出産後に自宅に帰ると新しい生活が始まりますね。ところが、母乳はちゃんと出ているのに、赤ちゃんがおっぱいを飲まない、飲み始めてもすぐにやめてしまって授乳時間が短い…こうしたことが続くとママも心配になってしまいますよね。赤ちゃんはなぜすぐにおっぱいを飲むのをやめてしまうのでしょうか?今回は新生児が母乳を飲まない原因とその対処法をまとめました。
新生児の授乳時間や量、間隔はどれくらい?

一般的に、母乳だけの場合は2~3時間おきの授乳間隔が平均です。ママの体も同じようなタイミングで母乳がつくられるようになっていて、時間が近づくとおっぱいが張ってきます。とはいえ授乳の間隔が2時間以内という赤ちゃんもたくさんいます。
生後3ヶ月を過ぎた頃から満腹中枢が完成してきますが、それまでは1回の授乳で赤ちゃんが飲める量は2時間くらいしかもたない量です。
また、母乳を作るプロラクチンというホルモンの分泌リズムがおよそ1時間半なので、そのタイミングで飲ませるといいという意見もあります。授乳の間隔や回数はママと赤ちゃんのタイミング次第で、正解があるものでもありません。
新生児のあいだは「赤ちゃんが欲しがって泣いたらとりあえずおっぱいをあげてみる」という方法がおすすめです。こうあるべき!と思いすぎてストレスが溜まってしまっては疲れてしまいます。赤ちゃんがご機嫌にしていて、体重も増えていれば心配はいりませんよ。
新生児が母乳を飲まない!授乳時間が短い原因は?

上記のような方法で進めていても、明らかに赤ちゃんがおっぱいをあまり飲んでくれていない、すぐに飲むことをやめてしまう…とお悩みのママもいると思います。
赤ちゃんにとって、母乳は唯一の大事な栄養なので、本能的に体は母乳を欲しているはずです。新生児の場合、母乳を飲んでくれないのは、おっぱい自体を嫌がっているわけではなく、抱っこの体勢や乳首との角度、授乳のタイミングなどで疲れてしまうことが主な原因です。
赤ちゃんが口の周りの筋肉を上手に使えるようになるまでは時間がかかりますが、特に新生児期はおっぱいを飲むという動作に慣れておらず、まだ体力もありません。うまく飲めないと疲れてしまい、途中で飲むのを止めてしまうのです。
飲まない原因は何なのか、あせらず授乳の度に様子をよく観察して少しずつ探っていくことが大切です。
新生児が母乳を飲まないときの対策は?

新生児の赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれないとき、原因究明とともに以下のような対策もあわせて行ってみてください。
母乳の量と質の改善
母乳は赤ちゃんが乳首を吸う刺激がきっかけとなって作られるので、赤ちゃんが飲んでくれないと、分泌も減ってしまい、更におっぱいを飲んでくれなくなってしまいます。
ママは少し大変ですが、短時間でも回数を増やして飲ませるようにしてみましょう。赤ちゃんにとっても、上手に飲む練習になりますよ。乳首を口に含んでもくれない場合は、搾乳器を使って定期的に搾乳して分泌を促すことが大切です。
乳房の状態
触ってみて硬いしこりがある場合、乳管が詰まっている可能性があります。乳管がつまっていると、赤ちゃんがどんなに頑張って吸っても母乳が出てこないので疲れて飲むのをやめてしまいます。
また、放置しておくと乳腺炎になってしまい、ママに発熱などの辛い症状が出る場合もあります。自分で搾乳するか、母乳外来がある産婦人科でおっぱいマッサージを受けましょう。乳管のつまりが原因の場合、母乳が出るようになれば、赤ちゃんも飲んでくれるようになりますよ。
乳首の状態
ママの乳首が陥没乳頭や扁平乳頭、短小乳頭、巨大乳頭といった場合、赤ちゃんは乳頭をくわえるのに時間がかかる可能性があります。痛みなどがなければ乳首マッサージなどを行って乳頭をやわらかくし、赤ちゃんが吸いやすいようにしてあげてください。
ママの食生活の改善
おっぱいの味はママの食生活が反映されます。濃い味の食事や脂分の多い食事を続けているとおっぱいの味が変わり、赤ちゃんが嫌がって飲まなくなることがあります。
また、栄養バランスが崩れているとおっぱいに粘りが出てつまりやすくなりますので、塩分を控えた和食中心の食事に切り替えてみましょう。
母乳を飲まない赤ちゃんにはミルクを足すべき?

いろいろな対策を講じてみたものの、まだ母乳を飲んでくれないとなると、不安になってミルクを足そうか迷ってしまいますよね。どう対応しても母乳が出ないときや3時間以上何も飲んでくれないときなどは、赤ちゃんの栄養を考えてミルクも足してあげるなど、臨機応変に対応しましょう。
100%母乳育児をしたい!と考えすぎるとストレスが溜まってしまい、母乳の出が悪くなる原因にもなってしまいますよ。
赤ちゃんが母乳を飲まないときも一人で悩まないで
母乳育児のよさは、母乳が赤ちゃんにとって豊富な栄養源だからというだけではありません。小児科の先生が基本的に母乳育児をすすめているのは、赤ちゃんとママで強いスキンシップがとれるからです。
抱っこして行う授乳は、赤ちゃんがママの存在を肌で感じて安心できるというメリットがあるのです。ママに抱かれてあたたかいおっぱいをお腹いっぱいに飲む、これが赤ちゃんにとって、とても気持ちがいいこと。
授乳を通してママのぬくもりを感じた赤ちゃんは、安心して次の成長段階に入ることができるといわれています。
ただし、最初から母乳育児が順調にいくことのほうが珍しいものです。うまくいかないときは、ミルクを足してみるのも一つの手です。抱っこしながらミルクをあげることも赤ちゃんにとっては、気持ちの良いスキンシップになりますよ。
母乳育児について不安や疑問があるときは、まず一人で悩まずに助産師さんか母乳外来で気軽に相談してみてくださいね。