「赤ちゃんがおしゃぶりや指しゃぶりを続けていると、歯並びが悪くなったり、出っ歯になったりする」と聞いたことはありませんか。赤ちゃんらしい仕草でかわいらしく見えますが、止めさせたほうがいいのかと気になりますよね。
そこで今回は、おしゃぶりが子どもの歯並びにどう影響するのか、対処法などを含めご紹介します。
赤ちゃんがおしゃぶりをするのはなぜ?
赤ちゃんがおしゃぶりをするのは生理的なもので、おっぱいや哺乳瓶に吸いつく「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」が影響しています。
吸啜反射とは、生まれたときから備わっている原始反射の一つで、生後5~6ヶ月くらいから見られなくなってくるとされています(※1)。
ただし、しばらくは吸啜反射の名残があり、何かを吸っていると気持ちが落ち着いて、ぐずったときに自分の指を吸ったり、おしゃぶりを吸ったりすることで静かになることも多いです。
その反面、ただ癖がついてしまったことや、精神的に安定するといった情緒に関わること、生活環境が影響していることもあります(※2)。
おしゃぶりは歯並びに影響するの?出っ歯になりやすい?
おしゃぶりは「吸う」ことが自然な乳児の間で活用するぶんには問題ありません(※2)。
ただし、離乳が済んで口の働きが「吸う」から「かむ」ことへ移行する、おそくとも2歳までずっと利用していると問題が起こる可能性があります。
乳歯の奥歯が生え揃う時期まで続けていると、上の歯と下の歯の間に隙間ができる「開咬(かいこう)」や、前歯が突き出す「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」、いわゆる「出っ歯」になりやすくなります。
また、唇の閉じ方や舌の使い方にも問題が生じやすくなるとされています。
そのため日本小児歯科学会は、乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃からおしゃぶりをやめる準備をはじめて、2歳過ぎまでにはやめられるようにすることを推奨しています。
おしゃぶりをするときの対処法は?
赤ちゃんのおしゃぶりをやめさせたいと思っても、実際どうすれば良いのかわかりませんよね。無理に引きはがしても、精神的に安心することが理由で続けている場合は、逆効果になってしまうこともあります。
子どもの気持ちに寄り添いながら、以下のような自然とやめられる方法を試してみてくださいね。
言葉で注意する
突然取り上げるのではなく、言葉ではっきりと理由を説明しましょう。
「お口が痛くなるから、おしゃぶりはやめようね」「おしゃべりできないから、外そうね」「ごはんが食べにくいからやめようね」と、理由をしっかり伝えながら、子どもが自然とおしゃぶりをやめるように言葉で繰り返し注意することを続けてみてくださいね。
外遊び・運動をさせる
手持ちぶさたにならないよう、外で体をいっぱい動かして遊ばせましょう。体力を使うので、その後お昼寝するときも、おしゃぶりや指しゃぶりをする間もなく寝てくれるようになります。
手遊びをする
手が空いていると、赤ちゃんはなんとなく口に手を持っていってしまうことがあります。部屋で遊ぶときは、手遊び歌や、お絵かき、積み木など、手を使う遊びを促してあげましょう。食事のときにスプーンやフォークを持たせるのも効果的です。
寝つくまで絵本を読む
おしゃぶりがないことで不安を感じているようであれば、子どもが寝つくまで絵本を読んであげましょう。ママやパパの声に安心して、そのまま寝ついてくれることもあります。
スキンシップを増やす
寝る前や起きたときに、子どもをぎゅっと抱きしめてあげましょう。寝るときに手を握ってあげるのも効果的です。スキンシップを増やすことで、おしゃぶりがなくても気持ちが満たされていきます。
赤ちゃんのおしゃぶりをやめさせるときの注意点は?
赤ちゃんのおしゃぶりは、せっかく止めたと思ったら、ぶり返してしまうことがあります。
たとえば、下の子の誕生や引越しで環境が大きく変わったときなど、心的ストレスが引き金となります。
そのような場合は、おしゃぶりをやめさせるために叱りつけたり、口からおしゃぶりを取り上げたりなど、無理に止めさせるのは子どものためにもよくありません。
まずは子どもがおしゃぶりを欲しがる理由を考えて、気持ちに寄り添ってあげてくださいね。スキンシップや語りかけなどを繰り返して、不安を取り除いてあげましょう。
あせるとうまくいかず、ママやパパのストレスにもなってしまうので、長い目で見ておしゃぶりをやめさせるよう取り組むようにするといいですよ。
おしゃぶりは徐々にやめていこう
おしゃぶりが歯並びに悪影響を及ぼしてしまわないかと心配になりますが、乳児のうちから神経質になりすぎる必要はありません。
子どもは成長するにつれていろいろなことができるようになるので、自然に興味・関心もおしゃぶりから離れていくものです。成長の過程にあわせて、少しずつおしゃぶりを止めさせていってくださいね。