子供が苦しそうに肩で息をしていたり、呼吸するときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が聞こえたりする場合、喘息の疑いがあります。喘息は、気道・気管支に炎症が起こる病気で、アトピーなどアレルギー体質の子はかかりやすい傾向にあるので、注意が必要です。今回は、喘息の診断・検査方法や、喘息の疑いがある症状をパパやママが確認するためのセルフチェックリストをご紹介します。
喘息にかかりやすい子供の特徴は?
気管支喘息は、呼吸時に空気が通る「気道(気管支)」に慢性的な炎症が起きる病気で、子供のときにかかるものを「小児喘息」または「小児気管支喘息」といいます。
小児喘息は、アトピー性皮膚炎があるなどアレルギー体質の子がなりやすく、ハウスダストやダニが主なアレルゲンとされています。ほかにも、ペットの毛やフケなどを吸いこむ、気温・気圧差によっても発作が起こります。一度炎症が起こると気道が敏感になり、少しの刺激にも反応するようになって、炎症が慢性化してしまいます。
また、両親のどちらかが子供のころに気管支喘息だったり、アトピーや花粉症などのアレルギー体質を持っていたりすると、その子供にも体質が遺伝し、喘息を発症するケースが少なくありません(※1)。
喘息の検査方法は?
喘息は経過・症状によって主に診断されますが、アレルゲンの検索という補助診断として次のような検査を行い、診断の材料とします(※2)。
アレルギー検査
小児喘息の主な原因は、アレルギー体質と考えられています。皮膚テストや血液検査、特異的IgE抗体検査などを実施し、アレルゲンに対する反応のしやすさなどを調べます。
ダニやホコリ、カビといったアレルゲンは、体内に吸収されると「IgE抗体」にくっつき、アレルギー反応を引き起こします。つまり、IgEの総量が多いほどアレルギーが起きる傾向が高いとされています。
酸素飽和度(サチュレーション:SpO2)測定
喘息の発作の強さは、「小発作」「中発作」「大発作」「呼吸不全」に4分類されます。発作の程度が大きいほど酸素飽和度(SpO2)が低くなるので、治療方針を決定するうえで重要な要素になります。また、全身の呼吸状態や呼吸数、チアノーゼの有無でも判断します。
肺機能検査
喘息の発作が始まると、気道に一時的な収縮とむくみが起こり、痰の分泌が増えて気道は細くなります(※1)。
肺機能検査は、症状が安定しているときに行います。発作が起きていないときに気道が狭くなっているかどうかを調べることで、子供の本来の重症度を測る材料になります。
大きく息を吸ってから、できるだけ強く、早く息を吐きだすことで肺機能を調べ、肺活量や息を吐き終わるまでの時間、スピードなどを測定します。6~7歳以上の子供でなければ実施が難しい検査です。
胸部X線検査
喘鳴だけでなく、発熱が続いたり、胸や喉の痛みが見られたりする場合に、胸部X線検査を行うことがあります。
SpO2測定の結果などとあわせて、肺炎や気胸といった喘息以外の合併症がないかどうかを調べます。
そのほか、咳喘息との判別が難しいときに「気道過敏性テスト」を実施したり、気道の炎症を推測できる「呼気中一酸化窒素(eNO)測定」を行ったりすることもあります。
喘息の診断方法は?
2歳未満の赤ちゃんの場合
乳幼児の場合、RSウイルス感染による急性細気管支炎やミルクの誤嚥(誤って気管や喉頭に入ってしまうこと)など、喘息以外の要因でも「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が見られることがあるので、診断が難しいこともあります。
しかし、小児喘息は2~3歳までに60~70%が発症するというデータもあり、注意深く医師に診てもらうことが重要です(※1)。
一般的に、「気道感染の有無にかかわらず、1週間以上の間隔をあけて、明らかに呼吸時の喘鳴が3回見られる」場合、広義の乳児喘息と診断されます(※2)。
2歳以上の子供の場合
2歳以上の子供も、気道に異物が詰まっていたり、気管支炎や肺炎、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックが原因で、喘鳴が起こることも多いので、本当に喘息による症状かどうかを慎重に判断する必要があります(※3)。
病院で、問診と、先ほど説明した検査を実施した結果から総合的に診断します。発作が起きていないときでも、喘息の可能性が高いかどうか判断できる材料がいくつかあるので、次にご紹介するチェックリストを見てみましょう。
喘息のセルフチェックリスト
子供が以下の項目にいくつか当てはまる場合、喘息の疑いがあります(※4)。セルフチェックや、病院の問診で医師に説明するときの参考にしてください。
□ 1歳を過ぎてから、息を吐きだすときにゼーゼーするようになってきた
□ 呼吸がゼロゼロするが、熱はないことが多い
□ 運動をすると咳が出やすい
□ 冷たい風に当たると咳が出やすい
□ アトピー性皮膚炎や食物アレルギーと診断されている、もしくは治療を行なっている
□ 両親や兄弟に、アトピー性皮膚炎や気管支喘息だった人がいる
□ ペットと同居している
喘息の疑いがあれば検査・診断を受けましょう
子供がかかる小児喘息の場合、ほとんどの原因がハウスダストだと考えられています。また、家族がアレルギー体質だと、子供にも遺伝して喘息を発症することも。可能性として考えられる要素があり、いつもと呼吸や咳の様子が違うと感じたときは、病院で検査を受け、正しい診断を受けましょう。
喘息の発作は、程度によっては子供がつらい思いをしますが、発作の予防薬や治療薬を適切に服用し、ホームケアをきちんとすることで、ほとんど支障なく日常生活を送ることができます。
子供が大きくなるにつれてだんだんと症状が良くなっていくことも多いので、まずはきちんと医師の指導を受け、治療するようにしてくださいね。