インフルエンザは、一般的な風邪よりも高熱が出るのが特徴の病気ですが、他にもさまざまな症状があらわれます。今回は、インフルエンザでの咳について、止まらないときは咳止めを使えるのか、いつまで咳が残るのかなどをご紹介します。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、毎年12月~翌3月にかけて流行することが多いウイルス感染症です(※1)。
インフルエンザウイルスに感染すると、1~4日の潜伏期間を経て、突然高い熱が出ます。小さな子供がインフルエンザにかかった場合は、急激に発熱したことで熱性けいれんが起こることもあります。
発熱以外にも、頭痛や筋肉痛などが起こり、全身につらい症状があらわれるものの、多くの場合は自然に治癒します。
また、抗インフルエンザウイルス薬を、発病から2日以内に使用することで、発熱の期間を1~2日ほど短縮することもできます(※1)。
なお、インフルエンザは学校や保育園で流行が広がりやすい病気のため、学校保健安全保険法で登校基準が定められています。インフルエンザが発症したあと5日が経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)が経過するまで、登校・登園することができません(※1)。
インフルエンザは咳が出るの?
インフルエンザは、発熱や頭痛の他にも、鼻水、くしゃみなど、一般的な風邪に似た症状があらわれることが多く、咳が出ることもあります。
インフルエンザの感染経路は、飛沫感染(鼻水やくしゃみなどの液体からの感染)や空気感染(くしゃみや咳で空気中に飛散したウイルスの感染)が多いため、咳が出た場合は周りにうつしてしまわないように気をつけましょう。
以下のような方法で、咳によるウイルスの飛散を防ぐことが大切です。
● 咳をするときは口をティッシュで覆い、そのティッシュはすぐに捨てる
● 咳が続くときはマスクをする
● マスクをしていないときに咳が出そうになったら、手ではなく袖や上着の内側で口を覆う
● 手洗いを頻繁に行う
ただし子供が咳をするとき、上記のような対策をするのは難しいこともあります。子供がインフルエンザで咳をしているときは、ママやパパが感染の予防をし、感染を広げないようにすることも大切です。
インフルエンザで咳が止まらないことも?
インフルエンザは突然発病するものの、多くの場合3~7日で症状が良くなります(※1)。しかし咳だけが長引くこともあり、2週間以上続いてしまう場合もあります。
インフルエンザは熱が下がってもウイルスを排出することが多く、特に子供がインフルエンザにかかった場合は、咳などの感染の症状が長い間残ります。
インフルエンザにかかった際は、「熱が下がったから感染力がなくなった」と考えてはいけません。咳が続いている間は、ウイルスの飛散に気をつけましょう。
インフルエンザで咳はいつまで残るの?
前述したとおり、インフルエンザの咳は2週間以上続いてしまうこともありますが、ほとんどが自然と治ります。怖いのは、インフルエンザウイルスが気管支や肺にも感染してしまった場合です。
インフルエンザウイルスが気管支や肺に感染すると、気管支炎や肺炎になることがあります。その場合、発熱が続き、咳がさらにひどくなり、長引いてしまいます。
また咳がひどいと、睡眠や食事が満足にとれず、体力が低下してしまうため、回復に時間がかかることもあります。
インフルエンザで咳止めは効く?
インフルエンザの咳を止めるために市販の咳止めを使うときは、注意が必要です。なぜなら、インフルエンザにかかったときは、使用してはいけない薬の成分があるからです。
具体的には、解熱薬に含まれる「アスピリン」や「ジクロフェナクナトリウム」、「メフェナム酸」といった成分が含まれた薬を服用すると、中枢神経などの症状が起こるなど、インフルエンザの症状を悪化させてしまう可能性が指摘されています(※2,3)。
もしインフルエンザで市販の咳止め薬を使いたいときは、服用する前に薬剤師や医師に相談するようにしてください。
インフルエンザの咳にできる対処法は?
インフルエンザの咳がなかなか止まらないときは、家庭で以下のような対処を行ってみてください。咳のつらさを和らげられるかもしれません。
部屋の湿度を上げる
湿度が低いと、喉が乾燥して咳が悪化してしまう可能性があります。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、適切な湿度を維持しましょう。
水分を補給する
水分補給を怠らないことで、痰が切れやすくなり、楽に呼吸できるようになります。
ほこりを減らす
ほこりが気道に入ると、咳が出やすくなってしまいます。空気清浄機を利用したり、こまめに掃除をしたりすることで、ほこりを吸い込まない環境をつくりましょう。
のどに優しい食事をする
抗菌作用があるはちみつや、喉の炎症や痛みを軽減させる大根、痰を出しやすくするパイナップルなどを摂取することで、咳のつらさを和らげられる可能性があります。
ただし、1歳未満の赤ちゃんがはちみつを摂取すると「乳児ボツリヌス症」を発症してしまうことがあります。乳児ボツリヌス症を発症すると、便秘、哺乳力の低下、筋力が低下して元気がなくなるなどの症状があらわれ、まれに亡くなってしまうこともあります(※4)。
1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを与えないでください。
子供がインフルエンザになったら咳に注意
インフルエンザの咳は重症化しないことが多いものの、肺炎や気管支炎になってしまうこともあります。もし咳がひどくなったり、呼吸がしづらくなったりしたら、早めに再度、病院を受診しましょう。
また、インフルエンザの咳は感染力が強いので、周りの人が感染しないための予防策も大切ですよ。