胎脂とは?新生児の肌がカサカサになる原因は?対処は必要?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

「胎脂」という言葉をご存知でしょうか?胎脂は新生児特有のもので、赤ちゃんの肌にとって大切な働きをするものです。また新生児の肌といえば、カサカサになってしまうのも特徴です。この胎脂と肌の乾燥は、何か関係があるのでしょうか?今回は、胎脂とはなにか、また新生児の肌がカサカサになる原因や対処法についてご説明します。

新生児の胎脂とは?

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産まれたばかりの新生児は、「胎脂」と呼ばれる、白いクリーム状の物質で覆われています。胎脂は、赤ちゃんがママのお腹の中にいる妊娠6ヶ月頃から作られ始め、赤ちゃんの体の皮膚を覆うだけでなく、頭や髪にもついていきます。

胎脂の成分の約80%は水分、残りは脂質とタンパク質が約10%ずつで、粘り気が強いのが特徴です(※1)。

赤ちゃんの胎脂の役割は?

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胎脂には、新生児の肌を守る働き、そして潤いを与える働きがあります。ママのお腹にいる間は外部からの刺激はありませんが、産まれた直後から、肌は乾燥や外気の刺激などをたくさん受けます。

赤ちゃんの皮膚は非常に薄く刺激に弱いため、胎脂によって赤ちゃんの肌をバリアしているのです。また、赤ちゃんが産道を通りやすいためという説もあります。

最近では、胎脂の役割に注目して、産まれてすぐには沐浴をさせない病院が増えてきました。産後数日はあえて胎脂を残しておき、細菌などの感染を予防しようという考え方です。日本未熟児新生児学会では、赤ちゃんが生まれて6時間以上経ってから、できれば2~3日後以降の沐浴が望ましいと提唱しています(※2)。

ただし、産まれてすぐに沐浴をして胎脂を洗い流した場合と、そのまま残しておく場合との差は、医学的には明らかになっていません。

胎脂はいつまでついているの?

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生まれてすぐは目に見える形で赤ちゃんの体についている胎脂ですが、生後数日の間に胎脂に含まれた水分が蒸発して、クリーム色から透明に変わっていくため、目立ちにくくなります。胎脂を残したままにしていると汚れがつきやすいので、生後1~2日目には洗い流すのが通常です。

ただし、胎脂を洗い流したとしても、保湿成分はしばらく赤ちゃんの皮膚に残るため、皮膚トラブルは起こりにくいといわれています。

新生児の肌がカサカサになる原因は?

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生後1ヶ月頃になると、赤ちゃんの肌が急に乾燥して皮膚がポロポロとむけてしまうことがあります。これは「新生児落屑(らくせつ)」と呼ばれ、それまで胎脂で守られていた皮膚が外の空気に触れて乾燥することによって剥がれ落ちるものです。

新生児落屑は、生後1ヶ月頃に起こります。ひどい日焼けをした後のように、赤ちゃんの皮膚があちこち突然むけてきてしまうので、パパやママはびっくりするかもしれませんね。しかし、これは新生児によくある生理現象。特に心配はいりませんよ。

ただし、症状が広範囲に現れている場合や、赤みが強い場合には保湿剤などを使ってケアすることもあります。

新生児の肌がカサカサ…対処法は?

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新生児落屑は、2週間~1ヶ月程度で自然と綺麗になるものなので、皮膚を引っ張ってむいたりせず、そっとしておきましょう。無理に剥がそうとすると皮膚が炎症を起こしたり、ただれたりする可能性があります。

生後2~3ヶ月頃までは、赤ちゃんの肌の皮脂は十分足りている状態です。カサカサの肌を見るとベビーローションやクリームなどを塗ってあげたくなりますが、生理的な現象なので様子を見ましょう。

カサカサした状態がひどい場合は、小児科や皮膚科を受診してください。

新生児の肌がカサカサで、湿疹がある場合は?

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薄くて白っぽい皮がポロポロと向ける新生児落屑であれば、特に問題はありません。しかし、赤ちゃんの顔や頭皮にかさぶた状の湿疹ができている場合、「乳児脂漏性湿疹」の可能性があるので、注意が必要です。

乳児脂漏性湿疹は、頭皮から分泌される脂分と頭の汚れが混ざり、固まって出てきたものです。湿疹がひどくなると、細菌感染を起こしてしまうことも。

生後5ヶ月頃までに自然と治まっていくことがほとんどですが、厚いかさぶたや赤みがあったり、赤ちゃんがしきりに頭やおでこをかいたりするようであれば、小児科か皮膚科を受診しましょう。

胎脂は赤ちゃんの皮膚を守る大切なもの

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赤ちゃんの全身にベタベタと白いものがついている様子は、決してきれいではありません。しかし、その胎脂は、赤ちゃんの皮膚を守るためになくてはならないものです。

また、新生児落屑も自然な生理現象で、赤ちゃんの成長にしたがって治まっていくものなので、無理に皮を剝がそうとせず、自然にまかせてあげてくださいね。

生後3ヶ月を過ぎて、赤ちゃんの皮脂の分泌が落ち着いてきたら、ベビーローションやベビーオイル、クリームなどでスキンケアをして乾燥を防いであげましょう。

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