流産後の腹痛や不正出血はいつまで続くの?生活の注意点は?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

流産を経験した後は、子宮が元に戻るまで、腹痛や出血が続くことがあります。症状が落ち着かないことには、次へ進みたくても、なかなか気持ちのリセットもしにくいものですよね。また気持ちよく妊活を再開できる日を迎えるために、今回は、流産後の腹痛や不正出血がいつまで続くのか、生活する上での注意点はあるのかについてご説明します。

流産後の腹痛や不正出血はなぜ起こるの?

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流産には、下腹部の緊張感や腰痛を伴うことがあります。これは、子宮が収縮することによって起こるもので、流産の種類によっては腹痛が持続することがあります。

また、流産の主要な症状として、出血が見られます。多くの場合、流産が終わるまで出血が続きますが、ゆっくり進行するケースでは、流産後も出血が続くことがあります。

流産にはいくつか種類があり、次のとおり症状の程度が異なります(※1,2)。

稽留流産

子宮内で胎児や胎嚢の成長が止まり、子宮内にとどまっているものを「稽留流産」といいます。母体には自覚症状がないことが多いですが、少量の性器出血が見られることもあります。

進行流産

流産が進行している状態の「進行流産」は、陣痛のように強い下腹部痛や、やや多めの性器出血を伴うこともあります。

不全(不完全)流産

自然流産のほとんどは、「不全(不完全)流産」です。流産が進行した結果、胎児や付属物が完全に体外に排出されず、一部だけ子宮内に残っている状態です。

ほとんどの場合、子宮は自然と元の状態に戻りますが、出血や腹痛がしばらく続くことがあります。

完全流産

流産が進行し、胎児と付属物が完全に、自然に子宮から外に出された状態が「完全流産」です。数日間は出血や腹痛が続くことがありますが、症状は軽いことがほとんどです。

流産後の腹痛や不正出血はいつまで続くの?

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上でご説明したとおり、流産の種類によって症状は異なり、その程度にも個人差があります。

腹痛や不正出血は、流産後にすぐ治まることもあれば、長ければ数週間にわたって続くことがあります。「10日間ほど出血が見られたあと、3~4日は血液まじりのおりものが出た」という人もいます。

不正出血か生理か、自分では判断が難しいこともあるかもしれませんが、通常、流産の手術後、約3~5週間で生理が来る人が多いようです。ただし、ストレスや体調によって生理が遅れたり早まったりするケースもあります。

出血量が異常に多い、2週間以上出血が止まらない、腹痛があまりにひどくて日常生活に支障をきたす、といった場合には、担当医に診てもらうようにしましょう。

流産後の生活の注意点は?

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流産を経験したあとは、自分が思っているよりも、心身に負担がかかっていることもあります。すぐに忙しく活動したり、焦って子作りをしたりする前に、まずはゆっくり心身のケアすることが大切なときもあります。

一人で抱え込まず、パートナーにもサポートしてもらってくださいね。

精神的ケア

流産を経験すると、「どうしてこうなってしまったのだろう」という無力感や、「自分のせいなのではないか」という自責の念にさいなまれ、気持ちがふさぎこんでしまうこともあるかもしれません。

妊娠の15%は自然流産に至るとされ、その原因の多くは胎児側の染色体異常であるため、流産を防ぐのは難しいことです(※1)。

男性は流産の実感が湧きづらいこともあるかもしれませんが、パートナーとのコミュニケーションの時間を持ち、不安な気持ちがあれば言葉で伝えることで、二人一緒に流産の経験を乗り越えていけると良いですね。

身体的ケア

流産による腹痛や出血、子宮内に残った胎児や付属物を取り除く手術を経験したあとは、少なからず身体的ダメージがあるかもしれません。また、精神的な負担もあることで、体調に影響が出ることもあるかもしれません。無理のない日常生活を送り、少しずつ体力を取り戻しましょう。

流産後の夫婦生活の再開時期については、厳密な基準があるわけではありませんが、子宮が元の状態に戻り、心身が回復するまで様子を見つつ、医師の指示に従いましょう。早い人であれば、流産の1ヶ月後くらいから子作りを再開できます。

また新たな命を迎えるにあたり、妊娠しやすく、健康な体づくりが大切です。栄養バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動を心がけ、ホルモンバランスを整えましょう。生理周期を把握するため、基礎体温をつけるのも良いでしょう。

経済的ケア

流産後に掻爬(そうは)手術を行った場合、手術費用が生命保険でカバーされる場合があります。精神的につらいときで、お金のことなど考えられないかもしれませんが、パートナーにに相談し、保険会社に確認してみることも大切なことでしょう。

流産後の腹痛や不正出血がある場合は、十分な休息を

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流産後の腹痛や不正出血といった症状は、人によって長く続くこともあれば短期間で終わることもあります。なかには治療が必要な場合もあるので、症状が重いときや長く続くときは産婦人科を受診しましょう。

流産後は気持ちが落ち込むこともあるかもしれないので、できるだけパートナーや家族と一緒にゆったりとした時間を過ごすようにしてください。

流産を経験しても、また妊娠し、出産する人はたくさんいます。流産後はあまり無理をせず、少し休息をとって落ち着いてから、また赤ちゃんを迎える準備をはじめられるといいですね。

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