子供は大人に比べて免疫が弱く、病気にかかりやすいもの。急に熱と発疹が出ることもよくあります。そこで今回は、子供に熱と発疹が出たときに慌てないために、どのような病気が考えられるのかを紹介します。
子供に熱と発疹が出るのはなぜ?
子供が熱を出すのは、ウイルスや細菌による感染や炎症に対する防御のためです。普段よりも体温を上げることで、病原体を弱め、子供自身の免疫力を高める効果があるとされています(※1)。
一方、発疹は皮膚に起こる変化の総称です。ウイルスや細菌などによる感染性のものとアトピーやアレルギーなどの非感染性のものがありますが、子供でもっともよく見られるのは感染性の発疹です(※1)。
形や色などによって紅斑、紫斑、色素斑、丘疹などさまざまな種類に分類されます(※2)。
子供が発熱した後に発疹が出る病気は?
発熱と発疹を伴う病気はいくつもありますが、そのうち子供が発熱してから発疹が出る病気を紹介します(※3)。
麻疹(はしか)
麻疹は麻疹ウイルスに感染すると発症する病気です。発症すると最初は鼻水や咳、38度前後の熱が出るなどの風邪のような症状が見られます。その後、熱はいったん下がることもありますが、その場合は再び上がります。
風邪のような症状が出た後に赤い発疹が耳の後ろや首、顔に現れ、その後2〜3日で全身に広がっていきます。重症になると肺炎や脳炎、中耳炎などにもなってしまいます(※4)。
水疱瘡(水痘)
水痘・帯状疱疹ウイルスの感染による病気で、発症すると最初に1日ほど微熱が出ます。その後、赤く小さな発疹があり、高熱が2〜5日ほど続きます。発疹は次第に大きくなり、かゆみの強い水ぶくれとなります(※5)。
溶連菌感染症
溶連菌感染症を発症すると、高熱と喉や扁桃腺の痛みが出ます。その1〜2日後に全身にかゆみを伴う発疹が出て、舌がイチゴのように真っ赤になります。中耳炎や副鼻腔炎、リンパ節炎などが合併症として現れることがあります(※6)。
伝染性紅斑(りんご病)
ヒトパルボウイルスB19が原因のウイルス感染症で、初めは無症状か発熱や頭痛、筋肉痛などが現れます。その後、1週間ほど経つと頬に紅色の発疹(紅斑)が出ます。紅斑は特徴的で、りんごや平手打ち、あるいは蝶が羽を広げたような模様です。
その1〜4日後には手足や胴体にも同じような紅斑が出現し、2日程度経つと不規則に退色してまだら模様になります。紅斑は1〜3週間程度で消えることが多いとされています(※7)。発疹自体には感染力はほぼありません。
突発性発疹
突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型および7型による感染症です。発症すると38〜40度の高熱が3〜4日続き、熱が下がるとともに発疹が全身に現れます。発疹の大きさは2〜3mmから1cmくらいで赤く、かゆみはありません。
3〜4日で治り、跡は残りません。ほとんどの子供が感染しますが、熱や発疹などの症状が出ない子や下痢になる子もいます(※8)。
川崎病
川崎病は血管に炎症を起こす原因不明の病気です。発症すると38度以上の高熱が5日以上続き、胸やお腹を中心に赤い発疹が出ます。また、目が充血し、舌がイチゴのように赤くなったり、首のリンパ節の腫れや、手足のむくみもみられます。
適切な治療によって症状はよくなりますが、約3〜10%の子供は心臓に栄養を送る冠動脈の異常や心筋梗塞などの合併症を起こすことがあります(※9)。
子供に発熱と同時に発疹も出る病気は?
発熱と発疹を伴う病気の中から、子供が発熱するのと同時に発疹も出る病気を紹介します。
手足口病
手足口病は代表的な子供の夏風邪の一つです。原因となるウイルスに感染すると、口の中や手のひら、足の裏などに2〜3mmの水ぶくれができ、3〜7日程度で消えます。発疹は肘、膝、お尻にも出ることがあります。
およそ3人に1人の割合で発熱を伴いますが、たいていは38℃以下ですみます。まれに髄膜炎や脳炎、小脳失調症などを合併することがあります(※10)。
子供に高熱と発疹が同時に出る病気は?
子供に熱と発疹が同時に出る病気の中には、高熱が出る病気もあります(※3)。
風疹
風疹は風疹ウイルスによる感染症です。発症すると2〜3日ほど38℃前後の熱と同時に赤い発疹が出ます。首のリンパ節の腫れも特徴的です。発疹は顔から首、体、手足と次第に全身へ広がっていきますが、3日前後で消えます(※11)。
アデノウイルス感染症
アデノウイルスに感染すると、発熱や咳、鼻水、目の充血、下痢、発疹などのさまざまな症状が出ます。感染してもこれらの症状が現れないこともあれば、いくつも同時に出ることもあります(※12)。
ヘルペス性口内炎
単純ヘルペスウイルス1型や2型による感染症です。発症すると4〜5日ほど高熱が出て、それとともに口の中に小さな水泡がいくつもできます。歯肉が赤く腫れたり、出血する場合もあります。
口の痛みは1週間程度でよくなることが一般的です。症状によってはヘルパンギーナとの区別が難しい場合があります(※1)。
子供に熱と発疹が出たときの対処法は?
子供に熱と発疹が出る病気はさまざまで、病気ごとに適切な対処法が異なるため注意が必要です。そのため、子供に熱と発疹が出たら、すみやかに病院で診察してもらいましょう。その際は、以下のようなことをなるべく小まめにメモしておき、医師に伝えるとよいでしょう(※3)。
● いつから発疹が出ているのか
● 水分は取れているか
● 食欲はあるか、ミルクを何回あげたか
● おしっこの回数や量
● ウンチの回数や状態、量
● 頭やお腹を痛がっているか
子供に熱と発疹が出たら病院へ
子供に熱と発疹が出ているときは感染症の可能性が高く、人へうつすかもしれません。また、熱と発疹しか症状がないように見えても、脳炎や肺炎などの重い合併症を引き起こす可能性があります。
子供に熱と発疹が出ていたら、症状などをしっかり確認し、落ち着いて病院へ連れて行きましょうね。医師が症状に応じた適切な治療をしてくれますよ。