赤ちゃんにできる「あざ」といえば蒙古斑が有名ですが、それ以外にも茶色や黒、赤などのあざができることがあります。そこで今回は、赤ちゃんにあざができる原因は何か、あざにはどんな種類があるのか、そしてあざが突然できることはあるのかなどについてご説明します。
「あざ」とは?
「あざ」とは、皮膚の一部の色がそのまわりと違って見えている状態のことを指します。色は様々で、茶色や赤、青、黒などがあります。
一般的には、あざというと、転んだりしたときに内出血を起こして皮膚が青くなっている状態のこと指すことが多いと思います。
しかし医学的には、そうした放置しておけば自然に消えてしまうようなものをあざとは呼ばず、生まれつきや生後すぐにでき、色の変化がずっと残るものをあざと呼ぶことが多いです(※1)。
赤ちゃんのあざの原因は?
一口に赤ちゃんのあざといっても、何色のあざなのかによって原因が違います。以下で、それぞれのあざができる原因についてご説明します。
茶色・黒・青のあざができる原因は?
赤ちゃんにできる茶色や黒、青のあざには、「メラニン」という色素を作る細胞が関わっています。
皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪織という3つの層からできていますが、真皮の浅いところにメラニンを作り出す「メラノサイト」があると、メラニンによって皮膚が茶色に見え、反対に深いところにあると皮膚は青く見えます。また、メラニンの量が多ければ多いほど、色が濃く見えます(※2)。
つまり、真皮の浅いところにメラノサイトが部分的に集中すると茶色いあざができ、メラノサイトが集中する場所が深くなるにつれて、黒いあざ、青いあざとして見えるということです。
赤いあざができる原因は?
赤ちゃんのあざの中でも、赤いあざだけは原因が異なり、血液中の赤血球が関係しています。
真皮や皮下脂肪織の中には血管が走っていますが、この血管が増えることでできるのが赤いあざです。血管の中にあるヘモグロビンによって赤く見えます。医学的には赤いあざのことを「血管腫」といいます(※2)。
赤ちゃんのあざの種類は?茶色いときは?
以下で、赤ちゃんにできるあざの一例をご紹介します。
カフェオレ斑
カフェオレ斑は、あざの境界がはっきりしているコーヒー牛乳のような色をした茶色いあざで、小さいものは0.2cmくらい、大きいものになると20cm程度のものもあります。生まれつき持っている赤ちゃんもいれば、生後すぐにできる赤ちゃんもいます。
カフェオレ斑は10〜20%の赤ちゃんが持っているためそれほど珍しくありませんが、直径1.5cm以上のものが6個以上あると、レックリングハウゼン病という遺伝性の病気の可能性があるため、病院で診てもらった方がいいでしょう(※3)。
ただし、レックリングハウゼン病は発症率が0.03%しかなく、極めて稀な病気といえます(※4)。
イチゴ状血管腫
イチゴ状血管腫は、生まれてから数週間たった赤ちゃんに現れる、盛り上がりのある赤いあざです。
初めはただ赤いだけですが、その後、成長とともに膨らんでいき、生後6ヶ月ごろに最大になります。それを過ぎるとだんだん小さくなっていき、色も薄くなります。6歳頃には消えていますが、大きなあざの場合は跡が残ることもあります(※5)。
蒙古斑
赤ちゃんのお尻から背中にかけてできる青あざは蒙古斑といいます。2歳頃までは色が濃くなっていきますが、その後は少しずつ薄くなっていき、10歳前後までには大部分が消えてしまいます。
ただし、約3%は大人になっても蒙古斑が残ります。この場合、たいていは丸く、直径2cm程度で、持続性蒙古斑と呼ばれます。
また、稀に腕やあし、お腹や胸などにも現れることがあり(異所性蒙古斑)、その場合は年を取っても完全には消えません(※6)。
色素性母斑
色素性母斑は生まれつき存在する黒いあざのことで、表面に硬い毛が生えていたり、手足などの広範囲にみられたりすることがあります。
ほくろも色素性母斑の一種ですが、ほくろは医学的にあざとは見なされません(※7)。
赤ちゃんのあざは突然できることもある?
赤ちゃんのあざには、生まれつきあるものもあれば、生まれた後にできるものもあります。生まれた後にできるものの中には、カフェオレ斑のように生後すぐに現れるあざや、イチゴ状血管腫のように生後数週間たってから現れるあざもあります。
それらが背中などの気づきにくい場所にできた場合、ある程度大きくなってから気づき、突然できたように感じることもあるでしょう。
赤ちゃんのあざは注意が必要な場合もある
赤ちゃんのあざには、あざ以外に特に異常や障害が見られないものもあれば、別の病気と関係しているものもあります。ただし、それは病院で検査してもらわないとわかりません。そのため、赤ちゃんのあざが気になる場合は、健診の際などに一度医師に相談してみた方がいいでしょう。
特に異常がないあざの場合、治療は必要ありませんが、赤ちゃんが大きくなっても消えない種類のあざの場合、見た目で苦労するかもしれません。それが心配であれば、レーザーで治療するという選択肢もあります(※8)。
治療を行う場合は、赤ちゃんの成長をみながら医師と話し合い、負担のないスケジュールを組んでくださいね。