外で生命を維持できない時期に、人工的に胎児とその付属物(胎盤や羊水など)を母体の外に排出すること」です。

ここでいう「胎児が母体の外で生命を維持できない時期」は、現行の母体保護法では「妊娠22週未満」とされています。

妊娠22週未満であればどんなケースでも中絶が許されるわけではなく、「妊娠の継続または出産が、身体的または経済的理由により、母体の健康を著しく害する恐れがある」または「暴行や脅迫によって、または抵抗・拒絶することができない状態で性交が行われ、妊娠した」という場合に、母体保護法指定医によってのみ行われます(※1)。

流産(自然流産)

流産は、「妊娠22週未満に自然に妊娠が中断されること」をいいます。流産の時期によって大きく2つに分けられ、妊娠12週未満は「早期流産」、妊娠12週以降22週未満であれば「後期流産」です。

日本では妊娠12週以降に死んでしまった胎児を出産することを「死産」とし、死産届の提出義務があることから、後期流産は死産として扱われます。これは、中絶による結果であっても同じです。

統計上、1回の妊娠あたり約15%の確率で自然流産が起こり、そのうち早期流産が約90%、後期流産が約10%です(※2)。

中絶後・流産後の不妊リスクは?

リスク

中絶の場合、器具を使って胎児や胎盤を子宮から掻き出す「子宮内容除去術(掻爬術)」を行います。流産についても、子宮の中身が自然に排出されるのを待つ「待機療法」が選択されない場合は、同じく子宮内容除去術を行う必要があります。

子宮内容除去術によって、合併症が引き起こされる可能性はゼロではなく、場合によっては、不妊症になって妊娠しにくくなるリスクもあります。

日本産科婦人科学会によると、手術の影響として、月経不順や習慣流産、不妊症、次回出産するときの障害などの可能性を挙げられています(※3)。ただ、はっきりしたことはわかっておらず、現在のところ統計的データが取られているわけではありません。

中絶後に考えられる不妊の原因は?

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中絶すると必ず不妊になる、とは言い切れませんが、子宮内容除去術を行うときに合併症が起こったり、中絶を何度も繰り返したりすることで、不妊のリスクが高まる可能性はあります。

合併症として起こりうるのは、手術で子宮の中や頸管が傷つくことによる出血や、子宮内感染による発熱などです(※3)。これらの症状が重い場合、将来の妊娠に影響が出ることも考えられますが、医医学的に因果関係が証明されているわけではありません。

自分の意思があって性交渉を行うパートナーがいる状態で、まだ妊娠を望まないのであれば、中絶による不妊のリスク要因を少しでも減らすためにも、きちんと避妊をしましょう。

流産後に考えられる不妊の原因は?

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中絶と同じく、流産後に子宮内容除去術を行った結果、合併症の影響で不妊リスクは高まる可能性はあります。しかし、「一度流産したら次は妊娠しにくい・流産しやすい」ということは医学的に証明されていません。

ただし、流産によって赤ちゃんを失った悲しみから、精神的ダメージを受けることでホルモンバランスが崩れ、しばらくは妊娠に適した心身の状態には戻らないこともありえます。流産後の妊活・子作りについては焦らず、まずはゆっくり心と体を落ち着かせることを優先にしましょう。

もし、一度流産を経験したあと妊娠はするものの、流産を繰り返してしまう場合、反復流産や習慣流産と判断されます。この場合、妊娠には至るため、妊娠できない「不妊症」とは異なります。

しかし、流産を繰り返すリスク因子を自分かパートナーが持っている可能性があるため、病院で詳しい検査を受けましょう。

中絶後・流産後、不妊の心配があれば医師に相談を

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中絶や流産を経験すると、心身ともに少なからずダメージを受け、将来的な不妊について思い悩んでしまうかもしれません。しかし、中絶や流産が不妊の直接的な原因になるとは限らないので、心配しすぎないでください。

中絶・流産後、精神的ストレスによりホルモンバランスが崩れ、一時的に生理周期が乱れることもあります。ゆっくりと休息を取ったあと、前向きに妊活や子作りに取り組もうという気持ちになってきたら、基礎体温をつけて自分の体と向き合ってみてくださいね。

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