妊娠の仕組みについては、学生のときに保健体育の授業で聞いたことがあるという程度で、実は詳しい内容はわからない、という人も多いのではないでしょうか。妊娠していないか気になったり、子供が欲しくて妊活を始めようと考えているなら、妊娠の仕組みを知っておくことは大切なことですよね。そこで今回は、妊娠の仕組みについて、卵子が受精し、着床するまでの過程を詳しくご紹介します。
妊娠とは?
妊娠とは、排卵、受精、着床という過程を経て、女性の子宮内膜で受精卵が発育していく状態を指します。
妊娠によって、妊婦さんの子宮のなかでは胎児が発育し、出産までたどり着くことができると、赤ちゃんが誕生します。
妊娠の仕組み:排卵から着床までの過程
妊娠は、卵子が精子と受精することで受精卵となり、それが子宮内膜に着床することで成立します。具体的には次のようになります。
卵子の排卵
まず、女性の体の中に2つある卵巣では、「卵胞」と呼ばれる卵子の元となる細胞が育てられています。たくさんの卵胞のうちの1つが、卵子として成熟し、月1回の周期で卵巣の壁を破って外に飛び出します。この一連の流れを「排卵」といいます。
卵子はその後、卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)にキャッチされ、精子を待つことになります。卵子が生きていられるのは、排卵後約24時間ほどです(※1)。
精子の射精・受精
精巣の中で毎日作られる男性の精子は、性交により女性の腟内に射精され、その後自ら動いて卵管に向かいます。
1回で射精される精子は、個人差や体調によって異なりますが、約2~3億個程度で、その命は射精後3~5日です(※1)。また、卵管に到達するまでに精子の99%は死滅し、最終的に到達できるのは200個ほどになります(※1)。
卵子と精子が卵管膨大部で合体する(受精する)と、「受精卵」となります。基本的には1個の卵子につき、1個の精子が合体します。
一度受精卵になると、他の精子が入ってこないように受精膜が形成され、その後、ゆっくりと卵管から子宮へと移動します。
着床
受精卵は、何度も細胞分解を繰り返しながら、約4日かけて子宮へと到達します(※1)。受精卵が子宮内にたどり着き、子宮内膜に根を下ろして母体と結びつくことを「着床」といいます。この着床の段階で、妊娠が成立します。
妊娠の仕組み:着床から出産までの過程
受精卵が着床して妊娠が成立すると、約10ヶ月の間さまざまな過程を経て、出産に至ります。
妊娠初期
妊娠4ヶ月までの時期を妊娠初期とよびます。
着床時には鶏の卵くらいの大きさだった子宮が、妊娠4ヶ月頃には新生児の頭くらいまで大きくなります。
つわりは妊娠2ヶ月頃から始まり、妊娠中期の5ヶ月目に入る頃には治まることがほとんどです。
ママの体では、出産の準備のためにホルモンバランスが変化します。このホルモンバランスが変わることで、精神的に不安定になることもあります。
個人差がありますが、お腹が大きくなるのは妊娠4ヶ月頃から。お腹の赤ちゃんは妊娠初期の過程で内臓の基礎が完成し、手足を動かすこともできるようになりますよ。
妊娠中期
妊娠5ヶ月から妊娠7ヶ月までの時期を妊娠中期とよびます。
妊娠中期に入るとママの体はだんだんふっくらしてきて、お腹や胸に妊娠線が現れる人も。体調が安定してほとんどの人が胎動を感じられるようになり、ママになることを強く実感する時期でもあります。
この頃、お腹の赤ちゃんの外見はほぼ生まれてくるときの姿になります。生殖器の形もはっきりしてくるので、妊婦健診の過程で性別が分かることもありますよ。
妊娠後期
妊娠8ヶ月以降を妊娠後期とよびます。
この妊娠後期の過程で急激に体重が増えるというママも多くみられます。妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症の原因になる場合もあるので、この時期には特にバランスの良い食事や適度な運動を心がける必要があります。
妊娠10ヶ月目に入る前後には、生まれる準備のために赤ちゃんの頭が骨盤に入ってきます。そのため、人によっては足の付け根などに痛みを感じることも。
37週以降、おなかの赤ちゃんの体では、生まれてくる準備が整い、いつ生まれてもおかしくない状態に。陣痛が始まり、破水があると、いよいよ出産です。
妊娠の仕組みを知ると、喜びはさらに強く
今、私たち一人ひとりが存在しているのは、精子と卵子が受精し、それによって生まれた受精卵が着床することから始まっています。妊娠するまでの過程を知ることで、おなかの中で芽生え始めた命を、一層大切に思えるはずです。
ママだけではなく、パパも妊娠の仕組みを知ることで、夫婦揃って妊娠する喜びと奇跡を分かち合えるので、おなかの赤ちゃんもきっと喜んでくれますよ。