水いぼは子供や赤ちゃんにできやすいウイルス性の「いぼ」の一つです。水いぼをかいてしまうと、いぼの中にいるウイルスが広がってしまい、いぼの数が増えてしまいます。危険な病気ではありませんが、人へうつしてしまうこともあるため、なるべく早く治療した方がいい病気です。そこで今回は、子供が水いぼを発症しても慌てないために、水いぼの原因が何なのか、子供がなりやすいのかについて解説します。
水いぼ(みずいぼ)とはどんな病気?
水いぼとは別名「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」といい、皮膚にできる「いぼ」の一種です。水いぼの大きさは直径2〜5mm程度で、水っぽい光沢があり、真ん中が少しくぼんでいるのが特徴です。かゆみを伴うこともあります。
放置しておいても自然治癒しますが、短いと6ヶ月、長いと2〜3年ほどかかります。この自然治癒にかかる時間は、患者本人の免疫の強さ次第です(※1)。
アトピー性皮膚炎を持っている子供や赤ちゃんは乾燥肌やかき傷ができやすいため、水いぼになりやすく、患部も広がりやすいとされています。
水いぼの治療方法はいくつかあります。次の4つが代表的な治療方法です(※1)。
● 皮膚に局所麻酔を行ってから水いぼをピンセットでつまみ、中の白い塊を出す
● 液体窒素を使って水いぼを冷凍凝固させる
● 自然治癒を待つ
● カンタリジンやイミキモド・クリームなどの薬を使って治療する
● ヨクイニンなどの漢方を飲んで治療する
水いぼの原因はウイルスなの?
水いぼは伝染性軟属腫ウイルスの感染が原因で引き起こされる感染症です。伝染性軟属腫ウイルスは毛に感染すると考えられており、毛のない手のひらや足の裏に水いぼができないのはそのせいです(※2)。
水いぼの原因である伝染性軟属腫ウイルスは、いぼの中に存在しています。そのため、最初は一つしか水いぼがなかったとしても、かいて潰れたり、かかなくてもある程度の寿命で自然に剥がれ落ち、それが他の皮膚にくっついて感染し、次々と患部が拡大していきます(※3)。
水いぼの原因は子供の皮膚と関係あるの?
水いぼの原因である伝染性軟属腫ウイルスは人から人へとうつりますが、とくに7歳以下の子供や赤ちゃんが多く発症しています。
この年ごろの子供や赤ちゃんは皮膚が薄く、雑菌やアレルギー物質などから体を守る「バリア機能」が未熟で免疫が弱いため、感染しやすいのがその原因です(※3)。
水いぼの原因にはどこで感染しやすいの?
水いぼの原因となる伝染性軟属腫ウイルスに感染しやすい場所は、肌と肌が触れ合う機会が多い場所です。例えば赤ちゃんや子供の場合は、プールに行ったときに感染することが多くあります。
ただし、プールといってもプールの水では感染しません。注意すべきは水着やタオル、浮き輪、ビート板などです。直接肌が触れ合わなくても、これらを介して感染することがあります(※3)。
水いぼの原因は予防できる?
今のところ水いぼのワクチンはなく、水いぼを予防するには、原因である伝染性軟属腫ウイルスに感染しないための対策が重要です(※4)。
水いぼの予防法としては、乾燥肌やアトピー性皮膚炎のような皮膚のバリア機能が破たんしている状態をできるだけ改善しておくことです。具体的には、保湿剤によるスキンケアとステロイド外用薬などを使った湿疹の治療をきちんとしましょう。
プールの水の消毒に使っている塩素によって皮膚表面の皮脂がなくなってしまうので、水いぼの原因である伝染性軟属腫ウイルスに感染しやすくなります。そのためプール後の保湿も大切です。
また、兄弟や身近な友達が感染した場合、入浴やタオルを別にし、直接肌と肌を接触させないように注意しましょう。
上述のようにプールで感染しやすいため、タオルや浮き輪などを共用で使うのを避けてください。また、プールを出たら必ずシャワーを浴びて、体をきれいに洗いましょう(※3)。
水いぼが原因で合併症は起きるの?
水いぼになるとそのまわりにとてもかゆい湿疹ができたり、その湿疹を引っ掻いているうちに悪化し、細菌感染が合併して伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)を引き起こしたりすることがあります(※5)。
伝染性膿痂疹は「とびひ」とも呼ばれ、かき傷やすり傷に細菌が感染して起こる病気です。発症すると破れやすい水ぶくれができます。水ぶくれはかゆく、かくとますます水ぶくれや赤みが増え、体のいたるところに広がっていきます。破れた水ぶくれが厚いかさぶたになることもあります(※6)。
水いぼが原因で保育園は出席停止になる?
気になるのは子供が水いぼになったとき、それが原因で保育園や幼稚園、小学校などを出席停止になるかですよね。
水いぼには登校・登園の制限がないため、通常、子供が水いぼになったからといって出席停止にはなりません。ただし周りに感染を広げないために、いぼの中から液体が漏れている場合は、患部を包帯などで覆ってから登校・登園するようにしてください(※7)。
水いぼが原因で悩む必要はありません
水いぼは発症しても大きな合併症もなく、いずれは自然に治ります。しかし、自然治癒には短いと6ヶ月、長いと2〜3年かかることもあり、放置しておくと数が増えていきます。数が増えると見た目にも影響するため、子供がいじめにあう可能性もあります。さらに人にも水いぼをうつしてしまいます。
そのため、数が少ないうちに見つけ次第治療することが望ましいとされています(※3)。
すでに説明したとおり、水いぼの治療方法はいくつかあります。子供や赤ちゃんが水いぼを発症したらできるだけ患部を触らせないようにしつつ、医師と話し合って子供にとって最適な治療方法を選びたいですね。