妊娠の流れとは?女性の体内で起きている変化は?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

「どうしたら妊娠できるの?」なんて、今さら聞けない、と思っている人も多いのではないでしょうか。特に、妊活中で妊娠を望んでいる夫婦は、妊娠が成立するまでの流れや女性の体内の変化のことを知っておくことが大切です。そこで今回は、妊娠の流れを体内の変化も含めてまとめました。

そもそも妊娠とは?

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そもそも妊娠とは、排卵、受精、着床という経過をたどり、女性の子宮内膜に受精卵が着床して発育するまでの状態やその過程を妊娠と呼びます。

生理の遅れなどから妊娠検査薬で妊娠がわかった、という女性が多いですが、これは受精卵が子宮内膜に着床して分泌されるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)が存在していることを示します。

産婦人科では、エコー検査などで胎嚢や胎芽が見られ、心拍が確認できて妊娠と判断します。その頃は、だいたい妊娠6週目くらいになっていますよ。

妊娠の流れはどうなるの?

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妊娠の基本的な流れは、女性の体内で排卵が起こり、卵子が生存している間に精子が受精し、受精した卵子が受精卵として子宮内膜に着床する過程を通ります。

精子の命は3〜5日あるのに対し、卵子の命は約24時間しかありません。妊娠するには性交のタイミングが重要で、一般的には、たとえ排卵日に性交しても、1回あたりに卵子と精子が受精する確率は10〜20%といわれています。

そのため、妊娠の流れを知識として知っておき、妊娠確率が高いタイミングを把握しておくのが重要ですね。具体的な妊娠の流れは次のようになります。

妊娠の流れ1. 卵子が体内で育つ

卵巣 卵胞 子宮

女性の卵子は、産まれたときから数が決まっており、およそ700万個が自分が胎児だったときに作られています。この卵子は子宮の両側にある2つの卵巣の中で、卵胞という殻に包まれた状態で蓄えられています。

そして、下垂体から分泌される女性ホルモンの働きを受けて毎月20~30個ほどの原子卵胞が成長し、そのうちの一つが成熟していきます。

妊娠の流れ2. 排卵

子宮 卵巣 卵管 排卵 卵子

卵胞が成熟し18~20mmくらいの大きさに達すると、女性ホルモンの働きによって卵胞の膜が破れ、中から卵子が飛び出して卵巣の外へと出ていきます。その後、卵子は卵管采(らんかんさい)に吸い上げられて卵管へと送られます。

この一連の流れが排卵で、月に1度の周期で起きます。また、排卵の際に排卵出血と呼ばれる微量な出血や排卵痛と呼ばれる鈍い痛みを感じる女性もいて、排卵タイミングが自分でわかるという人も。

妊娠の流れ3. 精子の移動

卵巣 卵胞 子宮 精子の流れ 受精

性交により女性の膣内に射精された数億個の精子は、1分間に2~3mmの速さで卵管へと進んでいきます。精子は子宮頸管から子宮体部(子宮の上側3分の2)に入りますが、子宮内を進む過程で約99%は死滅してしまうため、卵管内に到達できる精子は200個以下とされています。

妊娠の流れ4. 受精卵の形成

卵巣 卵胞 子宮 受精卵

卵管にたどり着いた約200個の精子が、卵子を取り囲んでいる顆粒膜細胞(かりゅうまくさいぼう)を溶かし、最終的に選ばれた1個の精子が卵子と結合します。これを受精といい、受精した卵子を受精卵といいます。

受精卵には他の精子が入ってこられないように受精膜が形成され、その後28時間以内に細胞分裂をはじめ、ゆっくりと卵管から子宮へと移動していきます。

妊娠の流れ5. 受精卵が子宮内膜に着床=妊娠の成立!

卵巣 卵胞 子宮 受精卵 着床

受精卵は7日~10日ほどの時間をかけて細胞分裂を繰り返しながら、卵管の運動によって徐々に子宮腔内へと送り込まれていき、子宮内膜に結合します。

これを着床といい、妊娠が成立したことを意味します。その後受精卵はさらに細胞分裂を繰り返し、赤ちゃんへと成長していきます。

受精卵が着床すると、体内では妊娠を維持しようとホルモンバランスが大きく変化をします。それにともない、様々な妊娠初期症状が現れるように。また、着床時に出血が起きる人もいます。

妊娠しやすいタイミングは?

基礎体温表

卵子の寿命が約24時間、精子が約3〜4日と考えると、妊娠しやすいタイミングは、排卵の3日前からの約3日間になります。そのため、排卵タイミングをキャッチするのが大切。

排卵検査薬を使用することや、基礎体温表を2〜3ヶ月つけて「低温相から高温相に変わるタイミング」を予測することで、排卵タイミングを把握することが可能です。

妊娠しやすい体質にするには?

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卵巣や子宮といった生殖器の機能が弱まったり、生殖機能をつかさどる女性ホルモンの分泌が妨げられたりすることで、妊娠しにくい体質に変化してしまっている女性も。

なかなか妊娠できないと悩んでいる人は、生殖機能や女性ホルモンがスムーズに働くようにしてあげることで、妊娠しやすい体質を取り戻すことができます。例えば、次のようなことに取り組んでみましょう。

  • ストレスの発散
  • 禁煙(タバコの煙を避ける)
  • 冷えの解消
  • 適度な運動
  • 栄養バランスの取れた食事

妊娠するとどんな症状が出るの?

女性 だるい 仕事 体調不良

妊娠しやすい体質になり、タイミングがあって奇跡的に妊娠したときには、次のような症状が見られることも。症状には個人差がありますので、症状に気づかなくても心配しないでくださいね、妊娠を希望している方は、体調変化に注意してみましょう。

  • 微量の出血・着床出血
  • 胸が張る、痛くなる
  • 身体がだるい、眠い
  • 味覚、嗅覚が変わる
  • 基礎体温が高い状態が続く
  • 感情が高ぶりやすくなる
  • 腰痛

不妊治療の流れは?

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妊娠の流れを把握し、妊娠しやすい体質作りやタイミングを狙ってもなかなか妊娠できない、ということは多くあります。

平成14年時点で不妊治療を受けているカップルの数は46万人を超えていて、特殊な治療ではありません(※1)。不妊治療を検討する前に、治療の流れを簡単に把握しておきましょう。

1. 不妊検査によって男性・女性の両方の原因を調べる
2. タイミング法や排卵誘発法による妊娠をめざす
3. 特に男性側に不妊の原因があるときに、人工授精による妊娠をめざす
4. 体外受精・顕微受精による妊娠をめざす

もちろん不妊は女性側だけの問題ではなく、男性側に原因がある場合もあります。また、体外受精や顕微受精では費用もかかるので、二人で事前にしっかりと話し合いましょう。

妊娠の仕組みを知っておくことが妊娠への第一歩

体の中を日頃あまり意識することはありませんが、妊娠するということはまさに奇跡のような出来事。まずは流れを知ることが妊娠・出産の第一歩なので、パートナーにも希望を伝えて、出産の時期などを話し合えるといいですね。

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