ただの風邪だと思っていた子供が、なんだかゼーゼーと息苦しそう。ひょっとしたらそれは風邪ではなくて、喘息性気管支炎かもしれません。苦しそうに呼吸をする子供を見ていると、辛いものがありますよね。そこで今回は、喘息性気管支炎とはどんな病気で、どんな症状が出るのか。さらに、その原因と治療法についてもご紹介します。
喘息性気管支炎(喘息様気管支炎)とは?
喘息性気管支炎(喘息様気管支炎)とは、気管支炎のうち、喘息に似た症状が出るもののこと。
「ゼーゼー」、「ゼロゼロ」といった喘息のような呼吸音(喘鳴)が出ることから、そのように呼ばれています(※1)。
多くの場合、呼吸音の症状に先駆けて、せきや鼻水、発熱など、風邪のような症状が見られるのが特徴です。
喘息性気管支炎の原因は?
喘息性気管支炎の原因は、マイコプラズマ肺炎、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど、風邪の症状をもたらす細菌やウイルスです(※2,3)。
それらの細菌やウイルスが気管支の表面に入り込み、そこに痰が溜まることで起こります。
乳幼児は大人に比べて気管支が細く、咳をする力が弱いため、気管支に痰が溜まりやすい傾向があります(※4)。
炎症で腫れて気管支が狭くなったところに痰が溜まり、そこを空気が流れるため、「ゼーゼー」、「ゼロゼロ」というような呼吸音が出ることになります。
喘息性気管支炎の症状は?熱は出る?
喘息性気管支炎の症状には、以下のようなものがあります。
● 喘息のように「ゼーゼー」、「ゼロゼロ」という呼吸音が出る
● 夜中や明け方に眠れないほどの咳が出る
● 鼻水が出る
● 熱が出る
特に、気管支が未熟な2歳未満の乳幼児が気管支炎になると、末端の細気管支と呼ばれる部分が炎症を起こす「細気管支炎」を併発することもあります(※4)。特にRSウイルスに感染した際に、その傾向がみられます。
喘息性気管支炎はうつる?予防法は?
喘息性気管支炎は、それ自体が人から人にうつることはありません。
しかし、風邪の症状を引き起こす細菌やウイルスによる病気なので、咳をしていれば飛沫感染によって風邪がうつることは考えられます。
そこで、
● 手洗い、うがいをする
● 室内を加湿する
● 水分を多く摂る
● マスクをする
などの一般的な風邪の予防法が有効になります。
喘息性気管支炎の治療法は?家で看護するときの注意点は?
症状が軽いうちは、こまめに水分補給をし、安静にすることで治癒が早まります。
また、子供の咳がひどく、家庭での看護が必要な場合は、縦抱きにして背中を軽くたたくなど、楽な姿勢をとらせることを心がけてください(※4)。熱がなく、食欲があるなら、体力を消耗しない程度に入浴させてもかまいません。
痰や咳などの症状が強い場合は、痰を切れやすくする薬や、気管を広げる薬が医師から処方されることがあります(※1)。
喘息性気管支炎の治療に入院は必要?保育園にはいつから行ける?
喘息性気管支炎では、その症状が強く夜間に眠れない、水分が摂れない、呼吸が苦しいなど日常生活に支障がある場合、入院が必要になることがあります。
RSウイルスが原因の場合は、特に注意が必要です。生後2~5ヶ月の赤ちゃんがRSウイルスにかかると重症化しやすく、この月齢での入院が最も多くなっています(※5)。
治癒後の登校・登園は、医師と保育園・幼稚園に相談したうえで判断してください。
喘息性気管支炎と気管支喘息は違う病気?
喘息性気管支炎も気管支喘息(いわゆる小児喘息)も、同じく気管支の内側が腫れて空気が通りにくくなる症状があります。
また、喘息性気管支炎も気管支喘息も、ひどくなると呼吸困難を起こすことがあります。
しかし、喘息性気管支炎と気管支喘息は違う病気です。
喘息性気管支炎はウイルスなどの感染が元で起こるのに対し、気管支喘息はハウスダストなどのアレルギーの原因となる物質や気圧の変化などが元で起こります(※1)。
喘息性気管支炎に似ている症状の病気は?
喘息性気管支炎と同じように咳が出る病気には、次のようなものがあります。
肺炎
肺炎とは、細菌やウイルスなどが原因で、のどから気管支、肺胞(気管支の末端にある小さな袋)までが炎症を起こしてしまった状態です。
特徴的な症状としては、
● 咳が出る
● 高熱が続く
● 呼吸のスピードが早い
● 機嫌や顔色がすぐれない
などがあります。
百日咳
百日咳とは、百日咳菌の感染によって起こる、激しい咳が特徴の感染症で、生後6ヶ月以下の子供が感染すると0.6%が死亡してしまう病気です(※6)。
特徴的な症状としては、
● 5〜10回以上の連続した咳が長期間続く(※7)
● 咳の後に「ヒュー」という長くて高い音の息つぎがある
● 顔が赤くなる
などがあります。
クループ症候群
クループ症候群とは、特定の病名ではなく、声帯や喉の周辺がウイルスの感染や、アレルギーなどの原因によって炎症を起こす疾患の総称です。特に生後6ヶ月から3歳までの乳幼児によく見られます(※7)。
特徴的な症状としては、
● 「ケンケン」と犬が吠えるような音の咳が出る
● 熱が出る
● のどが痛む
● 声が枯れる
● 息を吸うときに「ヒューヒュー」と音が出る
などがあります。
子供が喘息性気管支炎かも、と思ったら
喘息性気管支炎は、症状が軽ければ自宅での療養で治ります。しかし、激しい咳が続いたり、咳や鼻水によってよく眠れない場合は、原因の菌やウイルスを特定するためにも、病院に行くことをおすすめします。
また、病院で処方された薬を服用しても症状が改善しない場合は、肺炎や百日咳など、他の病気の可能性もあるので医師に相談しましょう。
子供に咳の症状が出たら、ママ・パパや保育園の友達など、周りの人にもウイルスがうつる可能性もあります。まずは、喘息性気管支炎を引き起こさないように、普段から基本的な風邪予防を心がけてくださいね。