子供はよく風邪をひきますが、発熱が長引き、なかなか治りが悪いときは要注意。もしかしたら肺炎になっているかもしれません。肺炎になると、長く続く熱や咳で体力が奪われて、子供はもちろん、看病するママやパパも疲れてしまうので、子供の肺炎はできるだけ早く対処することが肝心です。今回は子供の肺炎の原因や症状、治療法、入院の基準や入院期間などをご紹介します。
肺炎とは?子供は発症しやすい?
肺炎とは、細菌やウイルスなどが原因で、のどから気管支、肺胞(気管支の末端にある小さな袋)までが炎症を起こしてしまった状態です。
子供は風邪をこじらせ、ウイルスや細菌が肺にまで広がって肺炎を発症することがよくあります。体が未発達な子供を肺炎から守るためにも、まずは風邪にかからないようにする心がけが大切です。
子供が肺炎にかかる原因と症状は?
肺炎には様々な原因がありますが、子供がかかりやすい肺炎は、主に「細菌性」「ウイルス性」に分けられます。ここからは、それぞれの肺炎の症状について詳しくご紹介します(※1,2)。
細菌性肺炎
細菌性肺炎は、主に肺炎球菌やインフルエンザ桿菌といった細菌が肺に入り込むことで発症します。細菌の種類は他にも多岐に渡ります。
風邪に似た症状から始まって、高熱が4日以上続き、痰のからんだような咳を伴うことが特徴です。感染した細菌の種類によっては、脱水症状や呼吸困難などの症状が早く進行することがあります。
ウイルス性肺炎
ウイルス性肺炎は肺炎のなかで最も多く、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどによって引き起こされます(※1)。
多くの場合、風邪の症状から始まり、高熱や激しい咳といった症状が現れます。感染したウイルスの種類によっては、他呼吸や水分摂取低下による脱水などが現れることもあります。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマと呼ばれる細菌微生物が原因で発症します。発熱が長く続く、全身の倦怠感、頭痛、咳がだんだん強くなるといった症状が見られ、咳は熱が下がった後も3~4週間続く傾向にあります(※3)。
マイコプラズマ肺炎は赤ちゃんが発症することはほとんどなく、学童期の子供に多く見られます。
夏型過敏性肺炎
夏型過敏性肺炎とは、トリコスポロンというカビの一種を吸い込むと、肺胞にアレルギー性の炎症が生じる病気です。主な症状としては発熱や咳、倦怠感があり、夏風邪の症状と似ています。
トリコスポロンは湿気の多い環境を好むため、高温多湿になる夏季に発症することが多く、冬季に発症することはほとんどありません(※4)。また、木造家屋や畳、寝具に繁殖しやすく、自宅にいる時間が長い女性に多く見られる病気です。
子供の肺炎の診断方法は?
肺炎は風邪の症状と似ており、判別が難しいため、「高い熱が続く」「呼吸のスピードが速い」「機嫌や顔色がよくない」などの気になる症状が出ていたら、早めに小児科を受診するようにしましょう。
肺炎の確定診断は、胸部X線検査によって行われます。撮影されたレントゲン写真で肺の一部が白くなっていると、肺炎と診断されます。
胸部X線検査によって肺炎の確定診断が下された場合、鼻のぬぐい液や血液を検査して、肺炎の原因を推定することが多いです。
子供の肺炎の治療法は?入院期間や入院の基準は?
肺炎の治療法は、原因によって異なります。細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎は、抗菌薬を使って原因に直接働きかけます。症状がひどい場合は、解熱剤や咳止めなど症状に合わせた薬が処方されます。
ウイルス性肺炎には、基本的に対症療法を行います。ただし、弱った肺に細菌が感染することがあるので、二次感染を予防するために抗生物質を使うことがあります(※1)。
子供が肺炎にかかった場合、症状によっては入院して治療を行います。以下のいずれかに該当するかどうかが、一般的な入院の基準となります(※5)。
● 呼吸の回数が早い、顔色が悪い
● 患者が1歳未満である
● 水分も飲めない状態である
● 抗菌薬を飲んでも症状が良くならない
● 他に基礎疾患がある
● 脱水症状がある
入院期間は症状の重さによって変わりますが、細菌性肺炎で5~7日程度です。症状が軽い場合は、自宅療養となる可能性があります。
子供の肺炎の予防法は?
肺炎を予防するためには、風邪にかからないようにすることが一番大切です。
外出時はマスクを着用し、人混みはできるだけ避けましょう。家に帰ってきたら、うがいと手洗いをきちんと行ってください。
免疫力を低下させないために、睡眠や栄養をしっかりとることも忘れずに。また、両親の喫煙は子供の肺炎リスクを上げるとされているので、可能なら禁煙しましょう(※6)。どうしてもやめられない場合でも、子供がいる部屋では喫煙しないようにしてください。
厚生労働省検疫所によると、肺炎球菌、麻疹、百日咳などの予防接種を受けることでも、ある程度肺炎を予防する効果が期待できるとされています(※6)。
子供が肺炎にかからないように普段の心がけを
子供の肺炎は重症化しないように、早期発見による治療が大切です。ただし、月齢が低い赤ちゃんだと、体温調整や呼吸機能が未発達のため、熱や咳といった症状がはっきりと現れないことがあります。
高熱が続く、顔色が悪いなど、何かおかしいと感じたら、できるだけ早めに医師に診てもらってください。日頃から子供の様子をしっかり観察して、体の異変に早く気づいてあげましょう。