「インフルエンザ=高熱が出る病気」というイメージを持っている人が多いかもしれません。しかしインフルエンザには、他にもさまざまな症状があります。今回は、インフルエンザによって起こる下痢の症状について、A型もB型も下痢になるのか、下痢になったら食事はどうするべきかといったことについてご紹介します。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、12月~翌3月にかけて流行することが多い病気です(※1)。
病原体であるインフルエンザウイルスには、A型、B型、C型があり、特にA型とB型が大きな流行を引き起こします。またA型は、大きく分けると新型・季節性の2つに大別されますが、さらに派生型もあり、毎年流行するウイルス型や派生型は地域によって異なるという特徴があります。
インフルエンザを発症すると、38度以上の発熱や頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み、全身のだるさなどが急激に起こり、それに続いて、のどの痛みや鼻水、咳などが起こります(※1)。また、下痢や嘔吐の症状が見られることもあります。
ただし、インフルエンザウイルスに感染しても症状が見られない人や、普通の風邪のような症状だけで治まり、インフルエンザだと気づかない人もいます(※1)。
また、子供がインフルエンザにかかった際は、まれにインフルエンザ脳症を合併することがあります。
インフルエンザで下痢になる?
インフルエンザの主な症状は、呼吸器系に関係するものです。しかしそれらの症状に加え、下痢や嘔吐など、消化器系の症状が1~2割に見られます(※2)。
インフルエンザが下痢の症状から始まることはあまりないものの、発熱が治まったあとに下痢が起こることもあります。
インフルエンザはA型もB型も下痢になる?
前述したとおり、流行するインフルエンザウイルスはA型とB型がほとんどです。症状はどちらも似ており、A型もB型も、下痢になることがあります。
また、2009年~2010年に大流行した「新型インフルエンザ(A型H1N1pdm)」は、下痢や嘔吐などの消化器系の症状も他の型のインフルエンザと同様に多く見られています(※3)。
インフルエンザの下痢は治りかけになることもある?
インフルエンザは、発症の前日から発症後3~7日間にわたってウイルスを排出します(※1)。そのため、解熱後もウイルスが体内にとどまっていて、熱が下がったあと、「そろそろ治ってきたかな?」と思う頃に、下痢の症状が出ることもあります。
またもう一つ、インフルエンザで下痢になる原因として考えられるのは、発症後に使用した抗インフルエンザウイルス薬の影響です。
抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に使用を開始することにより、発熱の期間を1~2日間短縮したり、ウイルスの排出量を減らしたりする効果が見込めます(※1)。
ただし抗インフルエンザウイルス薬のタミフル、イナビル、リレンザを使用すると、副作用として下痢の症状があらわれることがあります(※4,5,6)。
また解熱剤も、副作用として下痢の症状があらわれることがあります。
インフルエンザで下痢になったら、子供の食事はどうする?薬は使える?
インフルエンザは高熱が出ることが多く、全身のだるさも加わると、食欲がなくなってしまうこともあるかもしれません。食欲がないからと、食べ物や飲み物を口に入れていない状態で下痢が続くと、脱水症状になってしまう恐れがあります。
そのため、インフルエンザで下痢をしているときは、水分の補給をできるだけ欠かさず行い、本人が食べられると思う範囲で適度に食事を摂りましょう。
下痢の際は胃腸が弱っているため、ヨーグルトや豆腐、味噌汁など、消化しやすい食事がおすすめです。
またインフルエンザで下痢になった際は、整腸薬や下痢止めの薬が処方されることもあります。ただし市販の薬を自己判断で使わず、医師から処方された薬を使用するようにしましょう。
インフルエンザの下痢は長引くと要注意
インフルエンザで下痢になったときは、インフルエンザの症状の場合と、抗インフルエンザウイルス薬や解熱剤による副作用の場合があります。
薬の副作用の場合は、下痢が長引くことはなく、あまり気にする必要はありません。
ただしもし下痢が長引く場合は、腸管の状態が悪化している可能性も考えられます。下痢が長く続いているときは、早めに病院を受診してくださいね。