手足口病は、手や足、口の中に発疹が出る病気です。ウイルス感染で発症する病気で、夏を中心に流行します。今回は、もし手足口病になってしまった場合、お風呂に入っていいのかどうか、入浴の目安はあるのか、注意すべき点があるのかについてご説明します。
手足口病にかかると、どうなるの?
手足口病は、エンテロウイルス属に分類されるウイルスに感染することで発症します。
夏~秋で起こる乳児の急性熱性疾患のうち、33~65%はこのエンテロウイルス属の感染により起こります(※1)。エンテロウイルス属に分類されるウイルスは、いわゆる「夏風邪」の主要な原因のひとつといえます。
手足口病は4歳くらいまでの子供を中心に発症し、2歳以下が全体の半分を占めます(※2)。また多くはないものの、大人が手足口病にかかることもあります。
手足口病を発症すると、口の中の粘膜と、手のひらや足の甲や裏などに、2~3mmの大きさの水疱状の発疹があらわれます(※3)。3人に1人くらいの割合で発熱することもありますが、高熱になることはまれです。
また手足口病で体にできた発疹が、かゆみや痛みを伴うことはほとんどなく、3~7日ほどでかさぶたを残さずになくなります(※3)。
手足口病は一般的には軽症ですが、まれに髄膜炎や脳炎を合併症として発症することがあります。
また手足口病は、原因となるウイルスのタイプによって症状が異なることもあります。たとえば、2011年には、発熱が多く、発疹も多くて大きいといった、これまでにはあまり例のない症状の手足口病が流行しました(※4)。
手足口病になっても、お風呂に入っていい?いつからOK?
手足口病は、お風呂に入ることで症状が悪化することはあまりないので、基本的にはお風呂に入っても問題ありません。ただし以下のような注意が必要です。
発熱
手足口病は、多くの場合38度以下と軽度ながら、発熱することがあります(※2)。発熱している最中にお風呂に入ると、脱水症状を起こしたり、体力が低下してしまう可能性があります。
また、上がった後にすぐに体を拭いて髪を乾かすなど、湯冷めしない工夫も必要です。
脱水
手足口病は口の中に潰瘍ができ、食べ物や飲み物を口の中に入れる際に痛むことがよくあります。飲まず食わずになってしまうと、脱水気味になったり、体力が低下してしまうことがあるため、入浴には注意が必要です。
入浴時間
一般的には手足口病でできる水疱がかゆみや痛みを伴うことは少ないものの、入浴して体温が上がると、肌の水分が失われて乾燥状態になり、かゆみが出てしまうこともあります。
入浴時間を短めにすれば、肌の乾燥を抑えられ、かゆみが出る可能性も低くなります。また、かゆみが出ないように入浴の温度は、少しぬるめのお湯(38~39度)にすると良いでしょう。
手足口病はお風呂で感染するの?
手足口病でもお風呂に入ることはできますが、感染してしまう可能性もあるので注意しましょう。
なぜ感染するかというと、手足や口にできた水疱にウイルスが含まれていて、引っかくことで水疱が破れ、ウイルスが排出されてしまう可能性があるからです。
手足口病は、ウイルスを口や鼻、目などの粘膜から体内に入ることで感染します。お風呂で水疱が破れ、ウイルスが付着した手で目や鼻を触ることで、ウイルスが体内に入ってしまうこともありえます。
お風呂に入る際、感染予防のために気をつけた方がいい点は以下の通りです。
入浴の順番
感染者が最後に入浴すれば、破れた水疱から出たウイルスがお湯に入っても、そのウイルスに触れずに済みます。
もしくはシャワーだけにして、お湯には浸からないようにするのもいいでしょう。
同じタオルを使わない
水疱が破れてしまった部分をタオルで拭き、その部分で目や鼻を拭いてしまうことにより、ウイルスが感染してしまう可能性があります。
念のため、入浴後に体を拭くタオルは別々のものを使用しましょう。
手足口病になったら、注意してお風呂に入りましょう
手足口病は、お風呂に入ることで症状が悪化することは基本的にはありません。
ただし、入浴時に感染が広がってしまう可能性もあるので、家族と一緒にお風呂に入る際は、入浴の順番を替える、別々のタオルを使用するなど、工夫しておくといいでしょう。
また、手足口病の感染経路は、お風呂以外のときもたくさんあります。症状が治ったあとも、しばらくウイルスを排出するので、特に家族の誰かが手足口病にかかったら、しばらくは手洗いやうがいを入念にしましょう。