【赤ちゃんのインフルエンザ予防接種】いつから受けられる?副作用は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

11月に入ると急に肌寒くなると同時に、インフルエンザが流行する可能性があります。パパやママはインフルエンザ予防接種を考える時期ですが、赤ちゃんにも予防接種が必要なのか、気になる方も多いようです。そこで今回は、赤ちゃんがインフルエンザにならないように、予防接種はいつから受けるといいのか、効果や副作用、費用などについてまとめました。

赤ちゃんにインフルエンザ予防接種は必要?

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赤ちゃんのインフルエンザ予防接種については、様々な意見があり、接種すべきか迷うママやパパが多いようです。厚生労働省としても、インフルエンザの予防接種は定期予防接種ではなく任意予防接種としており、各家庭の事情に応じて接種することとなっています。

例えば次のような場合には、予防接種を受ける家庭が多いようです。

● 赤ちゃんが保育園に行っているなど、集団生活をしている
● 兄・姉など上の子供からの感染が気になる
● パパやママが医療関係や多くの人の中で働いている
● 家族に障害、病気を持っている人がいる
● 高齢な人と同居している

インフルエンザは基本的に5〜7日程度の療養で自然と治まるため、上記に当てはまらず感染の可能性が低いのであれば、普段の家庭での生活習慣で予防するのも一つの方法ですね。

赤ちゃんへのインフルエンザ予防接種の効果は?

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赤ちゃんへのインフルエンザの予防接種は任意とはいえ、効果がないわけではありません。こちらも厚生労働省の発表ですが、インフルエンザ予防接種では、インフルエンザ自体への感染を完全に防ぐことはできませんが、感染した後の発症を抑える、発症しても重症化を防ぐ効果があるとされています(※1)。

特に赤ちゃんは大人に比べて体力がなく、ウイルス等への抵抗力も強くないため、インフルエンザによって重症化する可能性があります。発症後の対処も可能ですが、普段の赤ちゃんの様子から重症化が気になるようなら、小児科医に相談して接種を検討しましょう。

赤ちゃんのインフルエンザ予防接種はいつから?時期は?

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赤ちゃんのインフルエンザ予防接種は、ママの免疫が切れる生後6ヶ月以降から可能です。毎年多くの病院で10月前半から接種を開始しているので、インフルエンザ予防接種を希望するときには、接種時期などをかかりつけの小児科医に確認しましょう。

赤ちゃんへのインフルエンザ予防接種の費用は?何回受けるの?

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インフルエンザ予防接種は、年齢によって接種回数が決まっています。13歳未満は2回接種になり、1回目の接種から約2〜4週間あけて2回目の接種を行うことが理想です。年齢が低い子供や赤ちゃんは免疫力が低いため、2回接種でのブースター効果によって予防効果を高めます。

● 6ヶ月以上3歳未満:1回0.25mLで2回接種
● 3歳以上13歳未満:1回0.5mLで2回接種
● 13歳以上:1回0.5mLで1回接種

費用としては、インフルエンザ予防接種が任意接種であることからも、保険の適用外になり、1回2,000~3,000円程度かかるのが一般的なようです。もちろん病院などによっても異なるので、事前に確認しておきましょう。

赤ちゃんへのインフルエンザ予防接種の副作用は?

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赤ちゃんに限らず、インフルエンザ予防接種によって副作用が現れることがあります。接種した場所の赤み、腫れ、痛みについては接種した人全体の10〜20%に起き、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などの全身症状は5〜10%に起こるとされています。ただし、どちらも軽い症状で通常2〜3日で治ることが一般的です。

しかしまれにアレルギーによるショック症状などが見られることがあり、接種後30分間程度は病院内で安静にして、体の変化がないかをチェックする必要があります。

赤ちゃんへのインフルエンザ予防接種では、卵アレルギーに注意?

インフルエンザに対するのワクチン用ウイルスは鶏卵で培養されるため、卵アレルギーがある赤ちゃんや子供はじんましんや呼吸困難などのアレルギー症状を引き起こすリスクもあります。赤ちゃんや子供に卵アレルギーがあることがわかっているママやパパは、インフルエンザ予防接種前に医師にアレルギーがあることを話してくださいね。

日本で製造されるワクチンに含まれる卵白量は、0.01gほどとごくわずかです。卵の加工品で、卵ボーロを1粒程度食べて反応がなければ、基本的に支障はないと考えられます。

アレルギー反応は、接種後に比較的早く発症することが多いため、予防接種を受けた後に病院内でしばらく安静にして様子を見ます。万が一、帰宅後に異常が見られたときには、速やかに予防接種を受けた病院へ連絡をしましょう。

赤ちゃんのインフルエンザを、予防接種以外で予防する方法は?

赤ちゃんのインフルエンザ予防には、予防接種も効果が期待できますが、家庭での生活習慣を見直すことで、インフルエンザ以外の感染症対策にもなります。ぜひ、日頃の生活から感染症予防を心がけましょう。特に、外部と接触機会の多い、パパやママが予防することが大切ですよ。

手洗い、うがい

手洗いは付着したインフルエンザウイルスを洗い流して体内への侵入を防ぎます。うがいは喉に侵入しようとするウイルスを洗い流し、喉の乾燥を防ぐ効果があります。風邪を予防して健康な体を維持するための基本対策なので、習慣化しましょう。

マスク

インフルエンザウイルスは微細で、マスクをしていても入ってきてしまうため、100%防止できるわけではありません。ただ、マスクをすると自分の息で湿度が高まり、乾燥を防ぎ、インフルエンザにかかりにくくする効果があります。

また、インフルエンザにかかってしまった人が、咳やくしゃみの飛沫で他人に感染させてしまうのを防いでくれるので、家族が咳やくしゃみをし始めたらマスクを着用してもらうようにしましょう。

加湿

加湿器、濡れタオルなどを使って、室内を適度な湿度に保つことは、有効なインフルエンザ予防法です。喉の粘膜が良好に保たれ、体内へのウイルス侵入を防ぐことができるなど、湿度が高い環境ではインフルエンザに感染する確率が下がるとされています。

換気

部屋を閉め切ったままにしていると、持ち込んだウイルスが充満してしまう可能性があります。室温に気をつけながら、こまめに換気をしましょう。

人ごみを避ける

インフルエンザが流行している時期は、無理な外出は控え、できるかぎり人ごみは避けるようにしましょう。

赤ちゃんをインフルエンザから守ろう

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インフルエンザの予防接種を含め、赤ちゃんのインフルエンザに対する完璧な予防方法はありませんが、家庭での生活の仕方から改善することで、感染しにくい生活習慣にすることはできます。もし感染してしまったら赤ちゃんの体調の変化に気をつけて、安静にして看病してあげてくださいね。

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