生理中に下痢…原因と対処法は?吐き気や痛みがひどいときは病院へ?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

生理中は、様々な不快症状に悩まされます。よくみられる症状のひとつが、下痢です。ただでさえ生理痛でつらいのに、下痢が重なると困ってしまいますよね。そこで今回は、生理中に下痢になりやすい原因や対処法、吐き気や痛みが強い場合は病院に行ったほうがいいのかなどについてご説明します。

生理中、下痢になりやすい原因は?

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生理中に下痢になりやすいのは、生理中に分泌が増え、生理痛の原因にもなる「プロスタグランジン」という物質が関係しています。

プロスタグランジンは、子宮を収縮させて生理中の経血の排出を促す作用がありますが、同時に、腸を活発に動かしたり、血管の壁を収縮させたりする働きもあります。

プロスタグランジンの分泌量が多いほど、腸が過剰に刺激され、場合によっては下痢になってしまうこともあります。

また、生理前は「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの影響で腸の働きが抑えられていましたが、生理が始まるとプロゲステロンの分泌量が減少するため、腸が再び活発に動き始めます。「生理前は便秘で、生理が始まると下痢になる」という人が多いのはこのためです。

生理周期にあわせて分泌量が変化するこれらの物質の影響で、生理中は下痢になりやすい状態といえます。

生理中に下痢になったときの対処法は?

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生理中に下痢になってしまったときは、プロスタグランジンが過剰に分泌されないようにすることが大切です。

プロスタグランジンは経血の排出を促すために分泌されるので、経血がスムーズに排出されれば、必要以上にたくさん分泌されることはなくなります。

経血の排出を促すためには、子宮周りの血行をよくすることが一番です。お腹の周りを腹巻やカイロで温める、温かい飲み物を飲む、お風呂にゆっくりと浸かるなど、日々の生活のなかに、血行が改善できるような習慣を取り入れてみましょう。

どうしても下痢が治まらないようなら、市販の薬を使ってみるのもひとつの方法です。

「ロキソニン」や「ボルタレン」といった生理痛用の鎮痛剤は、プロスタグランジンが増えるのを抑える作用があるので、下痢にも間接的に効果を発揮する場合があります。下痢だけでなく生理痛もひどいという人は、これらの鎮痛剤を試してみてください。

鎮痛剤は、服用してから効き目があらわれるまでに時間がかかります。生理のたびに下痢があるような人は、まだ症状があらわれていなくても、生理がきた段階で服用してもいいでしょう。

生理中の下痢は病気の可能性もある?

生理中の下痢があまりにもひどい場合、子宮内膜症が隠れている可能性があります。

子宮内膜症は、本来子宮にあるはずの子宮内膜が、子宮以外にできる疾患です。下痢の他に、下記のような症状が現れます(※1)。

・ ひどい生理痛
・ 下腹部痛
・ 腰痛
・ 月経時、レバー状の血の塊が出る
・ 排便痛
・ お腹が張る
・ 疲労感、消耗感
・ 性交痛
・ 月経量が多い
・ 頭痛

特に、生理のたびに起こる強い生理痛が特徴で、子宮内膜症を患う女性の約9割にみられています(※1)。

子宮内膜症は、将来的に不妊にもつながり得る病気です。下痢の他に思い当たる症状があれば、早めに婦人科を受診し、検査を受けることをおすすめします。

生理中の下痢に吐き気や痛みを伴うときは?

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生理中に、下痢だけでなく吐き気や激しい痛みも起こるようなら、「月経困難症」の可能性が考えられます。

月経困難症は、日常生活に支障が出るくらい重い生理痛などの不快症状のことをいいます。一般的な生理にまつわる不快症状は、生理前や生理が来て1~2日目に起こり、自然と治まりますが、月経困難症の場合、症状がひどくて寝込んでしまったり、鎮痛剤を飲んでも痛みがひかなかったりします。

月経困難症は、原因に子宮の病気が隠れている可能性もあるものです。生理のたびに下痢や吐き気、強い痛みがあるような人は、早めに病院を受診し、異常がないか検査を受けることが大切です。

生理中の下痢などの不快症状は我慢しないで

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生理中には様々な不快症状が現れます。「生理は仕方がないことだから」と無理に我慢しているのは、精神的にも身体的にもつらいですよね。

生理中の不快症状がひどい場合、病院で診てもらい、早めに治療を行うことをおすすめします。治療方法は症状や原因によって様々ですが、毎月のつらさを軽減することができますよ。

また、生理にまつわる不快症状は、ホルモンバランスが乱れていると強く現れやすいものです。生理中だけではなく、生理が始まる前から規則正しい健康的な生活を心がけることで、症状を軽減できることもありますよ。

生理中の下痢に苦しまないためにも、少しずつ生活改善に取り組んでいけるといいですね。

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