女性に不快症状が現れやすいタイミングは一般的に生理前といわれていますが、排卵日付近に体調を崩す人も多いようです。下痢もその症状の一つ。下痢だけでなく腹痛まで重なると、つらいのはもちろん、病気や妊娠と関係しているのかなども気になりますよね。そこで今回は、排卵日付近に下痢になる原因や、下痢になったときの対処法、妊娠との関係などをご説明します。
排卵日に下痢になる原因は?
排卵日付近に起こる下痢には、ホルモンバランスが関係していると考えられます。
生理周期は、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンの分泌量が、増えたり減ったりすることによって作り出されます。
生理や排卵を境として、生理後から排卵が起こるまではエストロゲンが、排卵後から生理まではプロゲステロンが、それぞれ多く分泌されています。
つまり排卵日付近は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量の変化が大きいタイミング。ホルモンの分泌バランスが乱れることで、体調に影響を及ぼしやすい時期ともいえます。
下痢だけでなく、腹痛、頭痛、吐き気など、様々な不調に悩まされる人も少なくありません。
排卵日に下痢になったときの対処法は?
排卵日に下痢になってしまうのは仕方ない面もありますが、つらい症状は少しでも和らげたいですよね。排卵日に下痢になってしまったときは、下記のような対処法を試してみてください。
睡眠をたっぷりとる
下痢になっているときは、まず体をしっかり休めることです。睡眠をたっぷりとるようにしましょう。
疲労や不規則な生活はホルモンバランスを乱し、下痢の症状を悪化させる可能性があります。下痢がつらいときは、いつもより少し早めの時間にベッドに入ったり、睡眠の質を高めるために寝る前はスマートフォンを使わないようにしたりと、しっかり眠れるような対策を行ってください。
腸に優しい食事を意識する
下痢の症状があるときに腸を刺激する食べ物や飲み物を摂ると、下痢の症状を悪化させる可能性があります。アルコールやカフェイン、辛いもの、冷たいもの、食物繊維が豊富なものなどは、下痢になっている間は避けたほうがいいでしょう。
食事は、消化のいいうどんやおかゆなどがおすすめです。食欲がないときは、無理に食べようとする必要はありません。
しかし、下痢になると気づかないうちに体の水分が奪われ、脱水症状になりやすくなるので、水分補給はしっかりと行ってください。麦茶やたんぽぽ茶など、カフェインの含まれていないものを常温で、または温めて摂るのがおすすめです。
体を冷やさない
体の冷え、特に下腹部の冷えは下痢を助長するので、腹巻やカイロでお腹周りを温めましょう。お風呂でゆっくりと湯船に浸かるのもいいですね。
下痢止めを携帯しておく
どんなにケアをしていても、いつなんどき下痢になってしまうかわかりません。根本的な解決法ではありませんが、外出する際は、水なしでも飲める下痢止め薬を携帯しておくと安心です。
最近は、女性特有の症状に効果的な成分が配合された下痢止め薬も販売されています。ドラッグストアなどで購入できるので、探してみてくださいね。
排卵日の下痢に腹痛が伴うときは病気かも?
排卵日の下痢が一過性のものであれば心配ありませんが、下痢が長く続くときや、症状がひどいときには、下記のような婦人科系の病気が隠れていることがあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮のなかにあるはずの子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまう病気です。
ひどい生理痛や日常的な下腹部痛、腰痛などが代表的な症状ですが、子宮内膜症を患う人の30%が下痢の症状を自覚しているというデータもあります(※1)。
子宮内膜症は完全に治ることはないとされていますが、薬や手術などで治療を行えば、症状を軽減させることは可能です。つらい症状から開放されるためにも、上記のような症状がある場合は、一度病院を受診してください。
月経前症候群(PMS)
月経前症候群は、生理前に起こる様々な不快症状のことです。
一般的に症状は生理の3~10日前から現れ、生理が始まると消失するか、軽減されます(※2)。しかしホルモンバランスの乱れが原因になることもあり、排卵日付近から症状が出始める人もいます。
症状の種類や程度には個人差があり、下痢や便秘、胸の張り、頭痛などの身体症状が強い人もいれば、イライラや抑うつ、不安感など、精神症状が強い人もいます。
低用量ピルの服用や生活の改善などで症状が治まることもあるので、つらい人は病院を受診することをおすすめします。
排卵日に下痢が起こると妊娠しにくい?
排卵日に下痢が起こること、「妊娠しにくくなるのでは」と気になる人もいますよね。
たしかに排卵日の下痢はホルモンバランスの乱れが原因で起こりますが、排卵日に下痢が起こったからといって、必ずしも妊娠しにくいというわけではありません。
むしろ、排卵日付近に体調が悪くなるということは、女性ホルモンの分泌がきちんとされているということなので、排卵している証とも言えます。
排卵日に下痢が起こったからといって、妊娠に影響があるのではないかと心配しすぎないでくださいね。
排卵日の下痢は我慢しすぎず病院へ
排卵日付近に下痢が起こると、「生理のことだから」と我慢して、病院に行かない人も多いでしょう。しかし前述のとおり婦人科系の病気が隠れていることもありますし、胃腸炎など、なにか内蔵にトラブルが起こっている可能性もゼロではありません。
早めに病院を受診して対処することで、排卵日が快適に過ごせるようになり、仕事や家事が楽に行えるようになるかもしれません。一人で悩みすぎずに、つらいときは医師に相談してくださいね。