「プラノバール」は、重い生理痛や生理不順などの治療のために処方されることがあるホルモン剤ですが、緊急避妊を目的としたアフターピルとして使われることもあります。今回は、プラノバールの避妊効果や飲み方、飲むにあたって注意したいことなどについてご説明します。
プラノバールはどんな薬なの?
プラノバールは、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」と「卵胞ホルモン(エストロゲン)」という2種類の女性ホルモンが配合されたホルモン剤のひとつです。
プラノバールを一定期間飲むことで、女性ホルモンが補充され、体内のホルモンバランスが人工的に整えられます。
そのため、重い生理痛や生理不順など、ホルモンバランスの乱れによって引き起こされる婦人科系の症状が改善されることがあるほか、生理のタイミングをずらす目的で処方されることもあります(※1)。
プラノバールで避妊できるのはなぜ?
適切なタイミングでプラノバールを服用するとかなり高い確率で避妊することができますが、どのような仕組みで妊娠を防ぐことができるのかは、明らかになっていません(※2)。
これまでの研究の結果からは、プラノバールを飲むことで子宮内膜の状態が変化し、受精卵が着床しにくくなる、卵胞が完全に成熟する前に排卵が起こる、といった理由が考えられています(※2)。
プラノバールは緊急避妊用のアフターピルとして使われるの?
「アフターピル」とは、性交渉を行った後に妊娠を防ぐための避妊薬で、「モーニングアフターピル」や「緊急避妊薬」などとも呼ばれます。
たとえば、避妊せずに性交渉を行ってしまった、臨まない性交渉を強いられた、性行為中にコンドームが外れてしまった、または破けてしまったという場合に、事後的な避妊のために処方されます。
世界的に見ると、近年ではより副作用が少ないアフターピルとして「ノルレボ」という薬が処方されることが増えていますが、日本ではまだプラノバールも広く処方されています。
プラノバールによる緊急避妊がうまく行くと、平均して10日後くらいに生理(消退出血)が起こります(※2)。
ちなみに、いわゆる「ピル(経口避妊薬)」は、錠剤に含まれるホルモンの量によって高用量・中用量・低用量の3段階に分けられます。ホルモンの含有量が多い高用量ほど効果がありますが、体への負担も強くなり、副作用が現れやすくなるというデメリットも。
プラノバールは中用量ピルに分類されるので、長期的な服用の場合は負担が大きくなります。そのため、計画的な避妊を望む場合は、体への負担が比較的少ない「低用量ピル」を飲み続けることが一般的です。
プラノバールで避妊したいときの飲み方は?避妊率はどれくらい?
緊急避妊を目的にプラノバールを飲むときには、性交後の72時間以内に1回2錠を服用し、さらに12時間後に2錠追加で飲みます(※2)。
プラノバールによる避妊効果は約97.4%と高いですが、確実に妊娠を防げるとも限りません(※2)。性交渉を行ったあと、72時間以内のできるだけ早いタイミングで最初の2錠を飲むほど、避妊効果が高いと考えられています。
また、その12時間後、2回目の服用を忘れてしまうと避妊効果が落ちるため、必ず忘れずにプラノバールを飲む必要があります。
緊急避妊を望む場合は、できるだけ早く婦人科を受診してプラノバールの処方について相談するようにしましょう。
プラノバールでの避妊を繰り返していいの?
緊急避妊を目的としてプラノバールを使用する場合、副作用によって体に負担がかかることもあるため、何度も繰り返し飲むことは推奨されていません(※2)。
プラノバールを飲んだあと、半数以上の人が吐き気を催したという報告もあるほか、嘔吐や下腹部痛、頭痛、倦怠感、下痢などの症状が見られることもあります(※2)。
ほとんどの副作用は薬を飲んでしばらくすると自然と治まるものですが、繰り返し利用することはできるだけ控えてください。
プラノバール以外の避妊法も検討を
性交渉後、プラノバールを適切に飲むことで、高い確率で妊娠を防ぐことができますが、100%うまく行くとはいえません。また、服用後に吐き気などの副作用が現れることもあります。
プラノバールによる緊急避妊は最終手段として考え、妊娠を望まない場合は普段から低用量ピルを飲んだり、コンドームをつけて性交渉を行ったりと、避妊の方法を工夫してみてください。