「赤ちゃんがおしゃぶりや指しゃぶりを続けていると、歯並びが悪くなったり、出っ歯になったりする」と聞いたことはありませんか?赤ちゃんらしい仕草でかわいらしく見えますが、歯並びが悪くなるならおしゃぶりは止めさせたほうがいいのではないかと気になりますよね。そこで今回は、おしゃぶりが子供の歯並びにどう影響するのか、対処法などを含めご紹介します。
赤ちゃんがおしゃぶりをするのはなぜ?

赤ちゃんがおしゃぶりをするのは生理的なもので、生まれたときから備わっている、おっぱいや哺乳瓶に吸いつく「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」が影響しています。
吸啜反射とは、唇に触れたものを反射的に吸う原始反射の一つで、生後5~6ヶ月くらいから見られなくなっていきます(※1)。
ただし、3歳頃までは吸啜反射の名残があり、何かを吸っていると気持ちが落ち着いて、ぐずったときに自分の指を吸ったり、おしゃぶりを吸ったりすることで静かになります。
その反面、3歳以降で続くおしゃぶりや指しゃぶりは、ただ癖がついてしまったことや、精神的に安定するといった情緒に関わるもの、生活環境が影響していることが多いと考えられています(※2)。
おしゃぶりは歯並びに影響するの?出っ歯になりやすい?

おしゃぶりは歯並びに悪影響を与える可能性があります。特に歯が生えそろう時期や生え変わる時期に指やおしゃぶりをくわえていると、歯や顎の成長の妨げになるからです(※2,3)。
おしゃぶりを乳臼歯(乳歯の奥歯)が生え揃う2歳半~3歳過ぎまで続けていると、上の歯と下の歯の間に隙間ができる「開咬(かいこう)」や、前歯が突き出す「上顎前突」、いわゆる「出っ歯」になりやすくなります。
奥歯の噛み合わせがズレる「交叉咬合(こうさこうごう)」などを引き起こす可能性も高くなることもわかっています(※3)。
他にも、正しく発音ができない、上顎がめくれる、顎の発達が遅れる、口呼吸になりやすい、口を開けたまま食べるようになりやすいといった、歯並び以外の影響も懸念されています(※2)。
そのため、日本小児歯科学会では、1歳を過ぎたらおしゃぶりは常時使わないこと、2歳半になったらおしゃぶりをやめるように促すことを推奨しています(※3)。
おしゃぶりをするときの対処法は?

赤ちゃんのおしゃぶりをやめさせたいと思っても、実際どうすれば良いのかわかりませんよね。無理に引きはがしても、精神的に安心することが理由で続けている場合は、逆効果になってしまうこともあります。
大切なのは、子供の気持ちに寄り添いながら、自然とやめられるように促してあげることです。ここでは、2歳半~3歳でおしゃぶりや指しゃぶりをやめさせる方法として、家庭でできるものをご紹介します(※2)。
言葉で注意する
「お口が痛くなるから、おしゃぶりはやめようね」「ママとおしゃべりできないから、外そうね」「ごはんが食べにくいから、やめようね」と、理由をしっかり伝えながら、子供が自然とおしゃぶりをやめるように言葉で繰り返し注意することを続けます。
外遊び・運動をさせる
手持ちぶさたにならないよう、外で体をいっぱい動かして遊ばせましょう。体力を使うので、その後お昼寝するときも、おしゃぶりや指しゃぶりをする間もなく寝てくれるようになります。
手遊びをする
手が空いていると、赤ちゃんはなんとなく口に手を持っていってしまうことがあります。部屋で遊ぶときは、手遊び歌や、お絵かき、積み木など、手を使う遊びを促してあげましょう。食事のときにスプーンやフォークを持たせるのも効果的です。
寝つくまで絵本を読む
おしゃぶりがないことで不安を感じているようであれば、子供が寝つくまで絵本を読んであげましょう。ママの声に安心して、そのまま寝ついてくれることもあります。
スキンシップを増やす
寝る前や起きたときに、子供をぎゅっと抱きしめてあげましょう。寝るときに手を握ってあげるのも効果的です。スキンシップを増やすことで、おしゃぶりがなくても気持ちが満たされていきます。
赤ちゃんのおしゃぶりをやめさせるときの注意点は?

赤ちゃんのおしゃぶりは、せっかく止めたと思ったら、ぶり返してしまうことがあります。
たとえば、下の子の誕生や引越しで環境が大きく変わったときなど、心的ストレスが引き金になってぶり返すことがあります。そのため、おしゃぶりをやめさせるために叱りつけたり、口からおしゃぶりを取り上げたりなど、無理に止めさせるのは子供のためにもよくありません。
まずは子供がおしゃぶりを欲しがる理由を考えて、気持ちに寄り添ってあげることが大切です。上述の通り、スキンシップや語りかけなどを繰り返して、不安を取り除いてあげてください。
急ぐとうまくいかず、ママのストレスにもなってしまうので、長い目で見ておしゃぶりをやめさせるよう取り組んでいきましょう。
おしゃぶりに神経質になりすぎないで

おしゃぶりが歯並びに悪影響を及ぼしてしまわないかと心配になりますが、1歳前後の小さいうちから神経質になりすぎる必要はありません。
子供は成長するにつれて色々なことができるようになるので、自然に興味・関心もおしゃぶりから離れていくものです。成長の過程にあわせて、少しずつおしゃぶりを止めさせていきましょう。
どうしても子供がおしゃぶりに固執するようであれば、生活環境で何らかの不安を感じているのかもしれません。上記の対処法を実践しても子供がおしゃぶりをほしがるようであれば、小児歯科に相談してみてくださいね。