「妊娠判明前に予約をしていた」「出産前にパートナーと二人だけの思い出作りがしたい」といった理由で海外旅行を考えている妊婦さんもいるかもしれません。でも、妊娠中の海外旅行は本当に大丈夫なのでしょうか?
今回は、妊娠中に海外旅行へ行っていいのか、リスクや注意点などをご紹介します。
妊娠中に海外旅行へ行ってもいいの?どんなリスクがある?
妊娠中の海外旅行について、行ってはいけないという決まりはありませんが、以下のようなリスクがあるため、妊娠全期を通しておすすめはできません。
飛行機
機内は乾燥していて、フライト中は気圧の変化や大きな揺れがあります。
地上の状態とは著しく異なり、妊娠していない人でも体調不良になりやすい環境なので、妊婦さんにとってはリスクが大きいといえます。
急な体調の変化
渡航先によっては、時差や気候の違いが大きい場合も。時差ボケによる睡眠不足や気温・気圧の変化などは、妊娠中の体に大きな負担となります。
体調が悪くなって現地の医療機関を受診することになると、言葉が通じなかったり、日本とは違った治療をされたりすることもあるでしょう。
また、万が一、切迫早産や早産など、妊娠に関係する症状で受診や入院した場合、海外旅行保険に入っていても基本的に保険金支払いの対象外となり、高額な医療費を支払う必要がでてきます。
食あたりや感染症
妊娠中は免疫力が低下しています。海外では、食べ慣れないもので食あたりを起こす危険があるため、妊婦さんは特に注意が必要です。
また、渡航先で感染症が流行っていて感染してしまうと赤ちゃんに影響が出る可能性があります。
妊娠中の海外旅行を検討している場合は、必ずかかりつけの医師に相談してくださいね。
妊娠中に海外旅行へ行くならいつがいい?
前述の通り、妊娠全期を通して海外旅行はおすすめできません。そのため、「妊娠中のこの時期なら大丈夫」、反対に「この時期は行かない方がいい」などと一概にいうことはできません。
一般的に、妊娠中に海外旅行に行く場合は、妊娠15~24週にあたる、いわゆる「安定期」がいいとされています(※1)。しかし、安定期だから安全・安心というわけではありません。
妊娠初期や後期と同じように、安定期でも急に気分が悪くなったりお腹が張ったりする可能性は十分にあります。
また、切迫流産・早産や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの可能性がある妊婦さんは、安定期であっても主治医から海外旅行の許可をもらうことは難しいでしょう。
妊娠中に海外へ行く場合の注意点やポイント
リスクをしっかり理解したうえで妊娠中に海外へ行く場合、以下の注意点やポイントをおさえておくことが大切です。
主治医に許可をもらう
主治医に予定している渡航先や滞在日数などを伝えて、海外旅行をしても問題ないか判断してもらいましょう。安定期であっても、必ず許可をもらってください。
なお、分娩予定日の28日以内に飛行機に乗る場合は「医師の診断書」、14日以内は「医師の診断書」及び「医師の同行」が必要になるので注意してくださいね(※1)。
滞在先の医療機関を調べておく
滞在先で急な体調の変化が起きたときに備えて、空港や宿泊先などから近い医療機関を事前に調べておきましょう。母子手帳だけでなく、血液検査の結果やエコー写真も持っておくと、診察がスムーズに進む可能性もあります。
飛行機での過ごし方を工夫する
妊娠中のフライトでは「エコノミー症候群」にかかるリスクが高いといわれています。
機内では水分補給をこまめに行い、長時間座りっぱなしになるのを避け、定期的に立ち上がってストレッチをしたり、可能であれば通路を少し歩いたりしましょう。座っている間も足首を伸ばしたり曲げたりを繰り返すのがおすすめです。
航空会社のサービスを利用する
航空会社に妊婦であることを伝えておくと、以下のようなサービスを受けられることも。予約が必要なケースもあるので、事前に確認しましょう。
航空会社が行っている妊婦さん向けサービス例
● 事前の座席指定
● 専用カウンターでの搭乗手続き
● マタニティータグの配布
● 電動カートでの空港内の移動
● 機内での荷物の上げ下ろしや移動の手伝い
天候不順で滑走路に降りられず、機内で長時間にわたり待機が必要なときなどに、優先的に気にかけてもらえることもあるようです。
妊娠中の海外旅行は、いつでもリスクがあることを知っておこう
今回ご紹介したように、妊娠中の海外旅行にはたくさんのリスクが伴います。
妊娠全期を通して海外旅行は推奨されておらず、万が一、現地でトラブルが起きても、すべて自己責任となります。
もし妊娠中に海外へ行く場合は、リスクを十分に理解したうえで、しっかりと事前準備をしてくださいね。