子宮は年齢とともに老化する?病気や不妊リスクは増えるの?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

妊活中の女性は「卵子の老化」という言葉をよく耳にするかもしれませんが、子宮も年齢とともに老化するのでしょうか?また、年齢が高くなるにつれて、病気になるリスクは増えるのでしょうか?今回は、子宮と年齢の関係や、起こりうる病気、妊娠への影響についてご紹介します。

子宮は年齢とともに老化するの?

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子宮は、子宮内膜に着床した受精卵を発育させ、妊娠を維持させるための大切な器官です。

子宮内膜は、卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンの作用によって、厚くなったり剥がれ落ちたりというサイクルを繰り返し、毎月の生理周期を作り出しています。

年齢が上がるにつれて、卵巣の機能は低下していき、卵子の老化が進みます。一方で、子宮内膜は周期的に増殖と剥離を繰り返すため、再生能力が高く、年齢の影響をあまり受けないと考えられています(※1)。

子宮は年齢とともに病気リスクが増えるの?

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前述のとおり、子宮は老化しにくく、年齢によって機能が下がることはあまりありません。しかし、加齢による子宮の病気リスクは高まります。

生理がある年齢の女性は誰でも、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」が見つかる可能性があり、性交渉によるウイルス感染などが原因で発症する「子宮頸がん」は若い女性でもかかります。

しかし、年齢が上がり40~50代くらいになると、「子宮内膜増殖症」や「子宮体がん(子宮内膜がん)」にかかる確率も高まります(※2)。

特に、子宮内膜症や子宮体がんは、妊娠・出産を経験していない、もしくは回数が少ない女性に多く見られるため、晩婚化が進んでいる近年では、発症率が増加しています(※2)。

子宮は年齢によって不妊リスクが高まるの?

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第三者から提供を受けた卵子を使った体外受精などのデータによると、閉経が近い年齢の女性であっても、薬で女性ホルモンを補う治療を行えば、受精卵の着床率は下がらないとされています(※1)。

ただし、これは子宮が健康である場合に限ります。次のような病気が子宮で発症した場合、不妊につながるので早期の治療が必要です。

子宮内膜症・子宮腺筋症

どちらも、子宮内膜に似た組織が、何らかの原因で子宮の内側以外の場所で増殖する病気です。子宮内膜症は、卵巣などの子宮以外の場所に発生し、子宮腺筋症は子宮の筋肉層に発生します。

卵巣や卵管など周りの臓器と癒着したり、炎症を起こしたりするため、妊娠しにくくなる恐れがあります。

子宮筋腫

子宮筋腫の大きさやできる場所は様々ですが、特に子宮内膜に発生した筋腫が子宮の内側に向かって発育するケースは「粘膜下子宮筋腫」と呼ばれ、受精卵が着床するスペースが少なくなってしまうため、不妊が起きやすくなります。

子宮は年齢に関係なく、こんな症状に注意!

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先述のとおり、子宮は老化しにくいものの、病気になるリスクは誰にでもあります。

次のような症状が見られた場合は、子宮に何らかのトラブルが起きている可能性もあるので、できるだけ早く婦人科で相談しましょう。

生理のときの症状

● 生理が来るたびに生理痛がひどくなる
● 生理の経血量がかなり多く、貧血気味である
● 生理が続く期間が長い

生理以外のときの症状

● 生理ではないのに性器出血がある
● 下腹部の痛みや腰痛がある
● 性交痛や排便痛がある
● 頻尿や便秘が続いている
● なかなか妊娠しない

子宮は年齢を問わず定期検診でチェックを

加齢によって機能が下がっていく卵巣に比べると、子宮は老化しにくい器官です。しかし、病気にかかるリスクは常にあり、その原因が明らかになっていない部分も多いので、定期的に婦人科で検診を受けて状態をチェックするしかありません。

また、ひどい生理痛や生理以外のときの不正出血などの症状がある場合は、子宮からのSOSのサインかもしれないので、我慢したり放置したりせず、できるだけ早めに婦人科の医師に相談してくださいね。

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