インフルエンザ脳症とは?どんな症状が出る?後遺症が残る確率は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

冬に流行するインフルエンザ。その合併症のなかで「インフルエンザ脳症」というものがあり、命に危険が及んだり後遺症が残ったりする恐れがあります。今回はインフルエンザ脳症の症状や診断方法、治療法、予防法などをご紹介します。

インフルエンザ脳症とは?

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インフルエンザ脳症とは、インフルエンザウイルスに感染することで起こる免疫異常により、脳の働きに異常がみられる状態のことです。

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症のひとつで、5歳以下の乳幼児がかかることが多いものです(※1)。

インフルエンザ脳症が発症すると、後遺症が残ったり、場合によっては命に危険が及ぶことがあるので、インフルエンザが重症化してしまわないように予防接種を受けておくことが大切です。

インフルエンザ脳症の症状は?

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インフルエンザ脳症の症状には、高熱や咳、関節痛、倦怠感といった一般的なインフルエンザの症状に加えて、意識障害や5分以上続くけいれんなどがあります。

これらの神経症状は、熱が出た後、数時間から1日の間に現れることがほとんどです(※2)。

意識障害

インフルエンザにかかっているときに、ウトウトしていて呼びかけても反応がない、刺激を与えても反応がないなどの意識障害の症状が見られたら、インフルエンザ脳症が起こっている疑いがあるので、すぐに救急車を呼んでください。

けいれん

インフルエンザにかかってけいれんが起こった場合、高熱によるけいれん(熱性けいれん)が起こっている可能性も考えられます。

熱性けいれんであれば、多くが5分以内に治まり、特別な治療は必要としませんが、15分以上けいれんが続いたり、何度も繰り返したり、左右非対称のけいれんが現れたりした場合も(※3)、インフルエンザ脳症が原因の可能性もあるので、すぐに救急車を呼んでください。

異常行動

インフルエンザ脳症になると、幻覚を見る、意味が分からないことを言う、理由もなく泣いたり怒ったりする、突然歌い出す、壁に向かって走り出すなどの異常行動が現れることがあります。

高熱が原因で幻覚を見ていることもあるので、意識障害やけいれんの症状が現れていなければ、しばらく様子を見てください。長時間にわたって異常行動を見せる場合は、医師に診てもらいましょう。

インフルエンザ脳症の診断方法は?

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インフルエンザ脳症の診断を行うには、まずインフルエンザにかかっているかを調べる必要があります。インフルエンザの診断は、綿棒で鼻の粘膜を採取してそれを調べる迅速検査で行われます。

インフルエンザにかかっていると診断された状態で意識障害が出ている場合は、インフルエンザ脳症の疑いがあるため、頭部の画像検査(CT・MRI)や脳波検査を行うことが多くあります。

インフルエンザ脳症の治療法は?

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インフルエンザ脳症が疑われる症状が現れたら、早急に病院に連絡しましょう。インフルエンザ脳症が発症していると診断された場合には、以下のような治療が行われます(※3)。

支持療法

インフルエンザ脳症の支持療法では、心肺機能の評価と安定化、気道の確保、体温・呼吸数・血圧などのモニタリングを行います。また、抗けいれん薬を用いたけいれん対策や、解熱鎮痛剤を使用した体温管理も行っていきます。

特異的治療

特異的治療は、インフルエンザ脳症の原因である免疫異常を抑えるための治療です。具体的には、ステロイドを大量投与する「メチルプレドニゾロン・パルス療法」や、免疫抑制効果のあるガンマグロブリンというたんぱく質を投与する「ガンマグロブリン療法」などがあります。

インフルエンザ脳症になると後遺症が残る?

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厚生労働省によると、インフルエンザ脳症を発症した場合、約25%の確率で後遺症が現れるとされています。

インフルエンザ脳症の後遺症としては、身体障害では四肢麻痺や片麻痺、精神的障害では知的障害やてんかん、高次脳機能障害などが挙げられます(※3)。

こうした後遺症は、リハビリテーションを通じてある程度回復することがありますが、症状によっても異なるため、担当医と相談しながら方法を検討する必要があります。

インフルエンザ脳症の予防法は?

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インフルエンザ脳症を予防するうえで大切なことは、インフルエンザにかからないことです。日頃から手洗いとうがいを徹底し、インフルエンザが流行している時期には人混みを避け、外出時はマスクを着用するようにしましょう。

インフルエンザワクチンの予防接種を受けておくことが、重症なインフルエンザ脳症の予防につながります。5歳になるまではインフルエンザ脳症の発症率が高いので、インフルエンザワクチンの予防接種ができる生後6ヶ月以降は、できるだけ早めにワクチンを打ってもらうようにしましょう。

また、インフルエンザにかかっているときに、アスピリンを含んだ解熱剤を服用すると、インフルエンザ脳症を引き起こしたり、重症化させたりする可能性があるので、解熱剤としてはアセトアミノフェン系が推奨されます。(※2)。

子供が高熱でうなされている姿を見ると、解熱剤で少しでも楽にしてあげたいと思いますが、インフルエンザが疑われる場合は自己判断で市販薬を使用せず、まずは病院を受診して診断してもらいましょう。

インフルエンザ脳症の予防のために普段から心がけを

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2005年に、厚生労働省研究班によるインフルエンザ脳症についてのガイドラインが示されたおかげで、死亡率は30%から10%以下に低下しました(※4)。

しかし、それでも、インフルエンザ脳症が大切な子供の命を奪うかもしれない危険な病気であることには違いありません。

日頃からインフルエンザにかからないように予防を意識し、インフルエンザ脳症が疑われるときには、すぐに医師に診てもらうことが大切です。

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