インフルエンザの予防接種の副作用(副反応)は?発熱する?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

インフルエンザは、多くの人が一度はかかったことがある感染症ではないでしょうか。また、感染しないために予防接種を受けているという人も多いでしょう。しかしインフルエンザの予防接種には、副作用(副反応)もあります。今回は、インフルエンザの予防接種を受けたとき、気をつけるべき副作用についてご紹介します。

そもそもインフルエンザってどんな病気?

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インフルエンザは、さまざまなインフルエンザウイルスの感染で起こる病気です。インフルエンザウイルスは数が多く、少しずつ変異しているため、何度もかかってしまいます。

インフルエンザの特徴は、他のウイルス性の病気に比べ、症状の進行が早いということです。特に発熱は突然起こり、高熱になることも多くあります。

その他の症状には、筋肉痛、全身のだるさ、頭痛、食欲不振、関節痛などがあり、鼻水やのどの痛み、咳、くしゃみなども起こります。

発熱は2~5日で治まりますが、咳は平熱に戻ったあとも続くことがあります(※1)。

インフルエンザの予防接種とは?

注射 予防接種

インフルエンザは、毎年、流行シーズンである冬に向けてワクチンが用意されており、秋頃から予防接種を受けることができます。

ただし、インフルエンザのワクチンは「不活化ワクチン」で、ウイルスの感染を防ぐというよりは、感染時の重症化を防ぐ目的のものです。100%感染を防ぐことも、100%重症化を防ぐこともできません(※1)。

インフルエンザの予防接種は、生後6ヶ月以上から効果が見込めます。しかし小さな子供の場合、一度の予防接種で得られる抗体が、大人と比べて少なくなります。

1回のワクチン接種で、インフルエンザが予防できるほどの抗体を得ることができたのは、生後6~35ヶ月で50%、3~9歳は75%に留まったという調査結果もあります(※2)。

そのため、6ヶ月以上13歳未満の子供は、インフルエンザの予防接種を、およそ2~4週間の間隔を空けて、2回接種することが勧められています。2回接種することにより、80~95%の子供が、予防可能なレベルの抗体を獲得できます(※2)。

また、接種から効果が出るまでは約2週間かかり、その効果は約5ヶ月持続します(※3)。

つまり、流行する少し前に接種すれば、流行している間は効果が続きますが、次の流行期には効果がなくなっています。

インフルエンザの予防接種は副作用(副反応)が出る?発熱は?

はてな 疑問 ? クエスチョン

前述したとおり、インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンです。得られる免疫力が少ない半面、副作用も少ないというメリットがあります。

ただし、副作用が全くないわけではありません。

特に0~9歳の子供は、大人に比べて副作用が起こりやすく、副作用全体の25~30%ほどがこの年齢で起こっています(※4)。

インフルエンザの予防接種で起こる副作用の症状は、以下のようなものがあります。

軽度の副作用

発熱

特に子供に多い症状です。注射の6~12時間後に発熱し、1~2日間続くことがあります(※2)。

注射部位の痛み

注射のあとが赤みを帯びたり、腫れたり、痛んだりすることがあります。二の腕に注射した場合、肘を越えて腫れることもあります。ただし日常生活に支障があるほどの痛みではなく、2~3日で治ることがほとんどです(※5)。

重篤な副作用

アレルギー反応

インフルエンザのワクチンには微量ながら卵由来の成分が含まれており、卵アレルギーの人は、湿疹やじんましんなどのアナフィラキシー反応が出ることがあります(※6)。

卵アレルギーの症状が重く出る場合には、予防接種を受けるべきではないこともあるので、アレルギーがある場合は事前に医師に相談するようにしましょう。

ギランバレー症候群

ギランバレー症候群とは、感染症にかかったあとに起こることがある、体に麻痺を起こす病気です。

インフルエンザのワクチンを接種したことにより、100万人に1~2人くらいの割合で、ギランバレー症候群の患者を増やす可能性があるといわれています。

しかし、はっきりとした因果関係は明らかになっていません(※2)。

インフルエンザの予防接種で重篤な副作用が出てしまったら

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前述したとおり、インフルエンザのワクチンを接種しても、重篤な副作用が出る可能性は決して高くありません。

しかし、もし予防接種によって健康被害が生じてしまった場合には、国が定める「予防接種健康被害救済制度」を使い、以下の給付を受けることができます(※7)。

● 医療機関で治療を受けた場合:治療に必要な医療費や医療を受けるために必要な諸費用
● 障害が残った場合:障害児養育年金(18歳未満)、または障害年金(18歳以上)
● 死亡した場合:葬祭料と、一時金または年金

給付を受け取るには、申請と、厚生労働大臣による認定が必要です。申請に必要な手続きについては、予防接種を受けた市町村に相談してください。

インフルエンザの予防接種の副作用は、あまり気にしすぎないで

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インフルエンザの予防接種は、「効果より副作用の怖さが勝るから、受けない方がいい」という声を聞くこともあるかもしれません。

しかしほとんどの場合、副作用は起きたとしても軽微なものです。逆に、副作用よりも予防接種を受けたことによる効果の方が大きい場合がほとんどです。

副作用が怖いときや、アレルギーなどの持病がある人は、予防接種を受ける前に医師に相談してみるといいでしょう。状況に応じたアドバイスをしてもらえますよ。

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