絨毛癌とは?症状は?妊娠を経験した人はなる可能性がある?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

妊娠すると、子宮内には胎盤をはじめとしていろいろな組織が作られます。しかし、なかには癌になってしまうものもあり、その一つとして絨毛癌があります。そこで今回は、絨毛癌とはどのような症状が出るのか、妊娠を経験した人がなる癌なのかなどについてご説明します。

絨毛癌とは?

絨毛 胎盤

絨毛(じゅうもう)とは、妊娠に伴って発生する胎盤の一部で、胎児の血管とママの血管との間で栄養素や老廃物の交換を行う働きをします。この絨毛を構成する細胞の一部が癌化したものが絨毛癌です。

絨毛癌を発症すると絨毛はみられなくなり、絨毛癌細胞が子宮筋層にも広がっていきます。周辺の組織は、出血して固まったり、壊死してしまうこともあります(※1)。

絨毛癌の多くは、後ほど説明する胞状奇胎という病気が主な原因となって発症します。しかし、稀に正常な妊娠・出産を迎えた後にも発症するため、注意が必要です。なお、2004年から5年間での発生率はおよそ0.002%で、とても稀な病気といえます(※2)。

絨毛癌の症状は?

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絨毛癌になると、次のような症状が出ます。

● 性器からの不正出血
● 咳
● 意識障害

上記以外では、癌が肺に転移している場合は血の混じった痰が、脳に転移している場合は脳出血がみられることもあります。

なお、絨毛癌の症状で最も多いのは不正出血です。不正出血が続く、量が増えるなど、症状が悪化する場合は、早めに産婦人科で診てもらいましょう。

ただし、絨毛癌は症状だけでは診断を下せない病気です。不正出血などの症状があるからといって必ずしも絨毛癌であるとは限りません。このあと説明する診断方法によって、絨毛癌かどうかを調べる必要があります(※1)。

絨毛癌は妊娠経験があるとなる?

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絨毛癌のうち、妊娠性絨毛癌と呼ばれるものは、妊娠の経験がある女性であれば誰でも発症する可能性があります。

妊娠性絨毛癌とは、流産や人工妊娠中絶、あるいは通常の出産をした後に発症したり、胞状奇胎の治療後に発症する絨毛癌のことです。絨毛癌全体のうち、そのほとんどを妊娠性絨毛癌が占めています。

さらにそのうち半数以上は胞状奇胎から発症する絨毛癌です。

一方、非妊娠性絨毛癌というものもあります。こちらは、別の癌が絨毛癌に変化するなど、様々な理由で妊娠とは関係なく発症するものを指しています(※1)。

絨毛癌診断スコアとは?

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上で述べたように、絨毛癌は症状だけでは診断できません。絨毛癌であると確定させるためには、子宮摘出をして病巣を直接調べる必要があります。

しかし、子宮を摘出してしまうと妊娠できなくなってしまうことや、このあと説明する化学療法の効果が高いことから、画像検査などを含めた「絨毛癌診断スコア」と呼ばれる独自の診断基準によって、絨毛癌かどうかを調べるのが一般的です。

なお絨毛癌診断スコアは、次のようなチェック項目から構成されており、精度の高い診断基準です(※1)。

● 直前の妊娠で胞状奇胎を発症したか、通常の出産だったか
● 直前の妊娠から診断が下されるまでの期間はどのくらいか
● 病巣がある部位はどこか
● 転移の有無や転移場所はどこか
● 肺に転移していたときはその大きさや個数はどのくらいか
● hCGの値はどのくらいか
● 基礎体温に異常があるか

絨毛癌の治療法は?

点滴

絨毛癌の治療では、他の癌と同じく複数の抗がん剤を併用して行う、多剤併用化学療法を中心に行います。特に最初の治療では、次のような薬を使って治療します(※1)。

● エトポシド
● メトトレキサート
● アクチノマイシンD
● シクロホスファミド
● ビンクリスチン

なお、これらによる化学療法の効果が高いことが、このあと説明するように寛解・治癒率の高さや子宮摘出をせずに絨毛癌だと診断することが多い理由につながっています。

絨毛癌の死亡率は?

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絨毛癌は化学療法による治療の効果が高く、子宮のみに病巣がある場合は100%、他の臓器へ転移している場合は80〜90%の確率で寛解します(※3)。

上記の数字からもわかるように、絨毛癌は発症したからといって必ずしも死に至る病気というわけではありません。

絨毛癌以外の絨毛の病気は?

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絨毛で起きる病気は絨毛性疾患と呼ばれます。絨毛癌以外には次のようなものがあります(※1)。

胞状奇胎

絨毛が腫れ上がる病気で、すべての絨毛で起きる場合もあれば、部分的に起きる場合もあります。胞状奇胎の発生数は20〜30代の女性が多くなっていますが、発生率は年齢とともに上がる傾向があり、40歳以上で妊娠した女性はとても高くなっています。

なお、すべての絨毛で胞状奇胎が起きた場合、絨毛癌を発症する確率は1~2%と通常より高くなります。

侵入奇胎

子宮筋層、あるいは子宮筋層内の血管へ胞状奇胎が広がったり、転移したりしている場合を侵入奇胎と呼びます。絨毛癌と見分けるのが難しいことがあり、その場合は絨毛癌診断スコアをもとに侵入奇胎かどうかを判断します。

存続絨毛症

侵入奇胎や絨毛癌が疑われるものの、病巣を摘出するまでには至らないときや、病巣を摘出してもよくわからないときは、存続絨毛症と呼びます。病巣を摘出して、どのような状態になっているかはっきりわかれば、侵入奇胎や絨毛癌、あるいはその他の病気といった診断が可能になります。

中間型トロホブラスト腫瘍

受精卵が着床した部分の細胞や、絨毛の表面を覆う膜の一部が腫瘍になったもので、発症するのはとても稀です。

絨毛癌は治せない癌ではありません

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絨毛癌は化学療法の効果が高く、治る確率の高い病気なので悲観しすぎる必要はありません。また、子宮の摘出をせずに診断し、化学療法により治れば再び妊娠することが可能です。

ただし、できるだけ早く発見することが大切です。そのため、もし出産後に性器から異常な出血があったり、痰に血が混じったりした場合はすぐに産婦人科で診てもらいましょう。

万が一、絨毛癌と診断されたら、家族や医師と十分に相談して、しっかりと治療に臨んでくださいね。

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