「気管支炎」は風邪と間違われやすい病気で、子供が風邪をひいたと思っていたら気管支炎だったということはよくあります。看病しているママやパパは、「気管支炎が自分たちにうつることもあるのかな…」と心配になるのではないでしょうか。今回は、気管支炎の感染力や予防法についてご説明します。
気管支炎とは?
のどと肺をつなぐ「気管(気管支)」の粘膜に炎症を起こす病気が、気管支炎です。風邪によって弱った気管支に、インフルエンザウイルスやアデノウイルスなどのウイルスや、肺炎球菌やマイコプラズマなどの細菌が感染して起こることがほとんどです。
風邪は主に気道の上部(上気道)に炎症が起きた状態ですが、それが下部(下気道)まで広がると気管支炎の状態になります。気管支炎にかかると、発熱、頭痛、のどの痛み、鼻炎などの症状のあとに、強い咳、痰が現れます。
気管支炎は風邪と症状が似ていますが、気管支炎の場合、痰がからんだような「ゴホゴホ」という湿った重い咳が長く続く、という特徴があります(※1)。
気管支炎はうつるの?感染経路は?
気管支炎は「気管支が炎症を起こした状態」を指し、炎症そのものが人から人にうつることはありません。しかし、原因となっているウイルスや細菌が感染して、風邪や気管支炎の症状を引き起こす可能性があります。
細菌・ウイルスは、咳やくしゃみなどによる「飛沫感染」がほとんどです。体調不良などで免疫力が落ちている人にうつると、気管支炎が起こりやすくなります。
なお、「1年のうち3ヶ月以上痰を伴う咳をしていて、この状態が2年以上続いている」場合、慢性気管支炎の可能性があります。これは大気汚染やタバコの煙などが引き金で、急性気管支炎と違ってウイルス感染が原因ではないので、うつるものではありません(※2)。
気管支炎がうつるのを予防するには?
前述のように、気管支炎そのものがうつるわけではありませんが、原因となっている細菌やウイルスが感染する場合、種類によって感染力が違います。
ウイルスが原因の気管支炎には特効薬がなく、自分の体力で治るのを待つ対症療法をするしかありません。かかってしまう前に、次に挙げるような対策で感染を予防しましょう。
手洗い・うがい
外出先から帰ったあとや食事の前の手洗い・うがいを徹底しましょう。もし子供が気管支炎にかかったら、タオルや食器などを家族内で共用にせず、別々のものを使うようにしてください。
マスクをつける
人の多い場所に外出するときは特に、マスクを着用しましょう。マスクの外側にウイルスや細菌が付いている可能性があるので、付けたり外したりする際に手で触らないよう注意してくださいね。
万が一、気管支炎にかかってしまった場合も、周りへの感染を防ぐためにマスクをしておくようにましょう。
加湿する
ウイルスや細菌は乾燥しているほど活発になるので、室内の湿度は50~60%くらいを維持しましょう。家の中では加湿器を使ったり、濡らしたタオルを吊るしておくのもいいですね。
規則正しい生活をする
疲れやストレスが溜まると免疫力が低下するので、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠をとるようにしましょう。子供が小さいうちは、パパやママが規則正しい生活リズムを作ってあげてくださいね。
インフルエンザの予防接種を受ける
気管支炎の原因となるウイルスや細菌は様々ですが、インフルエンザウイルスによる感染は、予防接種で防げる可能性もあります。
一般的に、毎年10〜11月頃、遅くとも12月中旬頃に予防接種を受けるのが目安なので、インフルエンザが流行する前に、かかりつけ医に相談してください。
赤ちゃんは細気管支炎に注意
気管支炎は、症状が軽いものなら1週間程度で自然に治ることもあります。しかし、生後10ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、炎症が気管支の末端部分にまで広がり、喘鳴・呼吸困難などを伴う「細気管支炎」を発症してしまうことがあるので注意が必要です(※1)。
月齢が低いほど細気管支が十分に発達しておらず、ウイルスの侵入が進みやすいため、重症化してしまう可能性が高くなります。こじらせると治療に時間がかかってしまうので、子供につらい思いをさせないためにも早めの治療とケアを心がけましょう。
寝て数時間後にゴホゴホとした咳が出る、一日中咳が止まらず、数日間続く、といった場合、気管支炎が疑われます。
ハーハーと浅い息をしている、呼吸が小刻みに速くなっている、顔色が悪くぐったりしている、といった様子が見られたら、夜中でもすぐに小児科を受診してください。
気管支炎がうつる前に、しっかり予防しましょう
免疫力が低く、気管支が未熟な赤ちゃんや子供は特に、風邪をこじらせて気管支炎を発症しやすいものです。軽い症状であれば、1週間程度で良くなることが多いですが、咳が長引くと体力を消耗し、細気管支炎を引き起こす可能性も。
すみやかに小児科を受診し、重症化を防ぐ治療を受けるようにしましょう。また、部屋の加湿をする、しっかり睡眠をとらせるなど、ホームケアも大切にしてくださいね。