手足口病の治療法は?薬は抗生物質?ホームケアの方法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

子供ができて初めて「手足口病」という病気があることを知った、という人もいるかもしれません。手足口病は、子供が夏から秋にかけてなりやすく、数年に一度大流行している感染症です。手足口病は、手足の皮膚や口に発疹が出る、見た目にもわかりやすい病気ですが、今回はその治療法や治療期間、またどんな薬が使われるのか、ホームケアはどうしたら良いのかということについて、ご紹介します。

手足口病って、どんな病気?

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手足口病はその名の通り、手、足、口などに水疱(水ぶくれ)の発疹が出る病気です。4歳くらいまでの子供が発症することが多く、特に2歳以下の子供がその半分を占めます(※1)。

手足口病を発症したとき、38度以上の熱が出ることは少なく、発熱しても37度台のことがほとんどで、2~3日くらいで平熱に戻ります(※2)。

手足口病は、「エンテロウイルス属」という、動物の中では人しか保有しないウイルスの感染で起こります(※2)。エンテロウイルスが手足口病以外に引き起こす病気としては、ほかにヘルパンギーナなどがあります。

エンテロウイルス属には数種類のウイルスがありますが、手足口病はコクサッキーA16型、もしくはエンテロウイルス71型というウイルスが原因で起こることが多くあります(※2)。

手足口病は、ウイルスの種類により症状が異なる傾向があります。コクサッキーA16型のときは、発熱がないことが多いものの、エンテロウイルス71型のときは、軽い発熱を伴うほか、無菌性髄膜炎や脳炎などを引き起こすこともあります(※2)。

なお手足口病は、一度かかったら再びかかることはないという病気ではありません。さまざまなウイルスが手足口病を引き起こすため、1年のうちに何回も手足口病にかかってしまう、ということもあり得ます。

手足口病の治療に薬は効く?抗生物質を服用するの?

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手足口病は、ウイルスが感染したのち、2~5日ほどの潜伏期間を経て発病します(※2)。

一般的には軽い発熱、食欲不振やのどの痛みなどから始まります。その後、手、指、足、膝、肘、お尻などに、1~4mmほどの大きさの、わずかに出っ張った水疱を伴う赤い発疹が見られます(※2)。

手足口病の肌の発疹は、痛みやかゆみはあまりありません。舌や歯肉、唇など、口の中にも発疹ができることがありますが、こちらは潰瘍(傷)になってしまうこともあります。

手足口病は、予防接種で防ぐことはできず、根本的な治療ができる薬もありません。また、前述の通り、手足口病はウイルスによるものであり、細菌によるものではないため、基本的に抗生物質などの抗菌薬を処方されることはありません。

手足口病の治療法は?ホームケアはどうすればいい?

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手足口病の治療は、主に以下のような対症療法が行われ、自宅でもそれに合わせたケアが必要です。

発熱の治療

前述したとおり、手足口病による発熱は37度台が多く、たいていは2~3日以内で改善します。

感染した子供が発熱で辛そうにしている場合は、症状を和らげる薬が病院で処方されることもありますが、多くの場合は薬を投与せずに経過観察となります。自宅でゆっくりと休養させてあげましょう。

発疹の治療

手足口病の発疹は、体のあちこちに、複数できることがよくあります。しかし、発疹に痛みやかゆみはないことが多く、基本的には治療の必要はありません。

ただしかきむしってしまうと発疹が傷になり、かゆみや痛みが生じてしまうこともあります。かいてしまっているようなら、医師に相談して薬を処方してもらいましょう。

皮膚のかゆみや、炎症を抑える抗ヒスタミン剤を処方されますが、基本的には、ステロイドの外用薬が使われることはありません。ただし、2次的な細菌感染を予防する観点から、弱いレベルのステロイドの外用薬が使われることもあります(※1)。

口内の水疱や潰瘍の治療

発疹により、口の中に違和感が生じます。また潰瘍ができると、食べ物が当たる際に痛んだり、しみたりすることがあります。食事は、柔らかく薄味のものを用意してあげましょう。

それでも違和感や痛みは完全には消せないので、食べたり飲んだりすることを嫌がってしまうかもしれません。

水分不足で脱水と判断された場合には、点滴を行うこともあります(※2)。また口の中の痛みを和らげるため、ステロイドの外用薬を塗るのも一つの対処法です。

高熱や嘔吐、頭痛などが続く場合

症例は多くありませんが、嘔吐や頭痛、発熱が続いた場合は、髄膜炎や心筋炎の合併症を起こしていることがあります。

その際は、早急に小児科や内科を受診して、医師の判断を仰ぎましょう。

特異的な手足口病に対する治療法は?

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2011年に大流行した手足口病は、前述した2種類のウイルスとは異なる、コクサッキーA6型というウイルスによるものでした。

通常の手足口病とは異なり、高熱を発症し、発疹が多く、発病の約2ヶ月後に爪が浮き上がり剥がれるという重い症状が見られました(※2,3)。

ただしこのような症状に対しても、現状では、肌のかゆみや発熱を抑える対症療法で治療を行うしかありません。

手足口病の治療期間は?

発熱は1日程度、肌の発疹や口内の水疱は3~7日ほどで後を残さずに消え去ります(※1)。

手足口病は治療をしなくても治りますが、手足口病の対症療法は「本人が苦痛と感じる症状がなくなるまで、もしくは本人が我慢できる程度に症状が良くなるまで」続ける傾向があります。

手足口病は治療で辛さを改善できる

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手足口病を発症した際、治療を行うことによって完治を早めることは、残念ながらできません。

ただし対症療法を行うことで、症状を和らげることはできるので、辛さを改善することができます。

手足口病の原因となるウイルスによって症状の重さが異なることがあるので、病院を受診する際、医師にそのときに流行している手足口病の症状を聞いてみるといいでしょう。

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