妊娠中、ズキズキとした胸の痛みを感じる女性も多いようです。妊娠前は気にならなかったような軽い痛みでも、妊娠中だと「病気だったらどうしよう」「お腹の赤ちゃんは大丈夫かな」などと不安になってしまうこともありますよね。そこで今回は、妊娠中に起こる胸の痛みの原因と対処法、病院に行った方がいい症状などについてご説明します。
妊娠中期~後期に胸が痛い原因は?
妊娠中、胸のあたりに感じるチクチク、ズキズキとした痛みのほとんどは、母乳の分泌に関わる「乳腺」という組織が発達することで起こると考えられます。
妊娠すると、ホルモンバランスが大きく変化し、妊婦さんならではの体の変化が現れます。そのひとつとして、産後の授乳のために乳腺が発達し、胸が張るというものがあります(※1)。このとき、胸の皮膚や筋肉が引っ張られることで痛みを感じる人もいます。
妊娠中の胸の痛みの程度や現れる時期は人それぞれですが、特に乳腺が大きく発達する妊娠中期~後期は、胸の痛みを感じる人が多いようです。
妊娠中の胸の痛みはストレスが原因かも?
妊娠中の胸の痛みのほとんどは、乳腺の発達による生理的な現象と考えられますが、精神的にストレスがたまることでも、胸がぐっと締め付けられるように痛むことがあるとわかっています(※2)。
また、ストレスなどで自律神経が乱れることでも、胸がドキドキし、人によっては痛みを感じることがあるかもしれません(※2)。
妊娠中は、思うように体を動かせなかったり、お腹の赤ちゃんが元気に育っているかと気を揉んだりすることも多いとは思いますが、パートナーなど周りのサポートも得ながら、できるだけストレスを溜めこまずに過ごせるといいですね。
妊娠中に胸が痛い…「乳がん」の可能性は?
胸の痛みが気になる妊婦さんのなかには、「乳がんの可能性もある?」と心配になっている人もいるかもしれません。
乳がんの症状の一つとして、胸のしこりが見られます。このしこりは、触るとでこぼこしていて固く、動きにくいことがほとんどで、強く押してもあまり痛みが見られません(※3)。
「痛みはあるけれどしこりはない」という場合、乳がんの可能性は考えにくいので、あまり心配しすぎないでくださいね。
ただし、妊娠中は胸が張るため、自分で触ってもしこりを見つけづらいかもしれません。不安なときは、妊婦健診のときなどにかかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。
妊娠中の胸の痛みを改善するには?
先述のとおり、胸にしこりがあるなどの場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
「ちょっと胸が張るな」「ズキズキするな」というだけであれば、あわてて病院に行く必要はありません。日常生活のなかで、次のような工夫をしてみてくださいね。
下着や服で締めつけない
胸を締めつけると痛みが強くなるので、家にいるときはブラジャーをつけないようにして、ブラジャーと一体型のキャミソールや、やわらかい生地のゆったりとした服を着る、などの工夫をしてみましょう。
胸を温めすぎない
血行が良くなりすぎると、胸の張りや痛みが強くなることがあります。胸が痛いときは湯船に浸からず、シャワーだけで済ませるといいかもしれません。
少しだけ脇を冷やす
脇を濡れタオルなどで冷やすと、胸の痛みが和らぐことがあります。ただし、冷やしすぎると血行が悪くなってしまうので、あくまでも一時的な処置として試してみてくださいね。
妊娠中に胸が痛いときは妊婦健診で相談を
ほとんどの場合、妊娠中の胸の痛みは生理的な現象で、産後の子育てに向けて体が順調に作られている証拠です。お腹の赤ちゃんに悪影響を与えるとは考えられないので、あまり心配しすぎないでくださいね。
そうはいっても、あまりに胸がズキズキと痛み、眠れないほどになってくるとつらいですよね。そんなときは我慢せず、妊婦健診のときなどにかかりつけの産婦人科医や助産師に相談し、胸の痛みをやわらげる方法などを聞いてみましょう。
妊娠中は様々な体の変化が現れ、戸惑うこともあるかもしれませんが、どんな小さな悩みでも家族や医師に話してみるなど、できるだけストレスのないマタニティライフを送れるといいですね。