乳首と乳輪のぶつぶつはモントゴメリー腺?ケア方法は?除去可能?

監修専門家 助産師 鶴町 はるな
鶴町 はるな 茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、クリニックでのフリースタイル分娩や無痛分娩にも携わってきました。現在は産後ケアや母乳外来を中心に活動しています... 監修記事一覧へ

女性は自分の体の小さな変化に敏感です。特に妊娠中は、普段とは違う変化が見られるので、疑問に思うこともあるかもしれません。妊娠中の変化のひとつとして、「乳首や乳輪にぶつぶつができた!」と驚く人も。今回は、ぶつぶつの正体である「モントゴメリー腺」について、妊娠中に目立ちやすくなる原因やケア方法、除去ができるのかなどをご説明します。

モントゴメリー腺とは?乳首と乳輪のぶつぶつは病気?

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乳首や乳輪のぶつぶつの正体は、「モントゴメリー腺」という皮脂腺です。「乳輪腺」や「モンゴメリー腺」と呼ばれることもあります。

モントゴメリー腺は妊娠前からもともと乳輪にあるもので、乳首と乳輪を保護するための皮脂を分泌する働きがあります。

また、モントゴメリー腺から出る分泌物が、ママそれぞれが持つ独特な母乳の匂いを作り出し、赤ちゃんが母乳を飲む意欲を促進する機能もあります(※1)。

それに加えて、赤ちゃんが吸うことで乳房が傷ついたり、乳房から病原体が侵入したりするのを防ぐ働きがあるなど、モントゴメリー腺は授乳には必要不可欠なものです(※1)。

なお、モントゴメリー腺の大きさには個人差があり、ぶつぶつがはっきりとわかる人もいれば、それほど目立たない人もいます。

乳首や乳輪にぶつぶつがあるだけで、胸にしこりがあったり、乳首から血の混じった分泌物が出たりといった症状が特にないのであれば、病気ではないので病院を受診する必要はありません。

妊娠中にモントゴメリー腺が目立つ理由は?

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もともと乳輪にあるモントゴメリー腺ですが、妊娠するとぶつぶつが目立ちやすくなるのはなぜでしょうか?

妊娠すると、「プロラクチン」や「ヒト胎盤性ラクトーゲン」といったホルモンの分泌が増えることで、乳腺が発達し、乳房がふくらんでいきます(※1)。

この変化に伴い、乳首や乳輪も大きくなっていき、色素が沈着しやすくなります(※2)。「妊娠して乳首や乳輪の色が濃くなった」と感じる妊婦さんが多いのはこのためです。

乳首や乳輪が大きくなるにつれて、モントゴメリー腺も少しふくらみます。また、乳首や乳輪の色の濃さと比べて白っぽく見えるため、妊娠前と比べて目立ちやすくなるというわけです。

乳首や乳輪のぶつぶつの大きさや数は人によって異なりますが、一般的には妊娠6ヶ月頃からモントゴメリー腺が目立ち始めます(※3)。

同じくらいの時期からお腹も大きくなり、妊娠線ができやすくなるなど、様々な体の変化に驚く妊婦さんも多いと思いますが、どれもお腹のなかで赤ちゃんがすくすく育っている証拠といえますね。

乳首と乳輪のぶつぶつのケア方法は?

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「乳首や乳輪のぶつぶつが目立つ」というだけであれば、特別なケアは必要ありません。ただし、モントゴメリー腺は皮脂腺なので、そこから柔らかい固まり(角栓)が出てきて、乳房に白っぽいカスがつくこともあります。

そのような場合には、お風呂やシャワーのときにそっと洗いましょう。産後などで湯船に入れないときは、お湯でしぼったガーゼやタオルで拭き取ってください。爪やピンセットなどで無理やり角栓を押し出そうとすると、皮膚が傷ついてしまうので避けてくださいね。

モントゴメリー腺から出てくる角栓が固くなっていて取りにくいという場合は、乳首にオリーブオイルをつけて5分ほどオイルパックし、そっとガーゼで拭くと取れやすくなりますよ。

乳首や乳輪のぶつぶつが気になる…モントゴメリー腺は除去できるの?

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妊娠中や産後、乳首や乳輪のぶつぶつが目立つと、病気ではないといっても、見た目として気になるという女性も多いかもしれません。

モントゴメリー腺のぶつぶつがどうしても気になるなら、美容整形外科である程度切除することも可能です。乳首や乳輪を保護する目的がある皮脂腺なので、すべてを切除することはできませんが、特に大きくふくらんでいるものだけを切除する、という人もいます。

モントゴメリー腺の切除手術は、イボを取るのと同じ方法です。局所麻酔を使い、盛りあがっている部分だけを小さく切り取って、そのあと手術用の糸で縫合します。切除するモントゴメリー腺の大きさや数にもよりますが、30分ほどで手術は終わります。

切除手術をするにあたって入院の必要はなく、傷跡もほとんど残りません。手術後1~2週間で抜糸が完了し、そのあとは入浴も可能です。

ただし、最初にご説明したように、モントゴメリー腺はママ特有の匂いを出して赤ちゃんに母乳を吸わせたり、授乳による刺激や病原体の侵入から乳房を守ったりするなど、授乳するうえで大切な役割を担っています。

そのため、基本的には、授乳中に手術でモントゴメリー腺を切除することはおすすめできません。手術を受けるタイミングについては、医師とも相談のうえ慎重に検討しましょう。

乳首や乳輪のぶつぶつは、ママの証

妊娠後の女性の体は、刻々と変化していきます。乳首や乳輪のぶつぶつもその一つで、いわばママの勲章のようなもの。病気ではないのであまり気にしすぎず、ゆったりとマタニティライフを過ごしましょう。

そのほか、体の変化で気になることがあれば、妊婦健診などでかかりつけの産婦人科医や助産師に聞いてみましょう。特に治療の必要がないものであれば、「妊娠中にしか経験できないもの」と前向きに捉えて、今しか見られない変化を楽しめるといいですね。

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